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2020.08.11

【総括】パリコレが初めてデジタルで配信された、メリットとは?

今年のメンズ・パリファッションウィーク2021春夏は新型コロナウイルスの影響で残念ながら中止となりました。ですが、初のデジタル配信が敢行されることになり、通常、関係者でなければ参加できないコレクションが、今回はどんな人でも視聴できることに。そんなパリファッションコレクション2021春夏の総括を、LEON編集長兼LEON.JP編集長・石井とLEON.JPディレクター堀川博之の対談でお届けします。

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文/吉川彩夏(LEON.JP)

コレクションシーズンというのは、業界でも繁忙期を迎えているタイミングです。ロンドンでのメンズコレクションから始まって、イタリアのピッティ・イマジネ・ウォモ(通称ピッチィ)、ミラノメンズコレクション、パリメンズコレクションとイベントが次々と開催されるため。

ですが、今年は新型コロナウイルスの影響でリアルのランウェイが中止に。その代わりにデジタル配信となり、どこにいても、リアルタイムでなくてもチェックできるので、視聴される幅が広がりました。

そんな初のデジタルのショーでどんなことを感じたのか? LEON編集長兼LEON.JP編集長・石井とLEON.JPディレクター堀川博之の対談でパリコレの模様をお届けします。

⚫ ルイ・ヴィトン

ヴァージル・アブローのランウエイは、意外やアニメーション!?

石井洋(以下石井) ルイ・ヴィトンのショーをどう捉えるか、賛否あったと思うんですけど、僕は賛なんですよ。なぜかと言うと、オンラインでPCなどモニターで見ている以上、洋服のディテールだとか、肉眼じゃないと伝わらないものが出てくる。だから、それを逆手にとって思いっきりデフォルメすると言う発想に切り替えて、アニメーションにしたんじゃないかなと。

その発想が、ヴァージル・アブローらしいし、自分の表現手法すらアイコン化した感じにも思えて。ルイ・ヴィトンかつ、ヴァージルじゃないとできないやり方だし、こんな方法もありなんだと言う新たな扉を開けた感じがしましたね。

堀川博之(以下博之) 全てをアニメで展開していたのは驚きました。ヴァージル流のダイバーシティを表現しているのかなと。人種や性別、出自に関わらず、あらゆる人を肯定し、そんな彼らに着てもらうのが楽しみで仕方ない、と言う感じ。「僕の服は誰が着てもいいんですよ」と言うメッセージを感じました。ユーザーが飽きないエンターテインメントにこだわった点も、さすがだなと思いました。

石井 あ〜そういう受け取り方もできますね。博之さんがいま言った考え、人種だなんだって考えを思いっきり超越したものとして、送り届ける手段がアニメーションだった可能性もありますよね。

博之 発表の場となるSNSも、良い面と負の部分を持ち合わせているので、この時代にこそハッピーなショーをまっすぐに届けたいという思いを感じました。
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⚫ エルメス

奇跡のワンテイクで臨場感のあるバックステージを再現

石井 パリコレで初めてオンラインのショーをオンタイムに見たのがエルメスでした。前日に編集部にメッセージ付きの花束が届いたんですが、これからショーが始まる臨場感が味わえる、さすがの工夫がなされていましたね。

これは、時間通り夜9時ピッタリに見なきゃいけないなあって思いました(笑)。

博之 これ、バックステージ? と思うシーンから始まり、約8分間をワンテイクで撮影しているという演出も素晴らしかった。音楽もマッチしていました。モニター画面からの切り替えや、鏡を使ってモデルとスタッフが交互に映り込む場面など、見飽きない工夫が随所にありました。

石井 あれ、これ始まっているの? と一瞬思ってしまうような始まりも表現手段としてわざとやっているんだなと。ワンテイクで撮り終わった最後にスタッフみんなの“成功した~!” って感じも含めてのエンターテインメント。あの撮影場所は本社なんですか?

博之 パンタンにあるエルメスのアトリエですね。今回、演出を担当したシリルさんのチームメンバーがここを見たとき、「ここしかない!」と決めたとか。自然光に囲まれた空間は本当に美しくて、何度も見返しました。
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⚫ ダンヒル

オンラインならではなアーカイブ×最新コレクション

石井 ダンヒルはすごく、わかりやすかった。あれ昔のCMかなんかですか?

博之 80年代のジャーミンストリートからスタートするフィルムと最新のコレクションがミックスされたものでしたね。

石井 事前にムービーを撮影したり、組み合わせたりするなど、事前準備できることもオンラインのショーの強みだと感じたのだけど、今回のダンヒルではそれを強く感じました。時系列を超えた表現も可能なんですよね。

自分たちが持っているアーカイブのフィルムとそこからインスパイアされたものを交互に組み込んで、過去と現在のつながりや、ブランドの厚みを表現した。これは絶対アナログのショーではできないことじゃないですか。短いショーだったけどとてもわかりやすかったですね。

博之 最新のコレクションは、アーカイブをしっかりと現代解釈して再現されていることがわかりますね。
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⚫ ディオール

話題のコラボを仕掛けたらピカイチなキムの次なる一手は?

石井 キム・ジョーンズはコラボのセンスが本当にウマイ。

博之 カウズ、空山基、ダニエル・アーシャムという数々のスター級アーティストと組みながら、ディオールのエレガンスを損なわずに、エッセンスを取り入れている手法はスゴイの一言。今回はガーナ出身の画家、アモアコ・ボアフォとのコラボでした。

石井 自分が育ったアフリカのアーティストと組んだ洋服は美しかった。リアルのショーで見たい気持ちもあったけど、アーティストへのインタビューだとか実際に描いてもらうシーンは事前準備ができるオンラインだから出来たこと。オンラインの方が、より理解が深まった可能性もあったなと。

ただ洋服だけを撮影して紹介するのではなく、オンラインならではのやり方をすぐさま取り入れていたブランドが多かったのは素晴らしいなと思いましたね。

博之 そのインタビュー映像をクリス・カニンガムという、ビョークなエイフェック・ツインのPVを撮っていた自分世代のヒーローが撮影していたのもシビれました。
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⚫ ロエベ

至れり尽くせりなJWアンダーソンからの贈り物とは?

ロエベから届いた噂のキットがコチラ。レコードから生地のスワッチ(色見本)まで様々。デジタル配信に合わせて楽しめる工夫がなされています。
石井 ロエベはどう思いました?

博之 巨大なキットが編集部に届いたんですけど……中を開けてびっくり(笑)。なんじゃあこりゃあと。中には生地の素材見本やレコードなど盛りだくさんで。時系列に沿って、ロエベのショーを楽しめるキットでしたね。レザーまで、素材見本にくっ付いていて(笑)。ショーをオンラインで見ながら、洋服の素材感もチェックできるという擬似体験がユニークでした。

石井 むしろ想像力を働かせてよ、と訴えかけられているような感じですね。

博之 このキットですが、スワッチなど一つ一つ接着剤で貼り付けている。これを手掛けてくれた方は服を作った方が楽だって言うかもしれないですね(笑)。

石井 オンライン発表でも、していることはめちゃくちゃ手の込んだザ・アナログですね。

博之 レコードにも”2021SS”と手書きで記されていました。そしてシートナンバーが“A-1”と。これって「全員がフロントロウです」というメッセージですよね。

石井 A-1のシート……、アナ・ウィンター気分ですよ(笑)。

博之 熱量の凄さが感じさせられますね。

石井 オンラインを通じての発表でも、やっていることは彼ららしいですよね。圧倒される。
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⚫ ベルルッティ

初のコレクションコラボ、テーマはカラフルな陶器!?

石井 今回オンラインのショーを通して感じたリアルなショーとの違いは、デザイナーの肉声の有無。リアルなショーでは、デザイナーは自分の思いは服や演出に託すのみだったから。

今回のベルルッティのショーがまさにそれで、「みんな準備オッケー? クリスです。」というデザイナー本人の肉声からスタート。クリスが洋服作っている姿もインサートされていて良かったですね。レザーのパッチをどっちにするんだとかね。

博之 通常のラインウェイでは完成したものをお披露目するのがデザイナーの仕事。なので、通常見見られない裏舞台が見えるのは貴重だし、僕らとしては興味深いところ。

それに、コレクションの初コラボのお相手が陶芸家のブライアン・ロシュフォールさんとは驚きでした。あれほど鮮やかなセラミックアートは初めて見ましたね。コラボした経緯として、クリスさんが陶器のコレクターだったという背景も今回のコラボをきっかけに知りました。

デジタル配信も独特の面白さがありますが、来年はぜひ現地でショー体験したいですね。

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