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2017.12.14

和食とマデイラ酒! 斬新なペアリングでいただく珠玉の懐石/新橋「高野」

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文/柏木智帆

懐石料理には日本酒が合う…と思われがちですが、新橋「高野」はそうした既成概念にとらわれないお店。なんと、ワインのみならず、マデイラ酒とのペアリングも提案しています。最近では鮨とワインのペアリングなども話題になっていますが、ワインにインパクトがありすぎてしまうなど、ペアリングが成功していないケースもありがち。でも、この店に食通の彼女を連れてきたら、大興奮すること間違いなし。料理とお酒のペアリングの新しい世界を見せてくれるお店です。
新橋駅前とは思えない落ち着いた雰囲気の店内
新橋駅から徒歩数分の裏路地のビル。狭く急な螺旋階段を2階へ昇ると、「高野」と書かれた清潔感漂う真っ白なのれんが現れます。扉を開けると、奥に向かって真っ直ぐ伸びる檜のカウンター。借景を望めそうな丸窓。新橋駅前とは思えないほど静かな空間が広がっています。

カウンター10席で、料理は9品のコース料理のみ。この日のお造りは、築地で仕入れたヒラスズキとカツオ。醤油はとろりとして発酵感があります。「溜まり醤油や濃口醤油などをブレンドして作っています」と店主の高野正義さん。細部にまでおいしさを追求する姿勢が垣間見えます。
お造りに添えられた醤油は高野さんのブレンド

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味を重ねていくうちに美味しいと感じるワインを

提供された白ワインは、まるで山の湧き水を飲んでいるようなきれいな味。程よく脂が乗ったカツオの刺身を食べた後でも、このワインを口にすると後味すっきり。魚の脂がきれいに消えていきます。

おすすめワインを尋ねると親切に教えてくれるのは、おかみの高野洋子さん。かつて日本ソムリエ協会の役員も務めていたというシニアワインソムリエです。
「和食の中でも懐石料理は淡い味わいの料理。日本酒ならばすべて和食に合うわけではありません。ワインでもスパイシーだったり花の香りが強かったりと特徴的なものだと、料理の中にはバッティングしてしまうものもあります。口に入れた途端においしいと感じるワインではなく、飲み続けて味を重ねていくうちに、おいしい、心地いいと感じるワインを提供しています」
2002年のオープン当初からワインとのペアリングをおすすめしていましたが、「料理の味わいや旨みのバランスと同じ方向性をもつお酒は、お米(日本酒)ではなくぶどう(ワイン)でもできるということを15年間で実感しました」と高野さん。「日本人はお吸い物のようなきれいな味を好みます。ぶどうのきれいさが出ているワインは万能。海外から訪れるワインの造り手たちも『ワインと料理が同じテイストだ』と言いますね」
出汁はすべて鮪節。鰹節のように主張が強くなく、それでいて旨みがしっかりとしています。淡いなかにもしっかりとした旨みが感じられ、味わった後はきれいな余韻を残しながら消えていく。1つ1つの料理が次の料理の邪魔をしません。料理とワイン共にきれいな味わいなのです。
彼女にきれいな見た目のプレゼントをするのもいいですが、さりげなく味わいがきれいな料理をごちそうするのも粋なものです。
ハタとヒラタケと芽カブのお椀。鮪節を使った出汁は優しい旨み

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上品な甘みのマデイラ酒と懐石料理のマリアージュ

この店で推しているのは、マデイラ酒(マデイラ・ワイン)。ポルトガルのマデイラ島で造られ、発酵途中でブランデーを添加したアルコール度数の高いお酒です。

「マデイラ酒は上品な甘みが魅力です。しっかり系よりも軽やかなものを選べば食中酒にもいけます」と洋子さん。懐石料理とマデイラ酒のペアリングは、おそらくこの店だけではないでしょうか。酸味と甘みのバランスが良く、後味が爽やかなこのお酒は、多くの女性が好みそうです。
このマデイラ酒に驚くほど合ったのが、5品目に出てきた鯖の棒鮨。赤酢を使った酢飯の上に分厚い鯖。もっちりとしたごはんは赤酢の旨みが濃厚で、食べ応えがあります。この棒鮨を食べながらマデイラ酒を飲むと、なんと味の方向性が似ているのです。赤酢を使った棒鮨の発酵感と、マデイラ酒の良い具合に出ている酸味。この鯖の棒鮨のためにあるお酒といっても過言ではありません。
コースの最後に出てくるごはんは、新潟県岩船産の天日干しコシヒカリ。時間をかけてゆっくりと丁寧に精米された白米を土鍋で炊き上げます。おすすめは、2杯食べること。炊きたての1杯目はやわらかいのですが、少し冷めた2杯目はもっちりと弾力が出て、甘さを感じやすくなります。土鍋炊きごはんは、目の前で炊き上げ、1つの釜で味わいの変化を楽しめる、まさにエンタテインメント。料理とお酒のペアリングで高まった彼女の興奮がさらに高まります。
ごはんと赤出汁に添えられたイクラは塩水漬け。ごはんに乗せると、「塩味のTKGみたいでしょう」と高野さん
女性にうれしいのは、食後のお茶。懐石料理には抹茶を出すのが習わしではありますが、この店では中国茶。「日本茶と違って中国茶は旨みが強く華やかな味わい。しかも、ワインと余韻が変わらないんです」と高野さん。目の前で茶を淹れる様子もまたエンタテインメント。この日は、福建省の鉄観音茶。華やかな甘い香りで、飲み重ねるごとに旨みが増していき、先ほど飲んだお酒の延長線上に中国茶があることに気づかされます。
懐石料理にワインとマデイラ酒と中国茶。さまざまな食文化が混ざりながらも、すべてに共通するきれいな味わい。食通の彼女をとめどなく刺激するニクイお店です。

◆ 高野

住所/東京都港区新橋1-11-1 中静ビル 2F
営業時間/18:00〜22時(最終入店20:00)
URL/www.takano-gohan.com
予約・問い合わせ/☎︎03-5537-3804

●料理はコースのみ。1万1000円

●柏木智帆

元神奈川新聞記者。取材を通じてお米とお米文化に興味をもち、お米農家を経て、現在は「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに執筆活動を続けている。ちなみにお米でできた日本酒も大好き。

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