2020.08.16

リモートワークの“次”の働き方はどうなる?

フォトグラファー兼ビジュアルクリエイター・桐島ローランドさんによるライフハック術。今回は、リモートワークのメリットとデメリット、そして“次”の時代の働き方について考察します。

CREDIT :

写真・文/桐島ローランド コーディネイト/JUBILEE

このコロナ禍でステイホームと同時にリモートワークが普及しました。この流れは今後も加速していくのでしょうか? そして次の時代には一体どのような働き方が待っているのでしょうか? 今回は、桐島ローランドさんが取締役を務める、技術(サイバー)と人間(ヒューマン)の融合を目指すCyberHuman Productions(CHP)社のビジョンから次の時代の働き方を紐解いていきます。

それでは桐島さん、よろしくお願いします!

リモートワークの「メリット」と「デメリット」とは?

こんにちは、桐島ローランドです。

このコロナ禍で働き方や生活そのものが変わったという方は多いのではないでしょうか。特に、ステイホームによってオンライン会議や電子決裁など、リモートワークが急速に進んだのは皆さんも実感していることでしょう。

そんなリモートワークの利点はいくつかありますが、僕が思う最大のメリットはやはり「時間の節約」です。通勤時間がなくなることでより効率的に働けるようになったり、プライベートの時間を増やせるようにもなりました。

また、人やクルマなど、物理的な移動が減ることにより、エネルギーやコストの削減に繋がっているのも特筆すべき点です。このまま社会全体のリモート化が進めば、スタッフの交通費や事務所の光熱費はもちろん、クルマの排気ガスや公共機関の無駄な電力などが削減され、結果的にエコロジカルかつサステナブルな環境に近づいていくでしょう。
僕が取締役を務めるCyberHuman Productions(CHP)社もリモートワークを試験的に取り入れています。親会社のサイバーエージェントが実施している、週2日リモートで業務を行う「リモディ」をうまく活用しながら(※)、在宅でもパフォーマンスを落とさない方法を今まさに模索しています。スタッフの中には人と話す時間を惜しんで作業に集中したい職人肌のメンバーもいるので、今後は一人ひとりに合わせた勤務環境になっていくのかも知れません。

反対に、リモートワークのデメリットはチーム内でのコミュニケーションが不足する点です。ちょっとした雑談から生まれるアイディアが出にくくなったり、作業の進捗が見えにくいためマネジメント側の細かいチェックが必要になったりします。また、人によってはコミュニケーション不足から寂しさを感じることもあるでしょう。

CHP社ではそんな環境に対応すべく、社内でのオンライン飲み会やボイスチャットを取り入れたり、4月から入社した新メンバーとビデオチャットでディスカッションをしたりと、積極的にケミストリーを生み出す努力をしています。それと、対外向けにはウェビナー(ウェブセミナー)を行ったりもしました。
▲SIGMA fp(左)。後ろにいるのはフランスからCHP社に来たMatthieu(右)。
ここで、僕がオンライン会議で使用して良かったと思うアイテムを一つご紹介しておきましょう。それがこの「SIGMA fp」です。このカメラはフルサイズのセンサーを搭載しながらも動画撮影に特化しており、WEBミーティングにおいても高品質な自分の映像を映すことができます。コンパクトなサイズ感なのでどこにでも持ち運びができ、背景を自然にボカすことも可能です。

今の時代では、直接会えないからこそ自分の声や姿といったプレゼンスを「きちんと作る」ことも重要です。今後はカメラなどのデバイスもコミュニケーションの形にあわせて進化していくかも知れません。
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アフターコロナはどのような「働き方」になるか?

▲ https://www.cyberhuman-productions.co.jp/works/aprildream/ より
もし今すぐコロナが終息したとしても、リモートワークへの流れは続いていくでしょう。企業としては足を使った営業や出張が少なくなればそのぶん移動コストがセーブできます。さらには、マーケティングなど様々な分野でオンライン化が進み、より広範囲に自社商品がリーチできるようになるからです。

また、営業の方法も抜本的に変わっていくと予想されます。特にプレゼンテーションはオンラインが前提になるため、従来の、例えばパワーポイントのようなプレゼンテーションツールなどはさらに進化し、インタラクティヴで、便利になって行くかも知れません。新規の案件を取るためには、従来の会食や飲み会などのリアルな場よりも、WEBマーケティングを駆使したり、プレスリリースに力を入れたりするようになるでしょう。

CHP社でも、自社のPRのために一風変わったプレスリリースを出したことがあります。それは、とあるPR会社が企画した「4月1日エイプリルドリームPR企画」にあわせたもので、「“桐島ローランド2号”というアバターが自分の代わりに働く」というコンセプト動画でした。
おかげさまでこのPVの反響も高く、この後いくつかのビジネスにも繋がっていきました。ちなみにCHP社では3Dスキャニングによるアバター開発を行っていますが、もしかしたら将来は本当にこんなアバターがAIと連動して勝手に働いてくれるかも知れません。
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VRとリアルが融合する世界

直近のことで言えば、この6月には「GirlsAward」と「ABEMA(アベマ)」がタッグを組み、CGとリアルを掛け合わせたフルバーチャル空間でのファッションショー&ライブイベント「Tokyo Virtual Runway Live by GirlsAward」を開催しました。このフル3DCGで製作された特別なランウェイステージの制作と演出は我がCHP社が担当。一夜限りのスペシャルショーは多くの注目を集めるイベントとなりました。

実際にランウェイの様子は、現在公開されておりませんが、当時の告知、モデルのラインアップから、イベントの規模をイメージしていただければと思います。
このように、これまで培ってきたVRやARの研究開発は、このリモート社会において新たな成果として現れ始めているのです。

リアルのイベントが行えなくなった今、バーチャルで集客できるイベントプラットフォームには未知の可能性が秘められています。これまで、「ライブイベント」など体験型のコンテンツはデジタル化されにくいと思われていましたが、今後はどんどん当たり前になっていくでしょう。そして、そんなイベントを制作する我々の環境も、変わっていきます。

例えば、リモートを活用したロケハン(撮影場所の事前確認)やフィッティング(タレントやモデルの衣装合わせ)など、接触機会を極力抑えたミーティングの在り方へ、どんどん変化していくと予想されます。

CHP社が持っているバーチャルライブのアセットや演出、リアルタイム合成などの技術は、今後もテクノロジーの進化とともに、よりリアルに近づいていくでしょう。そして次の時代では、リアルに近づくどころか、リアルを超えた表現を実現していくのかも知れません。

まるでSFのような話ですが、人間がサイバー世界と融合し、リアルとバーチャルを行き来する時代は、もう既に始まっているのです。
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●桐島ローランド

フォトグラファー・3DCGエバンジェリスト。

1991年 ニューヨーク大学芸術学部・写真家卒業後、本格的にフリーランス・フォトグラファーとしてのキャリアをN.Y.でスタート。
1993年 東京に活動拠点を移し、多くのファッション撮影、広告撮影の他、ムービー作品も手掛ける。
2007年 パリ・ダカールラリー完走。
2014年 3DCGプロダクション、AVATTA設立、代表取締役に就任。ヴィジュアルクリエイターとして写真・ムービー等を制作する傍ら、3DCGが真のフォトリアルとして躍動し融合を果たすことを目的としたエバンジェリストとしての活動を行う。国内外を問わず、多数のテクノロジーオリエテイティドなカンファレンスなどにも出席、マイクロソフトの販売代理店アドバイザー、自動二輪車メーカーのアンバサダー等も務める。
2018年 AVATTAがサイバーエージェントグループとなる。
2019年 総合3DCGプロダクションとして、「株式会社CyberHuman Productions」となる。現在、同社取締役。

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