2025.05.11
【第76回】 群馬・桐生の「らーめん芝浜」
名作落語を名乗る「らーめん芝浜」の「小麦三昧」を求めて群馬・桐生へ行ってきた
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)
なぜ、海のない群馬・桐生に「芝浜」?
江戸の暮れの芝浦が舞台。酒に溺れて怠けてばかりの棒手振りの勝五郎が、芝の河岸で大金入りの革財布を拾うことからドラマが始まる。ただし、それが夢だったとおかみさんに諭され、酒を断ち一念発起で仕事に励み、三年後に立派な店を構えるまでになった。おかみさんの機転と愛情で飲んだくれだった亭主が再生する人情噺。

そこで、なぜ、海のない群馬・桐生に「芝浜」?
「小麦三昧」のラーメンフルコースとは?

1. 生揚げ醤油低加水麺まぜそば 群馬県産小麦「黄金鶴」使用。黄金鶴の折れる様なコシの強さを低加水でさらに強調しました。岡直三郎商店の生揚げ醤油ダレと鴨油を合わせました
2. 上州辛味大根ダイヤモンドつけめん「麺の刺身」 北海道産「きたほなみ」使用。つるっとしたくちあたり、もちもちで甘味、香り良好シンプルな醤油ダレに地元の辛味大根を合わせました。麺の下をタレに少しだけつけてお楽しみください
3. 鴨だし天然真昆布らーめん 醤油、塩は追い鰹使用。特級粉春よ恋、国産小麦を4種ブレンドした中華麺。らーめんは麺料理という発想から小麦の香り、甘味がスープに廻って1杯になる様セッティングしています。麺を引き立てるスープは山形の鴨、函館の真昆布を中心に天然素材だけでまとめました


ところで朝10時までの「朝らー定食」はかけそば+ハンバーグ丼のセットで〈歌丸〉のネーミングが添えてある。ほかにも、親子丼は〈圓楽〉豚ロース丼は〈三平〉ねぎとろ丼は〈志ん生〉と名付けられている。どうやらご主人「落語」が大好きらしい。
話に聴くと、おかみさんを立てての「夫唱婦随」「夫婦一丸」。「芝浜」を得意にした立川談志師匠に召し上がっていただきたかった「らーめん」である。

らーめん芝浜
住所/群馬県桐生市相生町1丁目303-1
営業時間/7:00~13:00(麺切れ次第終了)
定休日/水曜・第2火曜・第4火曜3連休
HP/らーめん芝浜

● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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