
真夏の京都の夏は、覚悟して訪れるもの。けれど、大人はその暑さから逃げません。山へ入り、水辺に腰掛け、一献傾ける理由があるからです。冷房で消耗するくらいなら、いっそ山へ。今回、貴船の「貴船きらく」で過ごす、大人のための涼やかな午後をご案内いたします。
暑い京都へ、涼みにいく
東京から約2時間半、そして京都駅から公共交通機関で約40分。山道を少し登った先に待つのは、川の上へ張り出した床。腰を下ろせば、心地いい気温に木漏れ日が揺れ、頬をなでる風には青っぽい山の匂いも感じられます。それが、7月より今年の川床営業を開始した「貴船きらく」

▲ 川の上に張り出した床席。水面すれすれの特等席で、渓流を眺めながら食事を楽しめます。
川床レストランというと、通常は“川床料理”という鮎の塩焼きや、鱧料理、が提供されるのが一般的。ですが、こちらでは、バーベキュースタイルでの食事を楽しめる、代わり種なご提案となるのです。涼やかな水流サウンドを聴きながら、汗をかかずに熱々の海鮮にお肉……。夏のいいとこ取りではないでしょうか!

▲ 席からの眺め。頭上を覆う青もみじと、石垣を覆う苔。都会のビル影とは、涼しさの“質”がまるで違う。
水の音には、体温を下げる力がある
あらためて、渓流の水は、眺めているだけ、聴いているだけで心地いい。実際、街中と比べて体感温度は10℃は違うのでは、と思うほど。クーラーのない場所でありながら、汗はほとんどかがず、時折冷たいと感じるほどの風が吹きます。
そして、“冷たい”でも、自然が育てた涼しさは送風機やクーラーの風とはまるで違って。“冷やす”というよりまさに“涼む”という言葉がピッタリ。それは、水流の音が関係しているのかも。
自然の水のせせらぎには、「脳が自然の環境音を認識して緊張がほぐれる」、「ホワイトノイズ効果でイライラや暑さのストレスが和らぐ」という効果あり。涼しいだけではなく、イライラや緊張がほぐれる、というのは彼女とのデートスポットとしても、うってつけというわけなのです。

▲ トマトの酢漬けや塩辛、ナスの煮浸し、葉ワサビの醤油漬け、マグロの山掛けなど、酒好きが選んだようなラインナップ。手前のポテサラはふわっふわで料亭仕様。

▲ こちらは瓢箪(ひょうたん)の柴漬け。ミニサイズでもしっかりひょうたん! ご飯が欲しくなってしまう心地いい塩味ですが、その後BBQが待っているゆえに我慢。
山で味わう海の幸
京の川床料理と聞けば、まず山の幸を思い浮かべてしまいます。けれどもBBQ食材として海の幸が現れると、その先入観は心地よく裏切られました。車海老に鮑、サザエはともにまだ動いている新鮮なもの。毎朝、京都の市場から仕入れられているそう。

▲ 車海老、鮑、サザエ、部位違いでマグロ、福岡からの明太子。
そちらを、少しずつグリルで……じりじりと焼ける音と立ちのぼる香り。焦らされるほどにお酒が進み、待つ時間も楽しい。

▲ 焼き台の上で、ゆっくりと火が入る。立ちのぼる香りに、期待が煽られます。

▲ 海老に鮑、サザエ(ごめんなさい、思わず食べちゃった……)。レモンや岩塩、わさびなど好みの味付けで豪快に。写真で見るより、実際はかなりのボリューム。

▲ 殻ごと焼き上げた鮑。噛むほどに磯の旨みが広がる、この日の主役。
火入れを最高のアリーナ席で
こちらのBBQでは、追加で国産牛ヒレ肉のオーダーも可能(500g・1万5000円)。お腹は満たされてきたけれども、涼しい場所にいるからか、食欲が落ちることがありません。

▲ 鉄板の上で音を立てる和牛。火入れって、どうしてかじっと見てしまう魔力があるような。

▲ 頃合いを見て、ひと口大に。料理人の手元を眺めるのも、この席の醍醐味。

▲ 塩、わさび、レモンという潔い脇役だけ。お肉の甘み、旨みを活かす味付け。
この景色だけでもお酒が進む
料理に寄り添うのは、冷えた白ワインや、白濁するほど濃厚なスパークリングワイン。いずれも丹波ワインで、京都産の味わいは、地地つながりにあるからだろうか、山の涼によく合います。

▲ 京都丹波ワインのキンと冷えた白。

▲ 丹波ワインの「スパークリングワイン」。ブドウの味わいと、微発泡が心地いい。
最後の一膳は福岡のテイストを添えて
締めは、明太子を丸ごと一本のせたご飯に、高菜、焼き梅。インパクト大でありながら馴染みある贅沢な旨みはするするお腹に入っていく。満腹、というより、満たされた。この場所、この食材には、そんな言葉がしっくりきちゃう。

▲ お出汁が入った鉄瓶を添えて。最初はシンプルにどんぶりとして、味変で出汁茶漬けとして。
また来年も、この水音を聞きに
京都に名店は数えきれないけれども、それでも貴船へ足が向くのは、料理のためだけではありません。川の音、山の風、木漏れ日、そして季節を味わう時間。そんな場所は多くはない。暑い夏、だからこそ、わざわざ訪れたくなるこちら、お見知り置きを。

▲ 川面にごく近いのもここの特徴。タオルを持参すれば、川の冷たさを楽しめます。
■ 貴船きらく
住所/京都府京都市左京区鞍馬貴船町47(貴船神社前)
TEL/075-741-2037
予約/www.tablecheck.com/shops/kibune-kiraku/reserve
コース料金/3万5000円(フリーフロー込み)
※国産牛ヒレ肉は追加500g・1万5000円
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