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2019.02.01

【まとめ】いまさら聞けない、デニム基本用語辞典

ヴィンテージデニムのディテールから、よく耳にする単位や俗称までヴィンテージデニムの基本用語をまとめました。赤耳、アタリ、チェーンステッチなどなど、ちゃんと説明できますか?

CREDIT :

写真/林 敏一郎(FOREST) 取材・文/いくら直幸 編集/長谷川茂雄 取材協力/ベルベルジン

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デニムって奥が深い。時代背景に伴ったマニアックなディテール、ツウしか知らない俗称など、とにかく専門用語が多いですよね。とはいえ、それらを知っていれば自分好みのデニムを探す一助となるはずです。いまさらそんなものは聞けないし、調べてられない、という諸兄のために、最低限知っておくべき基礎用語を前後編でお伝えします。

【 赤タブ / レッドタブ 】

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〈リーバイス〉製ジーンズの右バックポケットの左側に縫い付けられている、赤地の小さなタグのこと。その名はもとより、取り付け位置も商標登録されており、他社のものは一般名称である「ピスネーム」と呼ぶのが正解。

ちなみに織り込まれているブランド名が大文字の場合は“ビッグE ”、小文字は “ スモールe ” と区別され、ヴィンテージ古着の世界では年代判別の基準にもなる。またシリーズごとに色分けがあり、オレンジタブ、ホワイトタブ、シルバータブなども存在。
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【アーキュエイトステッチ】

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〈リーバイス〉製ジーンズのバックポケットにあしらわれている、二重アーチ状のシンボルステッチのこと。同社がリベットで補強したデニムパンツの特許を取得した1873年、つまりジーンズ誕生のその年から採用され、後に多くの類似品が出回るようになったため、1943年には商標登録も(ちなみに衣料品の商標としては最古)。

また、こうした飾りステッチはブランドごとに多種多様なデザインがあり、それぞれの個性が表現されると同時に、バックスタイルを決定づける重要なポイントでもある。
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【 レイジーSステッチ 】

リーバイスと並ぶ米国3大ジーンズブランドのひとつ〈Lee(リー)〉は、波線状のバックステッチが目印。1943年以前は上述のアーキュエイト型であったが、リーバイスの商標となったため'44年頃に変更された。その名は “ 横向きの緩やかなS ” といった意味を持ち、モチーフは飼牛の所有者を示すマーキングの焼印、また馬の口を横から見たカタチなど諸説ある。ただの飾りではなく、内側の補強布を留める役割も兼ねている。

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【 サイレントWステッチ 】

同じく米国3大ジーンズブランドとして知られ、世界初のデザイナーズジーンズでもある〈Wrangler(ラングラー)〉のバックステッチは、そのイニシャルを象ったもの。ラングラーの「W」は発音しないサイレントレターであることから、こうネーミングされた。正式採用は1947年前後。

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【 アタリ 】

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デニム特有の色落ちの一種であり、繰り返しの着用や洗濯によって生地の表面が擦れ、糸の芯にある白い繊維があらわになった状態を指す俗称。ポケット口やサイドシームなど要所に見られ、穿き込まれたジーンズならではの味わい深い表情をもたらしてくれる。例えば、裏側のセルビッジに当たって現れたライン状の色落ちは「セルビッジのアタリ」と言う。

【ヴィンテージ】

元々は当たり年のワインや醸造年を指す言葉であったが、転じて“ 年代モノ、古くて価値が高い ” といった意味で広く使われるように。こと〈リーバイス〉のジーンズでは、セルビッジ付きの生地が使われていた1980年代前半までの生産品をヴィンテージとするのがファンの共通認識。しかし現在では、'90年代製を含めるなどショップや個人ごとに線引きが異なり、厳密な定義は難しい。

【 オンス 】

ヤード・ポンド法における質量の単位で、1オンスは約28.3g、記号は「oz」で示される。ジーンズでは生地の重量を表すために用いられ、パンツ1本あたりではなく、1平方ヤードの重さを指す。10~14オンスが一般的とされ、それより重いデニムを「ヘビーオンス」、軽いものを「ライトオンス」と呼ぶ。
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【 隠しリベット / 裏リベット 】

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バックポケットの入口を内側で補強すべく、生地の裏に隠して打ち込まれたリベットのこと。〈リーバイス〉のヴィンテージジーンズに見られた特許仕様であり、従来はフロントと同様に剥き出しリベットであったが、馬のサドルや自動車のシートなどを傷つける恐れがあったため、1937年に導入。その後、ステッチによる補強へと変更された'66年まで採用されていた。正式名は「コンシールドリベット」。

【 コインポケット / ウォッチポケット 】

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5ポケットジーンズに見られるディテールであり、主に右フロントポケットの入口に設けられているミニポケットのこと。そもそもは懐中時計の「ウォッチポケット」であったが、腕時計の普及に伴って硬貨を入れる「コインポケット」と呼ばれるように。

またジッポーライターを入れてアタリ(先述)を楽しむ愛煙家も。さらに故スティーブ・ジョブズは、世界中が見守る新製品発表のステージで、この小さな収納から初代iPod nanoを取り出し、そのコンパクトさを明快にアピール。今も語り継がれる伝説のプレゼンに。
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【 コーンミルズ 】

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アメリカを代表するデニムミル。1915年より〈リーバイス〉のサプライヤーを務め、ヴィンテージと呼ばれる時代の生地を実際に生産していたことから、デニムファンの間では信頼の名門メーカーとして一目置かれている。現在は「コーンデニム」と社名を改め、多くのブランドにデニム生地を供給。

【 セルビッジ / 赤ミミ 】

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力織機(後述)で織り上げられたデニム生地の両端にある白地のミミ部分。縫製をせずそのまま使用してもホツレないのが特徴であり、ジーンズでは主に両脇の割り縫いの内側に見られる。

最もポピュラーな〈リーバイス〉で採用していた生地のミミに、赤いステッチが施されていたことからの俗称で、そのまま代名詞として定着。さらに、ほかの色糸があしらわれた金ミミ、青ミミなども総称して“ 赤ミミ ” と呼ばれることが多い。
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【 タテ落ち 】

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穿き込み&繰り返しの洗濯により、生地表面のタテ糸が擦れ、インディゴ染料が少しずつ抜け、タテ方向に線状の色落ちが現れた状態。

ムラ糸を用い、均一に織ることができなかった旧式の力織機(後述)で製造したデニム生地に見られる特有の表情であり、均一に大量生産できる現代の革新織機による生地では得られない。

ヴィンテージ及び、その素材感を再現したジーンズの醍醐味であると同時に、“格好いい色落ち ” の基準とされている。

【 チェーンステッチ 】

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縫製の裏側が鎖状になったステッチの名称。洗濯をすると縫製糸の縮みによってステッチの目がギュッと詰まり、生地との縮率の違いから迫力のあるパッカリング(後述)が現れ、結果としてメリハリの効いたアタリを生み出す。

そのためヴィンテージタイプなど味わいを大切にしたいジーンズを丈上げする場合は、裾をチェーンステッチで縫うのがよしとされ、専門店や一部こだわりショップで受け付けてもらえる。
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【 パッカリング 】

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洗濯をすることで生地&縫製糸の縮率の違いから引きつりや歪みが生じ、シワが連続して寄った凸凹の状態のこと。凸部分は擦れやすく、より色落ちしやすくなるため、そこにコントラストが生まれ、立体感のある豊かな表情がもたらされる。

ジーンズではポケット口やヒップのヨーク、裾口など要所に現れるが、とくにチェーンステッチ(先述)で縫われた箇所ほど迫力のあるパッカリングが刻まれる。
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【 ヒゲ 】

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ジーンズの股から太腿に掛けて、線状に広がった穿き込みジワの色落ちを指す俗称。そのカタチが、動物の頰ヒゲに見えることが名の由来。これに対し、膝裏に現れる同様の色落ちを“ 裏ヒゲ ”、またハニカム模様に似るため “ ハチノス ” とも呼ばれる。

【 力織機 / シャトル織機 】

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写真提供/KAIHARA CORPORATION
セルビッジ(先述)付きのデニム生地を織ることができ、ヴィンテージと呼ばれる時代の生地を実際に製織していた旧式織機のこと。

より効率的に大量生産できる最新の革新織機と比べ、生地幅は約半分、スピードも1/6ほどと著しく生産性が低く、かつ現在は製造されていない年代モノの機械のためトラブルは日常茶飯事、また日々のメンテナンスや調整も不可欠と非常に手間暇を要する。

しかし、ヴィンテージならではの魅力である不均一なザラつきのある風合いや粗野な表情は、力織機でしか表現できないことから、希少で価値あるものとしてデニムファンから高く評価されている。

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