【解説】大人が黒を着るときに注意すべき２、３の事柄

今シーズンのトレンドカラーでもある黒は、大人の着こなしにもたらす恩恵がいっぱい。黒を基調にしたカラーコーデはモダンなテイストや都会的な洗練を醸し出せるだけでなく、収縮色ゆえボディラインが引き締まって見えるという視覚効果も期待できます。

ただ、黒には注意すべき点も。素材のよしあしが如実に際立つ色ゆえ、できるだけ上質な素材を選ぶことが肝心。また、黒のアイテムを多用した着こなしは、ぼやけた印象にならないよう異なる風合いの素材を組み合わせて、メリハリをつけることが肝心です。

黒の魅力が最大限に引き立つオールブラックコーデ。ポイントはチェスターフィールドコートをはじめ、タートルネックニット、ストールと黒のカシミアの3点使い。カシミアならではのなめらかな風合いが、黒の美点と相まって、上質な色気をむんむん醸し出します。全体の印象が重苦しくならないようにニットはシャギー風の起毛感のあるものを、パンツはほんのり光沢感があるウールスラックスをチョイスしました。

高機能を謳うダウンジャケットは数あれど、この「アニエネ2」ほど贅沢なモデルは他に類を見ません。なにせ表地は、しっとりなめらかな起毛感と微光沢をあわせ持つカシミアですから。匂い立つ艶リッチなムードもさることながら、当然、巷のナイロンダウンより保温性も上。タヌキの毛皮を使ったフードのファーもラグジュアリーなイメージを強めます。

フィレンツェの名門ファクトリーブランドの名物といえば、レザーのライダーズジャケット。立体感のあるスリムシルエットに加え、チンストラップのスナップボタンやジップのラインを露出させないディテールワークによって、すっきりと洗練されたイメージに。今シーズンの狙い目はベルベットのようになめらかな起毛感を持つブラックスエードのこちら。

黒のタートルネックニットなら、1934年にモンツァで設立されたニットブランドのものが間違いありません。熟練職人の手作業によるニッティングもさることながら、素材のクオリティも卓越しています。ふんわりとした起毛感、上品なキューティクルが、質の高さを物語ります。また、色によってカシミアの原毛を使い分けることで、より鮮やかで深みのある色みが表現されています。

コーデをモダンに引き締める黒スラックスなら、トリノのパンツ専業ブランドが誇る美脚シルエット「スーパー スリム フィット」で決まりです。きもちゆったりした1プリーツの腰回りから裾にかけてのテーパードシルエットが黒の持つシャープなイメージを際立たせます。なかでも本命はストレッチ コンフォート フランネルを使ったこちら。細身のスラックスとは思えない楽ちんさを味わえます。