2023.02.26
金子ノブアキが着る、“刻むオトコ”のスタイル PART2
時代のエッジを凝縮させたモードスタイルには、大人の色気とエレガンス、そしてファッションの楽しみがつまっています。そんなモードのポテンシャルを、著名人が華麗に披露するこの連載。第5回目のゲストは、ドラマーとして、俳優として、様々なジャンルで八面六臂な活躍を見せる金子ノブアキさんです。
- CREDIT :
主演/金子ノブアキ 写真/大森 直(TABLEROCK) スタイリスト/四方章敬 ヘアメイク/高草木剛(VANITES) 文/安岡将文 編集/高橋大(LEON.JP)
大人なモードの遊び方 第5回 主演 金子ノブアキ
刻むオトコ PART02 「タキシード」
様々な刻み方を、ステージや銀幕で披露してきた金子ノブアキさんに表現してもらいます。
全3編となるこの企画。刻むスタイルとして選んだのはスーツ。ミニマルにして、男の服の究極の形といえる、このアイテムを3つのテーマでお届けします。パート2となる今回は「時代に刻まれた格式の今と昔」がテーマ。様々な垣根が取り外された昨今、かつての格式も古き習慣と見る向きさえがあります。そんな現代において、フォーマルの存在意義とは。そして、その装い方とは。
Dolce&Gabbana
対極にあるモノの融合が、新しい時代を生む
2023 春夏 プレコレクションで示したテーマは「サルトリアーレ」。伝統的なテーラリング技術を用いながらも、その結果は実に斬新。このマルティーニ・フィットのスーツでは、シルク混の生地にまるでラメのように輝くシルバーのジャカード織りを用います。その柄はチェッカープレートを彷彿とさせる。独特なこの柄も伝統的なテーラリングの技術とモダンさが融合したもの。
格式とは対極的なその柄に既存の常識からの脱却を示しながらも、構築的なショルダーラインやストイックなシルエットにかつての格式高さをしっかりと誇示します。単なる否定ではなく、新しいドレスコードの構築。シルクのブラックシャツとでモノトーンにまとめれば、そんな現在に刻むべきフォーマルスタイルの完成です。
こんな一着を軽やかに着こなすことで、人生を刻んできた大人の侘び寂びを表現する、というのも、またモードの大人な楽しみ方なんですね。
VALENTINO
コードがあるからこそ、それを壊す楽しみがある
今やネイビーやグレーに続く、第3のスーツ定番カラーとなったブラウン。タキシードにおいても、昨今支持を広めています。いうまでもなく同カラーに抱く印象は、落ち着きや渋さ。つまり、オヤジには打ってつけってこと。ただし、ヴァレンティノの1着はそれに留まりません。拝絹は実にナローで、ブラウンが示す貫禄の中にシャープさを与えます。合わせたシャツは、スカーフ付きのブラックシャツ。あえて垂らすことで漂うユルさと、その中ににじむ色気によって、ブラウンはまた印象を変えます。
杓子定規ではなく、様々な要素を柔軟に取り入れる。いわばミクスチャー。90年代ロックが心に刻まれたオヤジこそ、こんなタキシードに袖を通すべきなのかも知れませんね
■ interview
金子ノブアキさんインタビュー
そんな金子さんが今回披露したのは、現代におけるフォーマルスタイル。既存のドレスコードに縛られない、新しい時代を感じさせる2つのフォーマルスタイル。そこには、いつもとは違う自分になれたと語る金子さんの姿ありました。
── 俳優としても活躍されていますが、いつも記憶に刻まれる役が多いですよね。
「かなり癖のある役を演じることが多いですね。元々は子役としてデビューしていたんですけど、今のような俳優活動はバンドでデビューして10年経ったぐらいかなぁ。そろそろ違うこと、新しい刺激が欲しいなと思っていた時で、周りのプッシュもあってやってみたんです」
── それが今では俳優金子ノブアキとして広く知られるほどに。
「続けてみるもんですよね(笑)。それこそ、ひとつずつ刻み続けてきた結果というか、今では多くのオファーを頂けるようになりました」
── 俳優の面白さってなんですか?
「セリフですかね。最近はナレーションもやらせて頂いているんですが、セリフを発するってやっぱり面白いです。バンドマンだからか、心地良いリズムでセリフを言えた時ってすごく満たされます。演技の世界と音楽の世界って、共通点が多いと思っています。ただ、作り手側になると正反対だって思いますけど」
── でも、映画では音楽監督などもされていますよね。
「そのせいか、たまに映画監督はやらないのかとよく聞かれます。でも、監督はさすがに難しいと思います(笑)。とても多くのスタッフや才能を抱え采配するなんて、僕にはまだまだできませんよ。実はここ数年、コロナもあって一人で音楽作りをしているんです。機材の進化もあって、一人で完結できるんですよね。だから今は、自分の感性だけで突っ走る感覚が面白いと思っています」
── 俳優としての現場では、何か意識されていますか。
「自然でいることかな。昔は監督とか年齢が上の人たちばかりだったけど、最近は年下の方が多いぐらい。だからって、偉そうにするのは違いますしね。誰に対しても、自然体で接することを意識しています。そもそも、若い世代と話すのって面白いですから。それに、40歳を超えたいまも自分のことがオヤジとは思っていないです。オヤジが悪いってわけじゃなく、自分が全然ガキだなって。ふと気づくと、20代の頃とあんまり変わってないもの(笑)」
PART1はコチラ
● 金子ノブアキ
ミュージシャン、俳優。1981年、東京都生まれ。RED ORCA、RIZE、のドラマーとして活動。また、ナレーター、映画の音楽監督、ソロミュージシャン、など多岐に渡り活躍中。RED ORCAは3月に全国5カ所にてワンマンライブを開催する。
詳しくはこちら https://www.redorca.tokyo
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