2020.05.09

VOL.01「正しい泡と煙の立たせ方」

シガーとシャンパンは、そっくりなんです

ファッションからカルチャー、旅やホテルからガストロノミーまで、ラグジュアリーライフをテーマに執筆活動を行っているコラムニストの中村孝則さんが、毎回1本のシガーを取り上げてその魅力と楽しみ方をご紹介する連載です。

CREDIT :

文/中村孝則 イラスト/林田秀一

ラグジュアリーライフをテーマに執筆活動を行っているコラムニストの中村孝則さんが、シガーの魅力と楽しみ方をご紹介する連載。第1回のテーマは……。

■Theme01 「正しい泡と煙の立たせ方」

シガーとシャンパンは、そっくりである、というのが持論です。ともにタバコ葉とブドウという農産物から作り、収穫から熟成など膨大な手間暇をかけ、テロワールを楽しむ嗜好品だというだけではありません。むしろ私が言いたいのは、“楽しみ方の世界観”の共通性について。“煙と泡”という、儚くも繊細な現象を官能の域まで引き出すには、テクニックはもちろん、相応の時間や空間を演出する必要があります。
ドミニカの8年間熟成のタバコ葉を使い、さらに4年熟成させた最高峰の一本。 
『ジノ プラチナム Z-クラウン シリーズ リミテッド エディション2019』 バレル4万2000円(1箱3本入) /ダビドフ オブ ジュネーブ 銀座
例えば、シャンパンにはプレステージ・シャンパンという最高峰のものがあり、「ドン ペリニヨン」だったら『P2』とか、「ペリエ・ジュエ」だったら『ベル・エポック』とか。文字通り、メゾンが威信をかけて作るものがソレ。シガーも同じく、相応の空間演出のなかで味わってこそ、世界観が発揮されるもの。禁煙条例だからといってバーでシガーを禁止することも、分煙だからといって狭い空間に限定するのも、本末転倒だと思うのです。それはP2やベル・エポックを台所の片隅に押し込まれ、紙コップで飲まされるようなもの。

シガーにプレステージというカテゴリーはないですが、今回ご紹介する「ジノ プラチナム」の『Z-クラウンシリーズ』は、贅を尽くした逸品。
プレステージ・シャンパン同様に楽しむ環境やシーン、あるいはファッションや分かち合うべき人があってこそ、その真価を発揮することでしょう。そういった意味で東京都は極めて寂しい状況ではありますが、それでもシガーを楽しませてくれる矜持をもったホテルやバーは少なからずあります。

「パレスホテル東京」のバーはシガーOK(テラス席のみ)。「アマン東京」には、シガー専用ラウンジもあります。施設側も物怖じせず、それを強みとしてアピールしてもいいと思う次第。あとは、旅先にシガーを持参するのもいいですね。「ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ」は、熱海や宜野座でもシガーをサービスの一部にしていますから。

海外でも、「マジェスティック・クアラルンプール」には、『ザ・シガーハウス』という、専用の館まで用意しているので、シガーを前提にホテル選びをするのも、然るべき大人の楽しみ方といえましょう。いま日本の地方は、インバウンドの勢いにのって富裕層を誘致しようと躍起です。

もし、コアなファンを取り込みたいならば、シガー・サービスを切り口に、施設や空間に付加価値をつけることも、差別化という意味においても可能性はあると思います。いずれにせよ、煙と泡を優雅に楽しむことは、大人に残された数少ない悦楽。そのために、然るべきアイテムと空間選びが不可欠というわけです。

中村孝則

コラムニスト。 世界各地を独自の視点で読み歩き さまざまなメディアで ラグジュアリーライフを提案。 「世界ベストレストラン50」の 審査員も務め 世界各地で美食探求の日々を送る。


2019年11月号より
※掲載商品はすべて税抜き価格です
※新型コロナウイルスの影響で掲載したお店は営業を控えている場合があります

■ お問い合わせ

ダビドフ オブ ジュネーブ 銀座 03-5537-5585

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