2026.10.31
大歌手のわがままから生まれた“飲める”ステーキを知っていますか?
“週末鮨屋”の料理研究家として知られる野本やすゆきさんが、料理初心者の男性向けに「モテる」「デキる」レシピをご指南! 今回は、帝国ホテル伝統の味でもある「シャリアピンステーキ」の作り方を教えていただきます。実は、歯痛に悩んでいたオペラ歌手のために考案されただけあって、「やわらか~い♡」のが魅力。元気な時も、そうじゃない時も、おいしいステーキです。
- CREDIT :
レシピ&調理/野本やすゆき 写真/吉澤健太 編集/秋山 都(Web LEON)
ひと手間で驚くほどやわらかくなる「シャリアピンステーキ」

▲ 1934年にレシピが考案され、1936年にシャリアピンが再来日した際、本人の許諾を得て命名された「シャリアピンステーキ」。
食欲の秋到来! ガッツリとおいしいものが食べたいんですが、実はちょっと体調が思わしくないんですよね。胃腸が疲れているのかシクシクするし、実は歯も治療中でして……とうなだれながら野本やすゆきさんのキッチンスタジオを訪ねました。すると野本さん、「シャリアピンステーキなら食べられるんじゃない?」と。
それって、ロシアのオペラ歌手シャリアピンが帝国ホテルに滞在した際に誕生したという伝統のメニューですよね。たしか、 歯痛のために好物のステーキを食べられないシャリアピンのために、当時の料理長が特別にやわらかいステーキを考案したんでしたっけ?
「そう。実はぼく、学生時代に村上信夫先生*からレシピを教えていただいたんです。でも今回は肉をやわらかくするために、さらにひと手間加えてみました」
テレビでステーキを食べるタレントの食レポが一様に「やわらか~い♡」なことには食傷気味ですが、野本さんのシャリアピンステーキはホントに「やわらか~い♡」んです。元気な人も、そうでない人も、みんなでおいしく食欲の秋を満喫しましょ!
註)村上信夫さんは、帝国ホテル料理長を26年務め、日本にフランス料理を広めた功労者。愛称はムッシュ村上。2005年没。
「シャリアピンステーキ」をつくってみよう!

材料(2人分)
ステーキ肉 2枚
玉ねぎ(すりおろし) 1/2個分
舞茸(みじん切り) 1/2パック
玉ねぎ(みじん切り) 1/2個分
A醤油 大さじ1
A酒 大さじ1
Aみりん 大さじ1
A砂糖 小さじ1
Aニンニク 1かけ分 すりおろし
バター 10g
サラダ油 大さじ1・小さじ2
塩胡椒 各少々
クレソン 適量
一般に「シャリアピンステーキ」は牛肉を叩き、玉ねぎに漬け込んでやわらかく仕上げるステーキですが、今回の野本さんのレシピではさらに舞茸を使用しています。舞茸にはたんぱく質を分解する酵素(プロテアーゼ)が含まれていることから、生の舞茸を肉と合わせてしばらく置くと、酵素が肉のたんぱく質に作用し、やわらかくなるんですって。う~ん、料理は科学でもありますね!
01.玉ねぎと舞茸の下ごしらえ
まずは、肉をやわらかくしてくれる玉ねぎと舞茸を切りましょう。玉ねぎは1個使いますが、半分は肉を漬け込む用にすりおろします。もう半分はソースに使うため、みじん切りに。舞茸も同様にみじん切りにします。
02.玉ねぎと舞茸に肉を漬け込む
続いて肉の下準備です。今回、ステーキ肉は求めやすいオージービーフの赤身を使用。バットに置き、すりおろした玉ねぎ、みじん切りにした舞茸を両面につけて、ラップをして冷蔵庫で30分ほど寝かせます。冷蔵庫から出したら、玉ねぎ、舞茸をこそげとっておきましょう。これはあとでソースに使いますので。
03.ソースをつくろう!
続いて、ステーキに合わせるソースを。フライパンにサラダ油(小さじ2)を熱し、みじん切りにした玉ねぎを炒めます。透明になり、しんなりとしたら、前ステップのステーキからこそげとった玉ねぎと舞茸を加え、さらに炒め合わせます。A(醤油、酒、みりん、砂糖、にんにく)を加え、1〜2分煮たら、最後にバターを加えて溶かしたら、こっくりとおいしいソースの出来上がり!
04.ステーキを焼きます!
ソースを仕上げている間に、別のフライパンでステーキを焼きましょう。まず、肉に塩胡椒をし、別のフライパンにサラダ油(大さじ1)を熱して肉を焼きます。今回は1センチ程度の厚さのステーキ肉だったので、両面2〜3分ずつ、焼き色がつくまで焼きました。
05.ソースをたっぷりかけて召し上がれ!
ステーキが焼けたら、お皿に盛り、ソースをたっぷりかけて出来上がりです。玉ねぎの甘み、舞茸のうまみが、あっさりとした赤身の牛肉をよりおいしくしてくれていました。そしてなにより、本当にやわらかい! もともとは歯の調子が悪かった大歌手のために生まれたひと皿ですが、このやわらかさを知るのに、歯が悪くなるのを待つ必要はありません。飲めるように味わえる「シャリアピンステーキ」です。

▲ ごはんとも相性抜群の「シャリアピンステーキ」。

● 野本やすゆき (料理研究家)
東京・谷中で昭和初期から続く老舗寿司店「谷中 松寿司」に生まれ、現在、金・土・日曜のみ3代目として店を継承。“週末鮨屋”としても活動しつつ、わかりやすいレシピがTV、雑誌で人気の、いま注目の料理研究家のひとり。プロレス好き。
YouTubeにて野本やすゆきチャンネルを開設。
美食の秋をもっと満喫したい!





































