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2019.08.29

慶應ボーイが告白「ぼくらが『二郎』のラーメンを愛する理由」

慶應大学の在校生はもちろん、OBのSNSに頻出するとあるラーメン屋の超ボリューミーな1杯。都会的なイメージで知られる彼らがこよなく愛するラーメンの秘密とは。

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文/秋山 都 写真/吉澤健太

「ラーメン二郎 三田本店」のラーメン、こちらは初心者向けの小ヤサイニンニク。
どんぶりからあふれんばかりの野菜と豚と呼ばれるチャーシュー……このラーメン、ご存知だろうか? 自分では食べたことがなくても、SNSやテレビでご覧になった方も多いかもしれない。
「ラーメン二郎 三田本店」のラーメン。いまや東京をはじめ、京都や新潟など全国40店舗にも及ぶ「二郎」系列に加え、“二郎インスパイア”と呼ばれる類似のラーメン店を数えれば数多のお店がある有名店だ。この「二郎」が話題となり始めた80年代当時、お店は三田に1軒あるのみだった。

当時、JR田町駅から慶應の三田キャンパスに向かう交差点に面した角地という絶好のロケーションにあった「ラーメン二郎 三田本店」。あのころ、慶應ボーイと話すたび「おれ、いつも小ブタヤサイマシマシ」「ぼく、メン少なめでアブラカラメニンニクね」と呪文のような会話に入れず寂しかったなぁ。あのころの「二郎」は慶應ボーイたち占有のオフリミットという印象があり、容易に他校の、それも女子大生になど入れない独特のオーラを放っていたものだった。

いま大学を卒業して四半世紀あまり……かつてラクロスのクロスやテニスラケットを手にスタジャンを羽織っていた慶應ボーイたちもすっかり貫禄を増し、日本を牽引するリーダーとして日々の経済活動に勤しんでいる。でも、彼らが今また「二郎」のラーメンを前にするとき、数十年分の時計が一瞬にして巻き戻され、あの青春時代がプレイバックされるかのように楽しそうだ。いったい彼らはなぜこれほど「二郎」を愛するのか。ジロリアン(注:「二郎」のラーメンをこよなく愛する人の呼称)である慶應OBのふたりと一緒に「二郎」を初体験してきた。
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ジロリアンは語る。

「ラーメン二郎 三田本店」にてジロリアンのおふたり。入山隆明氏(左)と池田謙伸氏(右)。
「初めて二郎を食べたのは1985年、15歳の時でした。周囲からも話を聞いていたし、今ほどではなかったけれど慶應の学生たちで行列ができていました。でも最初は『これが噂の二郎?』と意外に思うほどあんまり美味しいと思えなくて。ただ先輩からも『まずは3回食べてみろ、それで夢に見るようなら素質がある』って言われてまして。で、実際3回食べてみたら本当に夢にみたんですよ(笑)。そこから僕のジロリアン人生がスタートしました」(池田氏)

「卒業以来、20数年経ちますが、継続的に年間100~120杯食べていました。さすがに健康を気遣うようになり、最近少しセーブしたら10キロ痩せまして(笑)。でも今日は久々に本店に来られてうれしいなぁ。さ、行きましょうか」(入山氏)

「『二郎』の注文ルールは難しいと思われがちですが、実はシンプル。まずラーメンは大か、小か。そしてぶた入りとぶたダブルというオプションです。初めてならまず小でいいでしょう」(池田氏)

「座ったら、食券を出します。麺を少なめにしたい、半分にしたいなどのリクエストはこの時言ってください。その後『ニンニク入れますか?』と聞かれたら、トッピングのコールを。ヤサイは主にモヤシとキャベツの茹で野菜。アブラはブタの油脂。カラメは醤油系の調味料。初めてならヤサイとニンニクは入れたらどうでしょう」(入山氏)
小ヤサイニンニク。トッピングはすべて無料のため、これで600円です。
このタイミングで着丼。小で、かつ「麺を半分に」とオーダーしたのにこのそびえたつボリューム感。食べきれるのかやや不安になりつつ、隣を見てみると……
入山氏は小ブタダブルヤサイカラメニンニク、池田氏は小ブタダブルカラメニンニクをオーダー。
これで1杯2000Kカロリーほどあるんだそう。
あ、もう食べ始めてる。急がないと……ズルズル。ヤサイが常温なのでラーメン自体も熱くなく、これは案外スムーズにイケるかと思えたが、麺が思いのほか太く、コシがあるので咀嚼に時間がかかる。スープは野菜の甘味が熔け出ているが、それほど塩味が強いわけではなく、意外にもやさしい味。ううむ、確かにクセになるかもなぁ。

「僕ら、先に出てますね」

え、もう? 見ればスープまで飲み干した空のどんぶりをカウンターの上段へ戻し、卓上のおしぼりで飛んだスープなどをきれいに拭いてから席を立つふたり。あ、そのおしぼりは卓上を拭くものだったのか。私、それでさっき口をぬぐっちゃった。
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「なんでこんなに『二郎』が好きなのか」真剣に議論するジロリアンのふたり。
久々に三田本店で小ダブルを堪能して大満足のジロリアンふたり。二郎のラーメンを食べたあとに特におすすめだというコーヒーを飲みながら、ゆっくりお話を聞こうと場所を移動した。と、目の前にすっと差し出されたのは……
ニンニクを入れたラーメンのあとには欠かせないという口臭ケアとアブラにまみれた口周りを拭くウエットティッシュ。さすがジェントルな慶應ボーイ、気が利いてる。
「二郎を食べてそのまま家に帰るとすぐ家内にバレちゃうのでブレスケアは欠かせません。奥さんもジロリアンヌ(注:二郎を愛する女性の呼称)なので理解はあるほうなのですが」(池田氏)
入山隆明氏。慶應義塾高校から慶應大学経済学部卒業。在学中はラクロス部に在籍しており、今も社会人チームで活躍。
ところで入山氏はこの10年ほどで年間100~120杯をコンスタントに食べていたものの、この1年は健康を気づかい、二郎を控えていたのだとか。結果10キロ減量したそうで……
「ガマンしていた最初のころは禁断症状に苦しみました。でも数週間ですっとヌケるというか。楽になるんですね。同じことは海外赴任した友人たちからもよく聞きますね」

それほど苦しかった禁断症状を克服してからの一杯、どんな味だった?

「気絶するほど美味かった(笑)」
池田謙伸氏。慶應中等部から慶應義塾高校、慶應大学経済学部卒業。二郎に近いからという理由でNECに就職し、現在は独立、会社経営。
2012年、当時卒業20周年にあたっていた池田氏は連合三田会(慶應卒業生による連合同窓会)に初めて「ラーメン二郎 三田本店」を誘致することに成功。いままでイベントに一切参加したことがない店主、山田拓美総帥を説得し、日吉キャンパスで500杯ものラーメンを販売。1968年の開店以来「初めて(スープの)寸胴が動いた」と同窓生から感激されたのが、30年以上に及ぶ二郎人生におけるハイライトのひとつだと語る。
連合三田会「ラーメン二郎 三田本店」出店を記念して作られたオリジナルTシャツ。池田氏自らデザインした門外不出の一枚。
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そこまで愛される「ラーメン二郎 三田本店」の魅力とはなんなのだろう?

「もう大人だし、お金を出せば美味しいものはほかにも食べられると思うのですが、簡単に言ってしまうと二郎は僕のソウルフード。もし雪山で遭難するようなことになったら、最後に二郎の大ダブルヤサイカラメニンニクをもう一度食べたいと思うだろうなぁ」(池田氏)

「やっぱり美味いです。でも120杯は食べすぎだよね(笑)。二郎を食べ続けるためにも健康でいたいから、これからは週に1杯くらいのペースをキープしたい。いまは地方に二郎出身のお店も増えたから出張ついでにそれらを探す楽しみもあるし、ときに麺の量がブレているときだって“麺ブレ”なんていって僕らはそれすら楽しんでしまうんです。二郎は単なるラーメン屋ではなく、良いときも悪いときも一緒にいる。僕らにとって大切な友人みたいな存在」(入山氏)

1990年代に道路拡張により閉店を余儀なくされた「ラーメン二郎 三田本店」を、慶應大学内の学生食堂へ誘致しようと多くのジロリアンが署名活動を行った。残念ながら大学サイドから認められず、「ラーメン二郎 三田本店」は大学正門近くに移転。今日もおなじみの黄色いファサードのもと、多くのジロリアンが行列を成していることだろう。1杯のラーメンと慶應ボーイたちは今日も新しい物語を綴りつづけている。

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