• TOP
  • LIFESTYLE
  • スピルバーグやビル・ゲイツも見つけた「成功への抜け道」とは?

2019.08.16

スピルバーグやビル・ゲイツも見つけた「成功への抜け道」とは?

「あなたはどうやってキャリアを踏み出したのか ── 」18歳の大学生が、ビル・ゲイツ、レディー・ガガ、スピルバーグなど、米国各界の著名人に次々と突撃インタビューした話題の書籍『サードドア』(東洋経済新報社)。彼らはそれぞれに「成功への抜け道」を見つけていた……。

CATEGORIES :
TAGS :
CREDIT :

文/塩野 誠(経営共創基盤 取締役マネージングディレクター)

記事提供/東洋経済ONLINE
「ビル・ゲイツに会いたい」。退屈な大学生活に嫌気がさし、「自分らしい人生のはじめ方」を教わろうと著名人に突撃インタビューを行った18歳のアレックス・バナヤン。スティーヴン・スピルバーグ、レディー・ガガなど多数のセレブに取材した日々をまとめた『サードドア』の日本語版がついに発売される。18カ国で刊行、全米ベストセラーとなった本書の魅力を、塩野誠氏が解き明かす。

成功者だけが知っている秘密のドアとは?

ビジネスパーソンにとって恐ろしい本が出たものだ。世の中にあふれるあまたの自己啓発本を蹴散らす威力を持っている物語である。
誰もが一度は、人生やビジネスにおいて成功者としてメディアに出ている人たちを見て、こう考えたことがあるはずだ。

・あの人は、どうやってあんなに成功したのだろうか?
・あの人が、あそこまで努力できる秘密はなんだろうか?
・どうしてあの人だけが、あれほど有名になれたのか?

彼らは、ごく普通の人には知りえない、成功への秘密のドアを知っているかのようだ。『サードドア』は、これを3つのドアのメタファーで説明する。

第1のドアは正面入り口、世の99%の大勢が列を成して並ぶ狭き門だ。第2のドアは裕福な家や名家に生まれた人、あるいは特別なコネがあるなど、選ばれた人だけが通れるVIP専用の入り口だ。
普通に生きていると、人生にはこの2つしかドアがないように思えてくる。でも実は、いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドアがある。行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、キッチンをこっそり通り抜けたその先に、成功への秘密のドア、第3のドア(サードドア)は必ずあると著者は言う。そして、世界屈指の成功者たちは、みなサードドアをこじ開けてきたのだと。

はたして、普通に生きる私たちは、スティーヴン・スピルバーグやビル・ゲイツ、それにレディー・ガガも通ったかもしれない秘密のドアを、見つけられるのだろうか? そして私たちも、成功者やセレブの仲間入りを果たせるのだろうか?
PAGE 2

成功とは何か、ビル・ゲイツに聞きにいこう

この本は、世界に名だたる著名人たちの成功の秘密と、彼らがどうやって人生の最初の一歩を踏み出したかを探ろうとする、18歳の大学生の冒険の記録である。

著者のアレックスは、イランからアメリカに亡命してきた家庭で育ち、「医者になってほしい」という両親の切実な期待を一身に背負って育つ。学費を捻出するために必死で働く両親の姿を見ながら大学入学を果たすところから物語は始まる。

しかし彼は、本当のところ自分は何をしたいのか、何者になりたいのか?という問いにぶちあたる。「答えを探しに大学に来たっていうのに、湧いてくるのは疑問ばかり」だと、答えを見つけられず悶々と苦しむ。

そして、成功者たちにその秘密を直接聞けたなら、聖杯のようなアドバイスをもらえるのではないかと思いつき、両親の猛反対を押し切って有名人にインタビューする旅に出る。
「ビル・ゲイツに会いたい」。ある日、18歳のアレックス・バナヤンは思い立った。 写真/shutterstock
名もない大学生のアレックスが「ビル・ゲイツに連絡を取ってインタビューしたらどうか」と思いついて実行する。まさに中二病的な荒唐無稽な物語である。

彼はそれを「ミッション」と位置づけ、時代を築いた有名人たちに会いに行き、その旅で得たことを本に書いて、同世代を生きる人たちとシェアしようとする。そこで彼は妄想する。もし夢の大学を作れるなら、どんな教授に教えてもらいたいかと。

友人たちと話し合って出した答えは、ビジネスはビル・ゲイツに、テクノロジーはマーク・ザッカーバーグに、金融はウォーレン・バフェットに、音楽はレディー・ガガに教えてもらおうという、ありえない夢物語プランだった。
「ミッション」を始める資金を得るために、アレックスは有名なクイズ番組に出演して勝ち抜くことを企てる。安易な考えだが、このテレビ番組への出演が、のちのち著名人たちと打ち解けるための大事な話のネタになっていく。

とはいえ一介の大学生にすぎないアレックスに、著名人たちへのコネなどあるはずもない。失敗の不安を抱えながら、トイレで待ち伏せして会おうとしたり、何度も何度も売り込みの「コールドメール」を送ったり。どうにかして突破口を開こうとする。

この本にはその売り込みメールの文章も掲載されている。世の中の右も左もわかっていなかったアレックスのメールが、少しずつ洗練されていくところも面白い。無謀でミーハーな若者の賭けであり、挑戦物語であるが、同時に自らの内面の深いところで自分を発見していく、自己発見の旅でもある。
PAGE 3
スティーヴン・スピルバーグは、どうやってハリウッド史上最年少で大手スタジオの監督になれたのか。  写真/shutterstock

セレブたちの素顔と成功のルールとは?

本書が既存の自己啓発本を圧倒するのは、その登場人物と、彼ら彼女らの発する一言一句の重みである。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツをはじめ、TED創設者のリチャード・ソール・ワーマン、ハリウッド女優で起業家としても大成功したジェシカ・アルバ、音楽プロデューサーとして名高いクインシー・ジョーンズなど、次から次へと有名人が登場する。
読者にとっては、さまざまなセレブの素顔を垣間見ることができる「コスパのいい」本だといえる。アレックスにインタビューのやり方を手ほどきするのは、生涯5万人をインタビューしたという世界最高のインタビュアーの1人、CNNのラリー・キング。彼はインタビューを成功させる秘訣は「自分らしくいることだ」と伝える。

アレックスのメンター役を買って出たのは、人脈作りの天才であり起業家のエリオット・ビズノー。彼からは、「ミーティング中は決して携帯を見るな」「神秘(ミステリー)が歴史(ヒストリー)をつくる」など、多くの人生のルールを学ぶ。
エリオットはあるとき著者にこう話す。「生きるのに必要な額以上のお金はさ、『ゲームに参加するために』使うんだ」。

そんなエリオットの教えを受けながらも、インタビューはなかなかうまくいかない。やっと会ってもらえても、うまく話を引き出せなくて落ち込む日々が続く。

用意しておいた質問がうまくいかず、やぶれかぶれにビル・ゲイツに聞いた質問はこれだった。
「最初の頃の、最も思い出に残るバカげた笑い話は何ですか?」

するとゲイツは日本企業とのミーティングの様子について語り、ビジネスパートナーであった西和彦との思い出を懐かしむ。

また、スティーブ・ジョブズとアップルを創業したスティーブ・ウォズニアックにインタビューした後でアレックスは、「ジョブズのほうがウォズニアックより成功した」という世の一般的な評価を疑いはじめる。

アレックスの体当たりのインタビューから見えてくるのは、表層的ではない、セレブたちの人間性である。
PAGE 4

上ばかり見ないで、世界を広げよう

「ミッション」を続けていくうちに、アレックスは、インタビュー相手として選んでいるのが男性ばかりであることに気づき、世界が見えていないと自分を恥じる。さらに、世界一のお金持ち、最も有名な映画監督など、上の世界の人ばかりを追いかけていたことにも気づく。

それから徐々に、自分自身の変化や、家族との関係性を有名人とのインタビューの中で吐露するようになっていく。そうした会話によって、それまではインタビュー候補として、ただの名前としてしか見ていなかった有名人たちが、自分と同じ一人の人間であることを知っていく。

伝説の音楽プロデューサーであるクインシー・ジョーンズは、自分が経験してきたマフィアと音楽ビジネスの関係を語った後で、アレックスに失敗から学ぶことの大切さを伝え、こう言葉をかける。

「君は、すばらしくて、美しい、人間なんだよ。別のものになっちゃダメだ」
19歳のレディー・ガガは、ニューヨークでウエイトレスをしながらどうやってレコード契約にこぎつけたのだろうか。  写真/shutterstock
現代を生き抜くうえで、本書にちりばめられた知恵ある言葉に勇気づけられる読者も多いに違いない。評者も、本書に出てくる人間たちが、真摯に生き、発する言葉にぐっとくることが何度もあった。

成功者が成功の秘訣を箇条書きにまとめたような本は星の数ほどあるが、まだ何者でもない若者が、誰もが知るセレブに会った感想と、自らの体当たりの失敗を赤裸々に記した本は希少だと思う。

ネットやSNSを見れば「こうすれば成功する!」や「今までのスキルはもう通用しない!」といった言説があふれ、「成功への裏道」をどう見つけ出せばいいか、迷う人も多いに違いない。
この本は、そんな人たちに訴えかける、率直なメッセージがある。自己啓発本が大好きという方も、嫌いな方も、意識の高い若者も低い若者も、評者のようにもはや「意識をなくしてしまった」中年の方にも、ぜひ手に取っていただきたい。

それがあなたという人間をより深く知り、あなたの「サードドア」をこじ開けることにつながるかもしれない。「自分の殻を破るヒント」が詰まった冒険の書である。
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

LEON.jpの最新ニュースをお届けします。

RECOMMEND FOR YOUおすすめの記事

RELATED ARTICLES関連記事

SERIES

READ MORE

SPECIAL