ブレンドの妙が生み出すテロワールの個性
フランス・南西地方とオーストラリアが有名な地域になります。前者はタンニン質を併せ持つ力強さ、後者はスパイシーが収斂された果実感、というのが主な特徴。で、今回は、このスパイシー感というものに注目してみます。
そこでオーストラリアが世界に誇る銘醸ワイナリー「ペンフォールズ」からヴィンテージによっては極限られた本数しか生産されない「カリムナ ビン28 シラーズ 2012」をご紹介します。
カリムナ、というエリアだけでも標高差、畑の畝から変わる日照時間、ブドウ樹の樹齢などなど、細かく条件は異なってきます。それらを分析し、カリムナの個性を表現できる味わいを決定します。この1本にはワインメーカーのパッションが込められているといっても過言ではありません。
それはひと口、ワインを口に含んだ瞬間に広がる果実のボリュームでわかると思います。洗練されたタンニンのしなやかさ、嫌味のないパワフル感、そして余韻に広がる色の濃い花の香り。これは世界的品種のカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールにはまったく見られない表情の味わいなのです。
さらに魅力を引き出すには同じ地のものを一緒に。理想はオージービーフの赤身。これをさっと炙ります。付け合わせのタレは醤油にこのワインを少し加えてください。ともに引き立たせるテクニックですので。ぜひお試しください。
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トレジャリー・ワイン・エステーツ・ジャパン
☎03-5777-0597
藤崎聡子●ワインスタイリスト
毎月訪問のソウルと香港。ともに赤ワインとシャンパン需要の国であることを実感する。料理のスパイシー感はワインの温度を下げることでとても合わせやすい。久しぶりに赤ワイン探求の日々。