2021.12.17
ビームスのバイヤーがリコメンド
プロが注目する、最強の大人アウターはなに?
ショップにおけるラインナップを構築するバイヤーという存在。単に“良いもの” “カッコいい服”を超える総合的な判断力が求められる人物です。なかでも広い視野と経験を持つ著名セレクトショップのバイヤーは、この冬どんなアウターを選んだのでしょう? 渾身の思い入れを込めた至極の一着をご紹介していただきました。
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写真/干田哲平 文/石井俊昭 構成/長谷川 剛(TRS)
大人が着られるスタジャンを徹底追求

「ショート丈のブルゾンは簡単に羽織れるし着ていてラク。脱ぎ着しやすいのもいいですよね。そこで久しぶりにスタジャンを着てみたいと思い、何十年か振りにバイヤー向けの展示会で試着してみたら、自分でも驚くほど似合わなくて……(苦笑)。スタジャンはボディ部分の素材がメルトンで袖がレザー、色もボディと袖で切り替えられているのが一般的。ですが、それだとどうしてもアメリカの大学の匂いがして、大人が着るのは気恥ずかしい感じがしたんです」

素材と色を替えてシックな表情に

「何より会心の出来だと感じているのが、ボディも袖もシックなスエード素材にしたところ。このアイデアを思いついた時点で、これは間違いなく素晴らしいものに仕上がるだろうという自信がありました(笑)。また、オーソドックスなスタジャンがカラフルな色使いのコンビタイプなのに対して、このスタジャンはボディも袖も黒。肩の切り替え部分とポケット口にスムースレザーを使い、アクセントにしたのもポイントです」


基本はあくまでもドレスカジュアル
「細心の注意を払うべきなのは足元でしょうね。スニーカーでも良いのですが、僕の場合、スポーティな着こなしがしたいというより、スポーツテイストを取り入れたドレスカジュアルがしたかったのが、このスタジャンを作った最大の理由。だから、ほかの部分で遊んでも、靴は必ずドレッシーな香りがするものを選んで、全体を引き締めることにしています」
例えば、無藤さんが“モテコーデ”だと断言する、ブリーチのかかったピーティートリノのブラックデニムにピンクのクルーネックニットのスタイルには、ブリッラ ペル イル グストのポルペッタ別注スエードストラップローファーをチョイス。ローファーにあしらわれたエレガントなゴールド色の金具が、そこはかとなく色っぽさを漂わせます。


僕自身、ライダースをよく着ていて、たまにスタジャンを羽織るというのが最近のお気に入り。エンメティのこれは、スタジャンのディテールを取り入れながらエレガントなアイテムに合わせることを意識して作ったので、きっと新しい着こなしが発見できると思います」

● 無藤和彦(ブリッラ ペル イル グスト バイヤー)
1965年東京生まれ。21歳でビームス入社。渋谷の店舗でキャリアをスタートし、1992年にドレス部門のバイヤー、2003年には遊び心のある大人に向けたレーベル「Brilla per il gusto」のディレクターに就任。50歳を過ぎても「モテるためにはどうすべきか」をテーマに、自然体でカッコいいスタイリングを意識しながら、商品のバイイングに生かしている。
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ビームス 六本木ヒルズ 03-5775-1623