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2019.04.03

新元号「令和」発表! 大人は知っておきたい元号の基礎知識

2019年4月30日をもって平成は終わり、次の時代が始まります。新たな元号「令和」が4月1日11時半に発表されました。というわけで、大人なら知っておきたい、 元号の歴史と意義について探ってみました。

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文/伊野上真凛

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いよいよ改元が目前に迫り、注目すべき新しい元号「令和」が4月1日に発表されました。巷はすっかり新元号の話題一色ですが、一方で発表前にはホリエモンが「元号とかやめてほしいわそろそろ」と呟いたように、元号ってまだ必要なの? なんのためにあるの? と疑問に思っている人もいるのでは? 
そんな元号について、読者の皆さまも基本的な知識+ひとネタくらいは知っておいて損はないかと。そこで、デートでも使える(?)改元の歴史や元号の意味についてご紹介します。

皇室典範でも想定されていなかった「生前退位」

読者の皆さまは、すでに『昭和』から『平成』への改元を経験済みの方も多いことかと。『平成』は明治、大正、昭和と比べて戦争が起こることもなく、近年の日本の歴史のなかでも、もっとも平和な時代だったといえるかもしれません。一方で天災も多く起こり、忍耐の時代と捉えた人も多くいるようです。

そんななか、今上天皇が2019年4月30日をもって生前退位をご決断。天皇一代につき一つの元号を使用する「一世一元制」が明治元年におおよそ固まって以降、はじめての出来事です。現在の皇室典範でも、今回のような生前退位は想定されていなかったのだとか。

元号はいつからあるのか?

知っているようで意外と知らない元号。まずは歴史からおさらいしていきましょう。

元号の起源は、中国の前漢、武帝の時代。王朝の権威を誇示する手段として、紀元前140年に「建元」という元号がはじめて使われたとされています。それ以降、近隣諸国にも元号制が波及し、日本では孝徳天皇の大化元年(645年)に元号制度が導入されたと記録されています。

初の元号である『大化』から『平成』までは、合計247(※1)の元号が使われてきました。現在のような一世一元制になる以前は、天皇即位のほか、祥瑞(縁起のよいできごと)、天災(地震、火災、飢饉、疫病)、迷信などのさまざま々な理由でおまじない的に改元が行われたそう。元号には「良い政治が行われ、天下が平和であり、民衆が幸福であるように」との願いが込められました。

南北朝時代の後花園天皇の時代にはなんと天皇一代で8つの元号が使われたという記録もあります。今上天皇が第125代天皇であることから見ても改元の多さがわかります。
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日本は一世一元制を使う世界で唯一の国

元号とは時代を表す記号ですが、もともとは天皇の権力や権威を象徴するものとして機能してきました。新しい元号を決める際は、次の時代への願いや期待を込めて側近たちが検討し、天皇自身が最終決定を行ってきたのです。現在でも元号は国家の象徴であり、国民統合の象徴として、天皇とともにあるものです。
一方、元号発祥の地である中国では、ご存知の通り清王朝を最後に元号制は廃止となります。朝鮮半島やベトナムでも、王朝制度が終わるまで元号制を使用していたそうですが、現在は日本が一世一元制で元号を使う世界で唯一の国といわれています。

また、元号と並列で論じるのは難しいですが、現在でも独自の時代呼称を使っている国もあります。台湾では、建国時から『民国』という時代の呼び方を採用していたり、北朝鮮でも金日成の生誕年である1912年を元年として『主体(チュチェ)』という呼称を使っています。しかし、主導者がかわっても呼称が変わることはありませんでした。

元号はどのぐらい世の中に普及していたのか?

国の中枢と深い関わりをもってきた元号ですが、江戸時代以前は実際に庶民の間でどう受け止められてきたのでしょうか。

元号は、幕府や朝廷といった天皇家と関係がある人たちにとっては重要なものでしたが、庶民にとっては最近まで、暦や干支のほうが身近だったようです。若い人はあまり使わないかもしれませんが、年長者であればいまも干支を基準にして “ひと回り違う”といった年の表現を使う方も多いですよね。
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『昭和』は実は“外れ”の元号だった!?

そして『明治』に改元されると、「一世一元制」(ひとりの天皇につきひとつの元号)となります。ちなみに明治の元号は、古典『易経』の書中にある「聖人南面して天下を聴き、明に嚮(むか)いて治む」という言葉の「明」と「治」をとって名付けられたそうです。

学者や側近たちがいくつかの候補を選び、そこから明治天皇が自らくじを引いて選んだといわれています。そんな新しい時代への思いを込めてつけられてきた元号ですが、実はこれまでに“外れ”だと言われた元号もあるのだそう。

例えば江戸幕府10代将軍・家治の時代、1764年から1772年につけられた『明和』。明和9年は語呂が“迷惑年”になってしまうと言われ、実際、同年に江戸の三大大火に数えられる「明和の大火」が発生してしまいます。その後、すぐに改元が行われました。

幕府のお膝元で暮らした江戸庶民は、この大火事が『明和』という元号のせいだと怒りを露わにしたそうです。そんな訳あり元号『明和』の出典、実は『昭和』と同じ文献(※2)なのだそう。明和の一件があったために、当初は一部に『昭和』もあまりよくない元号だと言う声があったとか。実際、『昭和』は日本の歴史のなかで唯一、戦争に負けて外国に占領されるという時代でもありました。とはいえその後の日本の大きな発展を考えると……評価は??

元号の条件。どんな思いが込められるのか?

次なる新時代は、より一層平和と発展が続く明るい時代になってほしいと思いますが、皆さまは新元号「令和」にどんな思いを感じたでしょう? ちなみに、「元号選定手続きについて」で「留意すること」とされているのは、次の6つです。
1) 国民の理想にふさわしいような良い意味をもつものであること
2) 漢字2文字であること
3) 書きやすいこと
4) 読みやすいこと
5) これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと
6) 俗用されているものでないこと

参考文献/「改訂新版 元号事典」川口謙二、池田政弘著(東京美術)、「元号事典」川口謙二・池田政弘著(東京美術)、「元号を考える」鈴木武樹編(現代評論社)、「精選版 日本国語大辞典」(小学館)、「元号全247総覧」山本博文編著(悟空出版)、明治神宮HPほか

※1 元号の総数については諸説あります。
※2 「明和」「昭和」の出典は共に中国の五経のひとつである『書経』の中の「百姓昭明、協和万邦」という同じ一節だと言われています(諸説あります)。

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