• TOP
  • ITEMS
  • 「それ、どこの?」と必ず聞かれる、ビームス設楽社長の名刺入れ

2019.01.03

「それ、どこの?」と必ず聞かれる、ビームス設楽社長の名刺入れ

ビームスの顔であり代表である設楽社長は、仕事や遊びはもちろんのこと、トークとユーモアのセンスは業界随一。お買い得なモノでも最高にラグジュアリーな使い方を見つけたり、超高額な逸品を気軽に使ってみたり。そんな設楽社長流の“お金じゃなくてセンスです”をご教授いただきます。

CREDIT :

写真/内田裕介(maettico) 取材・文/池田保行(04)

null
 取材場所は昨年の6月にオフィスを移転した真新しいビームスの本社。その社長室は、大人がワクワクする空間でした。壁一面に設えられた本棚に並ぶ貴重な写真集やアートブック、無造作に置かれたアートピースの数々。イームズのレッグスプリントが、さりげなく置かれていたのにも驚かされました。クラシックから最新のストリート&モードまでを網羅するセレクトショップ、ビームスのエッセンスをぎゅっと濃縮したかのような空間。

 設楽社長には、これまで何度かお会いしていますが、こちらのオフィスは初訪問。「住所が新しくなりましたので」と、名刺をいただく際に気づいたのは、なんだか古びたカードケース。それって名刺入れですか?

「これじつは、ヴィンテージの煙草入れなんです。浅草で観光用に人力車を引いている車夫さんがいますでしょ。彼らが持っていたのを見て、カッコ良いなと思い探してみたんです。名刺を入れるのにぴったりのサイズで、枚数もたくさん入るから便利でしょ。もう一個はカード入れに使ってます」
PAGE 2

なんでも買える時代こそ、”すぐに買えないもの”が面白い

 キセルに詰める刻み煙草を入れるケースは、印傳という鹿革の素材が使われています。甲州、いまの山梨で400年以上も歴史のある日本伝統の革鞣しの技法を使ったとても貴重な品。

これはどちらでお求めになられたのですか?

「着物用の和装小物を扱うお店で、たま〜に店頭に並ぶんです。いつもあるわけじゃないので、見つけるのは簡単ではないと思いますが。昭和初期ぐらいのものと、もう一つは大正時代のものかな。味があっていいんですよ。この根付部分をベルトに挟んでおけば、取り出しやすくて名刺交換もスマートだし」

 見事な彫り物が施された根付けを拝見すると、かなりの上物とお見受けしますが、もしかして相当お高いものなのでしょうか。

「あぁ、この根付ですね? クロムハーツよりもカッコいいかな、と(笑)。専門の収集家がいるぐらい人気のモノらしいのですが、細かいことは気にしたことないのでわからないですね〜」

「彫師が誰とか、そういうところまで語れるのもいいと思いますが。この根付けはネコなので、相手からネコちゃんかわいい〜♡って言われるだけでいいなと(笑)」

 そういって笑い飛ばすあたり、なんとも設楽さんらしいところです。ヴィンテージとしての価値より、いま使ってウケるモノ選びという視点がまさにビームスの真骨頂といえましょう。貴重なアイテムでも、おもちゃ感覚で楽しむ発想には邪気がないのです。
PAGE 3

ルールよりも、いいなと思う”直感”を信じる

null
「同じような和装の小物ですが、この巾着袋も印傳なんですよ。これは友人でもあるお寺の住職さんから頂いたもの。普段は着物姿の和尚さんが、その日はスーツでいらしたんですが、仕事柄クラッチバッグはお持ちじゃない。そこでちょうどいいからと、この巾着袋を持っていたのですが、それがとてもカッコ良かったんです。持ち歩くサイズもちょうどいいし、軽いので確かに便利なんですよ。僕は和服のときはもちろんですが、ジャケットスタイルでこの巾着を持ち歩くこともあります」

 きれいな朱色の印傳に、「コキ」と呼ばれる紐を通す部品は水牛の角。こちらもかなりのお値打ちモノと思われますが、設楽さんにはレアな逸品という意識はなく、カジュアルなクラッチバッグ代わりに持ち歩かれているようです。この姿勢がじつに気軽で粋ですね。

「スーツやタキシードで持ってみたら意外と合いましてね(笑)。それで、あまりに使い勝手が良かったので、ひとつオーダーで作ってみたんですよ。それがコレなんですが……」

 そう言いながら取り出したのは、なんとリアルクロコのレザーを使った巾着袋! 竹腑の揃い具合からして、見るからにラグジュアリー。コキには象牙を使いたかったそうですが、こちらは水牛でオーダーされています。

「これは、夜遊びのときに持っていきます。モードな感じがしますし、どこで売ってるの?なんて、会う人会う人に聞かれますよ」

 和装小物を現代のスタイルに合わせてカスタムするセンスは、じつにお見事。
PAGE 4

ファッションは相手を楽しませてナンボ

名刺入れ代わりの煙草入れや、クラッチバッグ代わりの巾着使いなど、実用としてはもちろん、会う人会う人を驚かせて楽しませるコミュニケーションのツールとして使いこなしている点が、設楽さんの“お金じゃなくてセンスです”の神髄と感じ入りました。

「灯台下暗しと言いますが、僕は日本のことを全然知らなかった。以前、サヴィルロウのギーブス&ホークスで見せてもらった生地見本が日本の浴衣生地だったり、パリのコレットに置かれている曲げわっぱがすごくカッコ良く見えたり……海外で日本を気付かされる瞬間は多々あります。だからこそ、いま日本が面白いと思っているんです。そうそう、和服の生地でジャケットを仕立てましてね……」

 といいながら社長室の角にあったラックからハンガーを取り出しに立ち上がった設楽社長。それは、また次回ご紹介しましょう。
null

● 設楽 洋 (したら・よう) / 株式会社ビームス 代表取締役社長

1951年東京都出身。1975年慶應義塾大学経済学部卒業。1975年、電通へ入社。セールスプロモーション局にてイベントプロデューサーとして活躍。1976年、父の立ち上げた「BEAMS」設立に参加し原宿で「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」をスタート。昨年は新たなランドマークとなるショップ「ビームス 六本木ヒルズ」をオープン。

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        「それ、どこの?」と必ず聞かれる、ビームス設楽社長の名刺入れ | アイテム | LEON レオン オフィシャルWebサイト