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2020.05.02

おなじみの一流シェフたちが医療従事者を支えるために立ち上がった

新型コロナウイルス患者への対応で日々激務をこなしている医療従事者の皆さんを支援するために、本誌読者の皆さんもおなじみの一流レストランのシェフたちが特製弁当の差し入れを始めました。

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取材・文/仲山今日子

「スマイルフードプロジェクト」のお弁当
4月7日に出された緊急事態宣言から20日あまりが過ぎ、気がつけばゴールデンウイーク。誰にとっても今年はいつもと違う毎日ですが、おそらくそんなことすら考える時間がないほど過酷な生活を送っているのが、医療従事者の皆さんでしょう。

24時間体制で、ウイルス感染の危険に直面し、家族にも会えずに働いて、食事は勤務の合間にかきこむコンビニ弁当。長期化するコロナとの戦いで、肉体的にも精神的にも、厳しい状況が続いているのは想像に難くありません。「人を良くする」と書いて「食」、そんな医療従事者の体と心を、胃袋から支えたいと、シェフたちが立ち上がりました。

■「スマイルフードプロジェクト」

食の力を信じられる世界を取り戻さなければ

この状況に、いち早く対応したのが、「スマイルフードプロジェクト」です。東京のフランス料理店「シンシア」の石井真介シェフがリードシェフを務める、水産資源の持続的な利用を目指すシェフグループ「一般社団法人シェフス・フォー・ザ・ブルー」、レストラングループ「サイタブリア」、広告会社NKBとの共同プロジェクトとして発足しました。

今回、4月上旬に、フランス・ディジョン在住の木下隆志シェフが現地の病院に食事を届けたという動画を石井シェフが偶然見て、「医療者支援をしたい」とSNS上で呼びかけたのがきっかけで、志を同じくする仲間たちがいち早く集まりました。13日に都内の大学病院に100食を無償提供したのを皮切りに、現在毎日平均300〜400食、スタート時から数えると、5月1日までに、15の医療機関に2500食の提供が行われたそう。
石井シェフをはじめ、スタッフは全員ボランティア。「今は自粛営業で、日本の飲食店は、皆さんが思っている以上に厳しい。うちも、デリバリーやテイクアウトをやっていますが、決して余裕があるわけではありません。だからこそ、やらなくてはいけないと思った」と石井シェフ。

だからこそ??と、つい疑問符が浮かびますが、実はそれは、「飲食業界が苦しんでいる今だからこそ、食の力を信じられる世界を取り戻さなければ」という、石井シェフの深刻な危機感の裏返し。

「日々流れる、飲食店が苦しんでいるという報道を見て、若い人たちが料理人になりたいと思えるでしょうか? 過去に自分がそうであったように、料理人という仕事が若い人の憧れであり続けてほしい」そんな熱い思いが込められているのです。
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同時に、今、同じように苦しんでいる料理人仲間への、エールでもあります。「もちろん、医療従事者の皆さんへの感謝の気持ちが一番です。でも同時に、食のプロである自分たちにしかできない方法でサポートすることで、世の中に食の力を知ってもらい、今、自信を失ってしまったり、ギリギリでなんとか持ちこたえている仲間たちに、一緒に頑張ろうとエールを送りたいのです」

伝えたいのは、「食の力を信じよう」という、ポジティブなメッセージ。それを、「シェフス・フォー・ザ・ブルー」の仲間たちと共に広げていっているのです。
20日には、中国料理の「慈華」の田村亮介シェフと「茶禅華」の川田智也シェフが参加、麻婆豆腐、棒々鶏のサラダや鰤の蓮の葉蒸しなどの弁当200食が国立国際医療研究センターに届けられました。

その他にも、NYスタイルのグリルレストラン「ザ・バーン」の米澤文雄シェフなど多くのシェフが加わり、バラエティ豊かなスタイルのお弁当を提供しています。さらに、普段レストランで使う極上食材の生産者、食品会社などのスポンサー企業の支援も得ながら、6月30日までの間に、合計2万食の提供を目標にしています。
●詳細は
URL/https://smilefoodproject.com/
一般からの募金サイトもスタート
URL/https://donation.yahoo.co.jp/detail/5274001/
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■「THANKS OBENTO PROJECT」

フードロスを減らしてプロの技で美味しいお弁当とお菓子を

同じく、ボランティアのシェフたちが都内の都内の医療従事者など「新型コロナウイルスの感染リスクがありながらも、働き続けなくてはならない人たち」や、こども食堂、シングルマザーシェアハウスなど「新型コロナウイルスの影響を受けている団体」を支援するために、余剰食材を活用したお弁当とお菓子を届けているのが、「THANKS OBENTO PROJECT」です。

発起人は、前出の石井シェフ率いる「シンシア」の前シェフパティシエで、5月に日本橋兜町にスウィーツショップ「ease」を開店予定の大山恵介シェフ、そして予約の取れない店として知られる「SUGALABO」を経て、今年秋に食のインキュベーション施設を開設予定の薬師神陸シェフです。
最近、SDGs(持続可能な開発目標)などの言葉と共によく耳にする「フードロス」。今、コロナの影響で問題になっていることの一つが、このフードロスなのです。本来はレストランで使われるはずだった食材たち。海外輸出がストップしてしまったために行き場を失った和牛や、価格が急激に下落した玉ねぎ。コロナのために、このままでは廃棄せざるを得ない状況がたくさんある、というのは何とももったいない話。

このプロジェクトの特長は、食材のほぼ100%を余剰食材でまかない、プロの技で美味しいお弁当とお菓子にして届ける事。
「SUGALABO」時代に数多くの生産者訪問を行ってきた薬師神シェフは、「生産者の皆さんと話す中で、食べる人に直接言葉が伝えられる料理人が、生産者の代弁者にならなくてはならないと思いました。お弁当に使える量はごくわずかですが、困っている生産者を助けるための発信をしていくことも、自分たちの役目」と捉え、産地規模でのフードロスをなくすため、時には生産者と食品会社をつなぐこともあるのだそう。

現在、大学病院などの医療関係を含め、水曜と金曜の週に2回、約100食を配達しているとのこと。メンバーには、他にも森枝幹シェフ(渋谷パルコ「chompoo」)、井口和哉シェフ(「REVIVE KITCHEN AOYAMA」)、西恭平シェフ(「日本橋兜町ビストロ Neki」(5月末開店予定))など、多彩なメンバーが顔を揃えています。
●問い合わせ先
URL/info@ec-corp.jp
(件名に[Thanks]と記入の上連絡)
☎050-5539-8883
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■「ブルガリ お弁当プロジェクト」

ブルガリ クオリティでシンプルなイタリアの家庭料理を弁当に

「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のルカ・ファンティン エグゼクティブシェフ
今回のコロナで大変な被害を受けたイタリアですが、ラグジュアリーブランドも次々に支援策を打ち出しています。医療機関に最先端の3D顕微鏡を寄付したり、フレグランス製造部門で培った知識を応用し、消毒用ハンドジェルの生産・寄付を行うなどの活動も行なっているのが、イタリアの高級ジュエリーブランド、ブルガリです。

そのブルガリ傘下のレストランで、東京にある「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」では、4月22日から、「ブルガリ お弁当プロジェクト」と名付け、感染症指定医療機関として当初より先駆けて新型コロナ感染者の治療に取り組んでいる都内の医療機関へ、無償で「イタリアン弁当」を届ける活動をスタートしています。
初回は180 食のお弁当が、東京都立駒込病院の医療従事者へ、翌23 日には、国立国際医療研究センター病院へ200食が無償提供されました。提供するのは、ルカ・ファンティン エグゼクティブシェフが大切にする、季節感、そして少しでも健康になってほしいという思いが込められた料理です。

「普段レストランで使っている、栄養価の高い旬のオーガニック野菜をたっぷり使い、揚げ物やバターを控え、オリーブオイルをメインに使った、シンプルなイタリアの家庭料理をイメージしました」とルカシェフ。
「家庭料理」と言いつつも、そこは緻密で職人気質な仕事ぶりで知られるルカシェフだけに、約200食という数の多さにもかかわらず、ピシッと決まった盛り付けはお見事のひと言。黒を基調にした美しいパッケージとも相まって、受け取った人に「今日も頑張ろう」という高揚感を与えてくれるはずです。今後も日本政府の緊急事態宣言が終了するまでの期間中、週2回の提供を検討しています。

未曾有の危機に際して、苦しい状況でもそれぞれに「できること」を見つけ、活動を始めているシェフたちが提案するより良い明日。「自分にも、何かできることがないかな」、そんな前向きな気持ちにさせてくれます。「スマイルフードプロジェクト」では、そんな貴兄の愛ある募金も、受け付けていますよ!

● 仲山今日子(なかやま・きょうこ)

テレビ山梨・テレビ神奈川アナウンサーなどを経て、World Restaurant Awards審査員。現在、食と旅をテーマに日本とシンガポールの雑誌に日本語・英語で執筆中。趣味は秘境旅行、キリマンジャロ登頂など、訪れた国は50カ国以上。ワインエキスパート、日本酒唎酒師の資格取得。IG:kyokonakayamatv

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