
その第12回は昨年末にオープンした「オステリア・アニマ」。表参道の路地に佇む4階建てのこぢんまりとした建物ですが、1階はテイクアウトと立ち飲みのカウンター、2階はカジュアルなオステリア、3階はテーブルクロスを敷いたダイニング、4階はイタリアンワインの試飲と販売のためのショップ…と、まさにイタリアのアニマ(魂)みなぎるスポットとなっております。

「Buonoだよね?」「うんうん、すごいウマいよ、これ!」と、無言でうなづきあった私たち。もう少し若ければその後の展開もあり得たのかもしれませんが、色気より食い気先行な自分、アラフィフ。すかさず「ピッツァもう一枚!」と追加オーダーをかけたのでした。
東京のピッツァもここまで進化した

東京にピザがやってきたのは1954年、六本木に「ニコラス」がオープンしたときだと、私の母が教えてくれました。当時学生だった母は、直径30センチはあろうかというピザを初めて食べ、世の中にこんなおいしいものがあったのかと驚いたのだそう。この話、何度も聞いたから、よっぽど感激したのでしょうね。
そこから時代が下りまして、1970年代。昭和の小学生の間では「ピザって10回言ってみ」などという“10回クイズ”が流行るほどピザは身近な存在でした。といっても、こどもにとってのピザは町のちょっとおしゃれなパスタ屋さんで食べるか、トースターで焼く即席の冷凍ピザ。いずれにせよサラミやピーマン、マッシュルームが乗っている程度のかなり素朴なピザだったように思います。
そんなピザに転換期が訪れたのは1985年。この年、ドミノピザが日本に参入し、ピザは豊富なトッピングを選べるようになったし、電話1本かければ30分以内に届けてもらえるものになりました。
この同じころ、「シェーキーズ」の存在も忘れられません。なにしろ「シェーキーズ」はたしか800円でピザの食べ放題を行っていました。高校生だった私はお茶の水駅そばの「シェーキーズ」でスライス(かなり大きい)を27枚食べた記録をもっています。
と、ここまではピザと言っても、ナポリのそれではなく、アメリカナイズされたピザのお話。私の記憶では、東京で本格的なイタリアの、それもナポリ式のピッツアが食べられるようになったのは1990年代になってから。中目黒の「サヴォイ(現・聖林館)」や、「サルヴァトーレ」が早かったでしょうか。 局地的ではあったものの爆発的な人気を呼び、広告代理店に勤めていた知人が脱サラしてナポリへピッツァ修業へ出かけた、なんて事件も起こりました。






■ AnimA la tua osteria(オステリア・アニマ)
住所/東京都港区南青山3-12-1
予約・問い合わせ/050-3461-5292
営業時間/11:30〜15:00(LO 14:30)、17:30〜23:00(LO 23:00)
定休/水曜・隔週火曜
● 1Fではランチのテイクアウトあり。4Fはワインショップ&試飲スペース。