2020.05.23
VOL.03「シガー上手は、灰上手」
シガーを格好良く吸う意外なコツとは
ファッションからカルチャー、旅やホテルからガストロノミーまで、ラグジュアリーライフをテーマに執筆活動を行っているコラムニストの中村孝則さんが、毎回1本のシガーを取り上げてその魅力と楽しみ方をご紹介する連載です。
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文/中村孝則 イラスト/林田秀一
■Theme03「シガー上手は、灰上手」
よくいただく質問です。シガーはファッション的なアイテムのひとつでもありますから、持ち方や咥え方といった、いわゆる“見栄え”を気にしている方も多いようです。断言しますが、シガーはお酒の飲み方と同じで、ポーズなんて気にしているうちは、似非マニアと思われるのがオチです。格好なんて気にせず、素直に美味いと感じて味わっているうちに、サマになってきますから気にせずに楽しむことが肝要。
かつて、礼法のご宗家は、客人の箸の扱い方でその人の品格がわかる、と言っていました。それはよく言われる持ち方ではなく、箸先をどのくらい汚しているかで、品性がわかるのだとか。できれば箸先一寸(約3㎝)以内で扱うのが理想だと言います。
これは個人的な感覚ですが、今回ご紹介する1時間程度楽しめるサイズのシガーでしたら、灰の長さは一寸くらいが理想だと思います。このシガーのように最上級の作りで、かつ保管がいいものは灰もしっかりしていますから、一寸くらいまでキープできるはずです。そして灰の形状も素晴らしいものです。その灰を落とす場合は、灰皿に丁寧に置いて、決して“トントン”と叩いてはなりません。折角の灰形が崩れてしまいますから。その形状を慈しむようになれば、貴殿は立派なシガー巧者。結果的に格好いいと思われることでしょう。
ちなみに、途中で火を消す場合であっても、紙巻きタバコのように、灰皿にグリグリ押し付けて消してはなりません。これは“怒りの表現”とみなされてしまう、シガーのタブーのひとつなのです。シガーは、灰皿に放置すれば、火は自ずと消えます。「シガーと女は放っておくと消える」という格言があることも、最後に付け加えておきましょう。
中村孝則
コラムニスト。世界各地を独自の視点で読み歩きさまざまなメディアでラグジュアリーライフを提案。「世界ベストレストラン50」の審査員も務め世界各地で美食探求の日々を送る。
※掲載商品はすべて税抜き価格です
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