2025.05.05

【Q1】睡眠時間が短いと寿命が縮まるってホント?

寝ても疲れがとれない、起きたい時間よりも早く目が覚める。年齢を重ねて、睡眠にまつわるお悩みが増えたのでは? そこで、オヤジさんも多く訪れるという『眠りと咳のクリニック虎ノ門』の柳原万里子院長に、さまざまな疑問に答えていただきました。

CREDIT :

イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)

A.短い睡眠時間でも元気に効率よく日中を過ごせるのであれば問題はありません

【Q1】睡眠時間が短いと寿命が縮まるってホント?
「春眠暁を覚えず」と言いますが、近頃ぐっすり眠れていますか? 日々のパフォーマンスと若さを保つために欠かせない睡眠ですが、毎日の睡眠に不満を覚えるオヤジさんも多いかと。そこで、ビジネスパーソンが抱える睡眠の悩みと日々向き合っている『眠りと咳のクリニック虎ノ門』院長の柳原万里子先生にお話をうかがいました。
── 40〜50代男性に必要な睡眠時間は、何時間でしょうか?

柳原先生(以下、柳原) 一般的な目安としては6〜7時間。ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。大切なのは、ご自身が心身ともに調子よく明日を過ごすために必要な睡眠時間を知り、スケジュールを調整することです。
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例えばビル・ゲイツ氏をはじめとする起業家の方々は、ショートスリーパーが多いと言われています。一方で学者や研究職の方は睡眠時間が長い傾向があります。アインシュタイン博士は邪魔されないように寝室に鍵をかけ、1日10時間以上眠っていたそうですよ。

── 面白いですね。日本人は世界一平均睡眠時間が短いと言われていますよね。

柳原 そうですね。たとえば2021年のOECD(経済協力開発機構)の調査では、加盟国33カ国の中で最も平均睡眠時間が短かったのが日本の7時間22分。33カ国の平均8時間28分より1時間以上も短かい結果です。さまざまな調査があり韓国が最下位のケースもありますが、多くの調査で日本はワースト1位に輝いています。さらに、日本人の中でも40〜50代の睡眠時間が最も短く、2020年のNHK国民生活時間調査では日本人全体の平均が7時間12分であるのに対して、40~50代は男女ともに7時間を切っています。

とはいえ日本人が睡眠不足に耐えられる特殊な遺伝子をもっているわけでもないし、昔から短い睡眠時間で生活していたわけでもない。社会が近代化し昼夜を問わず活動できる環境になるにつれて日本人の平均睡眠時間は1時間以上も短縮しているんです。他の先進国にはこの傾向は少なく、おそらく「寝食を削ってでも頑張るのが美徳」とされてきた日本人の国民性が原因なのではないでしょうか。
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── なるほど。自分にとって適切な睡眠時間を見つけるにはどうしたら?

柳原 まず「今よりも30分長く眠る」と決め、実験のつもりで2週間、規則正しく睡眠時間を延ばしてみましょう。2週間経った時点で、ある程度の熟睡感がありスッキリと起きられる状態で、なおかつ日中のパフォーマンスが良好(眠気や倦怠感、集中力の低下などのない状態)であれば、それがその方にとって適切な睡眠時間ということになります。

まだ寝足りないと感じる場合にはもう15分ずつ睡眠時間を延ばしてみましょう。決めていた時刻よりも早く目が覚めるようなら15分ずつ睡眠時間を短くするなど微調整をし、ご自身に合った睡眠時間を探してみてください。

ここで注意点が1つ。睡眠時間を延ばそうとしても寝つきが悪くなったり中途覚醒が増えてしまった場合、または睡眠時間を延ばせていても日中のパフォーマンスが悪い場合は、単なる睡眠不足ではなく何らかの睡眠障害が隠れているサインです。ぜひ、睡眠外来を訪ねてみてください。

── LEONの編集長は4時間半睡眠がクセになっているんですが、寿命が縮まらないかと心配です。
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柳原 まず前提として、睡眠不足とショートスリーパーは別の話です。毎日4時間半の睡眠でもしっかりリフレッシュできて、元気に効率よく社会生活とプライベートをこなせるのであれば、特に問題はありません。しかし、本来は7時間睡眠が適しているのに4時間半睡眠で頑張っている状態なら、睡眠不足のために寿命、特に健康寿命が縮まる可能性が大です。

慢性的な睡眠不足は抑うつ症状や肥満をはじめとする生活習慣病、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症などの心血管疾患、さらにはがんや認知症のリスクを増やします。睡眠は脳と体と心をメンテナンスする時間です。お肌と一緒でメンテナンスをしないと肌荒れを起こしたり、早く老化してしまうのと同じと考えましょう。

── うわぁ、これからは寝不足に気をつけます!
柳原万里子(やなぎはら・まりこ)

● 柳原万里子(やなぎはら・まりこ)

医学博士。日本睡眠学会総合専門医・指導医。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。公益財団法人神経研究所睡眠健康推進機構学校訪問型睡眠講座・出張睡眠市民講座事業登録講師。筑波大学附属病院睡眠呼吸障害診療科講師、東京医科大学睡眠学寄附講座客員講師を経て2022年11月に「眠りと咳のクリニック虎ノ門」を開院。皆さまの睡眠と健康寿命を守る、をモットーに女性ならではの丁寧な視点で多岐にわたる睡眠障害の診療と臨床研究、啓蒙活動を行う。著書に「臨床医のための疾病と自動車運転(三輪書店)」「診断と治療のABC 睡眠時無呼吸症候群(最新医学社)」など。

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眠りと咳のクリニック虎ノ門

■ 眠りと咳のクリニック虎ノ門

住所/東京都港区虎ノ門1-1-18 ヒューリック虎ノ門ビル1F メディカルスクエア虎ノ門内
TEL/03-6205-7541
診療時間/月・火・木・金曜10:00〜14:00、16:00〜20:00(水曜は不定期) ※受付時間は診療終了の30分前まで
休診/土・日曜・祝日
HP/https://sleep-toranomon.com

「睡眠」が気になったら

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