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2021.01.09

飲んでよし、買ってよし、売ってよし、ワイン投資入門

ワインは飲むだけのものにあらず⁉ NYで長年ワインオークションの現場に携わってきた渡辺順子さんが、ワイン投資のいろはをお教えします。

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文/秋山 都  

▲NYの「サザビーズ」でアジア人初のワインスペシャリストとなった渡辺順子さん。
ブドウを発酵させて作るワインは紀元前のエジプトやギリシャですでにつくられており、キリスト教の布教とともに世界へ伝播しました。いまや、世界中でつくられ、飲まれているワインですが、その価格やクオリティはさまざま。たとえば日本なら、スーパーや量販店で1000円以下のものをたくさん売っている一方で、高級レストランへいけば1本数十万のものもオンリストされています。

もっとも高価なものとしては、2018年、NYで行われた「サザビーズ」のオークションに出品された1945年産の「ロマネ・コンティ」がなんと55万8000ドル(およそ6000万円)で落札されたことも。産地であるブルゴーニュでは1946年にフィロキセラ(ブドウの樹に付く寄生虫)のため、主要なブドウの樹が全滅してしまったこともあり、1945年ヴィンテージの「ロマネ・コンティ」は大変稀少な存在でした。もちろん、これはレアなケースですが、一定のコンディションが整えば、ワインはここまで高価になりえるアイテムなのです。

ではいま、次世代の1945年産「ロマネ・コンティ」を探して買っておけば、将来高値で売れるのかも? いままでワインが購入したら即飲んでいましたが、セラーで保存しておけば投資の対象ともなるのでしょうか?

NYのオークションハウス「クリスティーズ」で、ワインオークションを担当していたワインスぺシャリストである渡辺順子さんに話を聞きました。

投資としてのワインはいつから?

「アメリカでワイン投資が盛んになったのは1990年代。IT・金融バブルとともに、高級カリフォルニアワインがどんどん生まれ、市場が活発になっていきました。9.11やリーマンショックなど、折々の社会情勢により低迷することはありましたが、その都度、中国市場の参入や、英国での税制改革によるワインファンド設立の動きなどにより回復。金融・証券会社もワインを投資商品として扱うようになりました。

アメリカのエコノミスト、ジョー・ローズマン氏は株式投資より確実な投資商品として『SWAG』を提唱。これは本来、『かっこいい』『スタイリッシュ』を意味するスラングなのですが、この場合はSILVER、WINE、ART、GOLDの頭文字。その後、ブルームバーグも、ゴールドよりリターンが確実なのは高級ワインであると予想し、投資家たちはますますワインに熱中。ワインの価格はますます上昇し続けています」
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なぜワインは投資の対象となるのか?

「ワインは付加価値と稀少価値により価格が変動する唯一の商品だから、です。

くわしく説明しますと、ワインはヴィンテージ(生産年)によっても付加価値が変わりますよね。そのワインは原則的に長く保存すればするほど、価値が上がっていくわけです。たとえば不動産物件は古くなれば価値が下がるわけですが、ワインは食品であるにもかかわらず、腐りもしないので、古ければ古いほど価値があがる稀有な商品です。

また、古いワインも保存されるばかりでなく、一方で消費されて(飲まれて)いくわけなので、稀少性はどんどん高まります。この2点により、ワインの価格は高騰しているといえるでしょう。

またワイン投資は他の投資に比べて売買も簡単なんです。銘柄とヴィンテージだけ伝えれば売買が成立し、ワイン愛好家は世界中にいるので、初心者でもチャレンジしやすいのも魅力のひとつです。

最後に、ワイン投資といっても、ワインのボトルそのものを買うだけではなく、ワイナリーへの設備投資や、ワインツールの開発など、さまざまな方法があります。いまは日本でも有名な『コラヴァン』(コルクを抜かずにワインが注げるツール)に6430万ドルの投資が集まったことは有名ですが、ほかにもワインアプリの開発、会員制ワインクラブなど、ワインをめぐるビジネスの形態はさまざま。今後もますますワイン市場は活況化していくと思われます」

これから来るワインはどんなワイン?

「1980年代半ばにはカルトワインと呼ばれるナパ(カリフォルニア)を中心に産出される、高品質で高価なワインが話題となりましたね。いまは、カリフォルニア州以外にも、トランプ大統領が所有する『トランプワイナリー』で注目を集めるヴァージニア州、ブルゴーニュの作り手が進出しているオレゴン州産のワインも生産量を増やしています。

また、投資家たちが注目しているのはニューヨーク州のワイン。セレブご用達のリゾート地であるハンプトンは、正直クオリティではまだナパに劣るものの、カリフォルニアにライバル心を燃やすNYの投資家たちのバックアップを受け、急成長中です。

でも、その中でネクストカルトワインは? と聞かれたら、おすすめしたいのはやはりナパの『Realm Cellars (レアム・セラーズ)』かしら。まずカルトワインと呼ばれる条件を一般的に説明しますと下記のようなポイントが挙げられます。

1. 評論家により評価、とくにパーカーポイントで高得点を獲得
2. 生産量が少ない
3. ワインメーカーが有名
4. ラベルがおしゃれ
5. メーリングリスト(ワインのサブスクリプション)に名前が載るのに何年も待つ


この点において『レアム・セラーズ』は下記のようになります。

1. パーカーポイントで100点など高得点を獲得
2.  年間4000ケースの少量生産(ちなみに『Opus One』は年間2万5000ケース生産)
3. ワインメーカーのブノア・トゥケは元ミッシェル・ローランド(世界でもっとも有名なワイン醸造家)のチームで働いていた
4. レアムという名はシェイクスピアのセリフのひとつから取られています。Rの文字を象徴的にあしらったラベルはスタイリッシュ
5. 現在1〜2年待ち

いかがでしょうか。興味が湧いてきたなら、あなたもワイン投資の入り口に立っているのかもしれません」

渡辺順子

プレミアムワイン株式会社代表取締役。
1990年代に渡米し、1本のワインとの出会いをきっかけに、ワインの世界に足を踏み入れる。フランスへのワイン留学を経て、2001年より「クリスティーズ」のワイン部門に入社。NYクリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとして活躍する。2009年に退社後、欧米のワインオークション文化を日本に広める傍ら、アジア地域における富裕層向けのワインセミナーを開催。主な著書に「教養としてのワイン」「高いワイン」(ともにダイヤモンド社)など。

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