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2019.11.14

【第3回】

カリスマホストクラブ経営者・手塚マキに聞く「今の時代に求められる新しいモテる男の条件とは?」

現代における「モテ」の意味と意義を探る新連載「モテ解体新処」。第3回目のゲストは、元歌舞伎町のナンバーワンホスト、現在はホストクラブからバー・飲食店、デイサービスまで、多種多様な事業を展開するSmappa!Group会長、手塚マキさんの登場です。

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写真/椙本裕子 取材・文/木村千鶴

日本では、恋愛って若者の特権みたいな扱いですよね。オヤジが「モテたい」なんていうと、みっともないだの不倫したいのかだのえらい言われようで。でも、男性はいくつになったって、素敵な女性には心ときめきます。

働き盛りのオヤジがモテたいって言える世の中であってほしい。そんな願いを込めつつ、元歌舞伎町のナンバーワンホストで、現在はホストクラブからバー・飲食店、デイサービスまで、多種多様な事業を展開するSmappa!Group会長、手塚マキさんに話を聞きました。

女性から“好かれる”プロにとって、果たしてモテることにノウハウってあるのでしょうか。

今のホストはSNSのフォロワー数が人気のバロメーター

まず、皆さん、最近のホストクラブがどうなっているかご存知ですか? 僕が現役ホストだった90年後半頃は、源氏名で働いて3年で辞めて過去も消す、みたいな人が多い時代でした。お客さんも秘匿性、秘め事を楽しむ要素が強かった気がします。

だけど今は秘め事の魅力はほとんどないんですよ。ホストはみんなSNSで顔出しして、本名でやっている子もたくさんいます。お客様たちも以前は「ホストクラブに行ったらどんな怪しいことがあるんだろう」ってワクワクと同時にビクビクしていたところもありましたが、今はネットで情報が出ているから怖いとういう印象は少なくなったと思います。

でも、だからこそマーケットが拡がり、いろんな人がカジュアルに来店するようになった。今は過去最高のホストバブルだと思います。

昔のホストクラブでは、少ないお客様を獲得するために、お店にまた来たいと思わせる接客の技術とかモテる技術とかがとても大切でした。

でも今はそれより先にSNSのフォロワー数を増やすことに注力しているホストが多いです。お客様もフォロワー数の多いホストにお金を貯めて会いに行く、推しメンを探す、みたいな楽しみ方をする方も増えています。モデルっぽい子も、ビジュアル系みたいな子もいっぱいいます。そういうファン心理的なことを求めている方がたくさんいて、今やホストは会えるアイドルという側面が強いです。
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常に全体が見えていて周りに気を遣えるのが優秀なホスト

でも、そんな中でも本当に長い期間売れ続けているホストたちは、根本的には20年前と変わっていないですね。結論から言うと、売れる、モテるのって、自分だけのことではなく、全体を見てその場を良くしようとしているヤツらなんです。

意外に思われるかもしれませんが、ホストクラブって個人戦ではなく団体戦。例えば僕のお客様が3組お店に来たとしますよね。身体は1つですから、自分が着いている席と着いていない席が発生します。そこに他のホストがヘルプに入って、接客するわけです。そうやって、ホスト同士がお互いに助け合ってお客様を楽しませるのがホストクラブなのです。

自分も他のホストの席に着くわけですから、他のホストを指名しているお客様にも好かれることが重要です。それがそのお客様の担当ホストとの信頼関係に繋がるので。自分指名のお客様だけにモテるんじゃなく、仲間からの信頼が厚く、どこでも人気者でいることが大事なんですね。

その中でも特に、あらゆる場面でコントロールしている司令塔が売れているホストに多いです。それはホストとして仕事が出来るということ。

仕事が出来る人がモテるというのは、ホストに限った話ではないと思います。逆に視野が狭く、気遣いのない人はモテないでしょうね。それはホストクラブ以外の話でも同じですよね。

例えばデートで、楽しみにしていたご飯屋さんに行っているのに、料理をそっちのけで話ばっかりする人とか、彼女にだけ気を配って店員さんにはぞんざいな態度をとるとか、お店の雰囲気に合わない格好で来るとか、はモテないですよね。

自分のこと、彼女のことだけを考えた行動や態度ではなく、「その場」全体に気を配れる人がモテる人だと思います。

僕らの場合は仕事ができる=周りが見えているってことなんです。そういう人間が自然と売れっ子になります。だけど一般的な仕事においても、周囲に気遣うとか、俯瞰して全体を見るって重要ですよね。スタンドプレイよりもチーム戦。一人じゃ何もできないですから。

でも売れっ子ホストが街で必ずモテるかといったらそれはわからない。TPOは常に変わりますから。場面によって得意不得意はあるとは思います。  

僕は実際の恋愛にはテクニックとかノウハウはない、と思ってるんですよ。さまざまな場面で、そこでの作法に則って遊ぶという「TPOの教育」は大事だと思うけど、それ以上じゃないというか。どんな場面でも“これができたらモテる”なんていう万能な技はないんじゃないですかね。
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相手といかに波長を合わせていくか。心得は「合気道」で

では、ホストの場合、お客様とどう距離を詰めていくかって話をすると。初めてホストクラブに来たお客様は、「フリー」と呼ばれるまだ指名ホストがいない状態です。フリーのお客様にはホストが何人も交代で接客します。次回来店した時には自分の指名客になって貰えるように、ホストは短い時間でアピールします。

短時間の勝負なので、どんなに売れっ子のホストでも、その戦いになったら勝率は1割2割。それくらい万能の技っていうのはないのです。

だからそういう短時間で選んでもらう為のテクニックに関しては、あまり重要視していません。なぜならそういうテクニックは相手や状況によって対応が変わりますから、再現性が低いのです。

大事なのは指名されてからいかに長く通ってもらえるかということ。そのために、出会い始めの頃はテクニックというより「合気道」といいますか、どうやって相手の波長、タイミングに合わせられるか、ということを意識します。

例えば連絡のタイミングは彼女のSNSの投稿や、LINEのさり気ない会話などから、ちゃんと読んでもらえる時間帯を探ります。ヒントはいくらでもあります。

昔はそういうお客様との距離のつめ方をグラフで書いて若いホストに説明していました。どうやって相手との波長を合わせるか。

最初はお互いの波長がズレていて、でも探り探り、波長をこちら側が合わせていく。だんだん相手の波長が読めてくると、クロスする瞬間、つまり求められているタイミングが読めてくるんですよね。

「今、彼女が僕に会いたいって思ってるだろうな」ってタイミングにうまくエスコート出来る言葉をポンと置いてあげる。そうやって来店に繋げるのです。

これは決して来店促進だけの話ではなく、LINEのやり取りの言葉遣いや返信のタイミングで元気がない時なんだろうなって気づいてあげて励ましてあげる。そっとしておいてほしいタイミングなんだろうなって時には、そっとしておいてあげる。そうやって、彼女の波長を常に考えていることが大事だと思います。

相手も「波長が合っているな」と感じると、2人の波長を合わせることは楽しいことなんだなって思うようになります。そうすると、それは「それぞれの波長」ではなく「2人の波長」になり、こちらが一方的に合わせるだけではなくなっていく。お互いが気を遣いあえる関係になると、こちら側だけが努力する訳ではなくなるのです。

結局、モテる、気に入られ続けるためには、先ずは相手に波長を合わせていくしかないんです。だから「合気道」。それは才能とかじゃなく、努力で誰でもできることだと思います。
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若い子の“楽しい”に乗っかってみることから始める

だけど、どうなんですかね? 今の時代のモテるおじさんってどんな人なのでしょうか。

僕ら世代が若い頃のモテるオジサン像っていうのは、バブルの恩恵を受けて派手に遊ぶおじさんですよね。そういう憧れが今でもあるんでしょうか?

時代ごとにモテるおじさん像は、変化していくように思います。

20年以上前は、ストリートやクラブでナンパしまくって、みたいなことが横行していて、女性心理を無視したナンパの為のテクニックとかがあった気がしますけど、今はそんな時代じゃないですよね。SNSもあるし女性へのハラスメントのリテラシーが社会全体で上がってきましたし。

そんな時代に何人も女性をはべらして遊びたいなんていうのは、20年以上前、我々が多感だった頃の一部のモテるおじさん像を追っているだけだと思います。やろうと思えば今でも出来るとは思いますが、それが果たして今の時代の大人としてのモテるということなのでしょうか。違うように感じます。

やっぱり時代の変化に合わせていかないといけない。今には今の時代のモテ方があると思います。しかも世代を飛び越えて若い子にモテようと思ったら、自分から相手に近づく努力をしないと永遠に分かり合えない。自分が若い子と一緒に楽しめることを探っていくしかない。

全然違う価値観で、知らない世界に触れるということになれば、それはある意味、面白い経験になる気はしますよね。今の若い子が好きな文化に触れることや若い子が好きな場所に行ってみることで初めての経験が出来るわけですから。

そして大事なことは、その相手をその世代の一人として見るのではなく、一人の個人としての「その子自身」が、何故、その文化を好きなのか? その場所に行きたいのか? を考えることだと思います。そこにその子の本質があると思うので。

どうしても若い子にモテたかったら、まずは試してみる、他の文化も取り入れてみるということが必要でしょう。自分の価値観を押し付けるのではなくて、若いの子の“楽しい”に乗っかってみて、一緒に楽しめるか試してみるのがいいんじゃないですかね?

それは結局、世代の話ではなく、当人同士の価値観の話に繋がっていくと思うので。
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女の子が人生を振り返ったとき、出会えてよかったと思える男でいること

一方で大人には大人の経験値があるし、大人になっていく楽しみってありますよね。何百年も続いた伝統的な文化って、一朝一夕で楽しみを理解することは出来ない。でも年齢を重ねつつ、自分の経験という熟成要素が、その長い歴史ある文化とマリアージュしていくことで、複雑な機微を感じ取れるようになっていく。それが大人の楽しみ方であり、そうやって培う素養を身に着けていくことが他者への想像力に繋がり、品格になっていくのではないかと思います。

だから、それを若い子に教える、大人として入り口を教える、触れる経験を与える、というのはいいことじゃないですかね。押し付けじゃなく入り口をそっと見せてあげる。

僕も自分が20代の頃に大人のお客様方にそういう大人の文化の世界の入口を色々見せてもらいました。その頃はわかりづらい伝統文化的なものに何の意味があるんだろうって思っていました。歌舞伎やクラシックコンサートなんて寝に行くものくらいに思っていたし、ワインよりテキーラでパッと酔えばいいじゃんって思っていましたから。

その時のお客様方に僕は感謝の意も述べていなかったけど、20年後の今は本当に感謝しています。あの時色んな文化の入り口に立たせてもらったからこそ、今は時間が足りないくらい色んな文化に触れる楽しい時間を過ごせている。

当時の大人のお客様方は、“今の僕からモテてる”んですよ。だから、そういう風に僕らオジサンも短絡的に今モテることよりも、未来にモテることに期待してもいいんじゃないでしょうか。

短絡的に、今日、明日セックスしようって考えるのではなくて、女の子に5年後10年後に「あの人と関わることが私の人生にあって良かった」と思ってもらうことが、もしかしたら僕ら世代の今のモテなのかもしれないなって思いますよ。
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他人の価値観を許容しながら自分の価値観ももって、蔑まず、背伸びせず

価値観ってどんどん変わっていきますよね。でも、なんとなく悩んでいるオジサンたちは20年くらい前の価値観のままな気がします。それをいったん手放す勇気じゃないですかね、必要なのは。今の時代はどうかということを、模索することが大事なのではないかと思います。

恋愛観、結婚観について言えば、1960年代半ばまではお見合い結婚の方が恋愛結婚より多かったようです。その当時は個人じゃなく家同士のつながりが強かった。しかし今では9割近くが恋愛結婚ですよね。

ファッションに関してだって年々変わっていく、流行の先端に合わせた自分でいることはもはや無理ですよね。先端はいつだって若者が似合うものですから。

そう考えれば、大人になるということは、そういう流行などの一過性に敏感にいるよりは、長年愛されるようなスタイルを持つことの方が大事なんじゃないかなと思います。

世の中はどんどん変化しています。でも、今の我々オヤジ世代って「こう生きれば大丈夫」って教わってきた世代です。高度成長期で終身雇用があるなんて今となっては幻想で。こう生きろって言われてきたのに、社会に出たらそうじゃなかった。けれど、これまでの型から抜け出せない。俺はこうだからって。

同級生を見ていてそう感じる時もあります。未だに若い時に固定された価値観の中で生きている人もいますが、それだけで不幸だとは思わないですよ。その価値観の中で生きている安心感があるのかもしれないですから。それは世代の話ではなく、人間の数だけある個人の価値観です。

でもそれではモテないですよね。相手に歩み寄らず、自分の価値観の中でしか生きていないから。

外の価値観を受け入れず、自分の価値観を広げず、人の価値観を受け入れることができなければモテるわけがない。常に“ここに来いよ”って話でしかないんだから。

僕が思うのは、他人の価値観を許容しながら自分の価値観ももって、蔑まず、背伸びせず、TPOを意識するのが「品」で、それがハマっているのがカッコいい生き方じゃないですかね。

人間の歴史って、50年前、100年前と振り返るとまったく自分が思っている価値観ではないわけで、恋愛観や結婚観も同じです。僕らはずっと変化の中にいる。

そしてモテるということを、いま一度考えれば、この変化する時代に合わせて “より女性が活躍できる社会になるようにサポートする。その為には女性のことを知る” からスタートなんじゃないでしょうか。

多様なセクシャリティ、これまでと違うパートナーの在り方など、固定観念に縛られない新しい「人と人との関係性」、そういう理想的な社会を考えていくこと、それが今一番必要とされている大人だと思います。

そういう人は社会全体が見えている、頼りがいのある人でしょうから、自ずと若い子にモテるんじゃないのかな~と思います。

●手塚マキ

1977年、埼玉県生まれ。97年から歌舞伎町で働き始める。売り上げNo.1ホストを経て、現在はホストクラブやバー、デイサービスなど十数軒を運営するSmappa! Group会長を務め、歌舞伎町振興組合常任理事として街作りにも携わる。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動をおこなう一方、2017年には歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。著書に『自分をあきらめるにはまだ早い 人生で大切なことはすべて歌舞伎町で学んだ』『裏・読書』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)他。

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