• TOP
  • FROM EDITORS
  • 春を告げる富山湾の宝石を求めてホタルイカ漁船に乗ってきた!

2026.04.12

春を告げる富山湾の宝石を求めてホタルイカ漁船に乗ってきた!

ホタルイカといえば春を代表する味覚のひとつ。なかでも富山湾で獲れるホタルイカは大きくて丸々と太っていて非常に美味。酒の肴にもぴったりです。3月1日から解禁となったホタルイカ漁を間近で見学するために漁船に同乗させてもらいました。

CREDIT :

文・写真/森本 泉(Web LEON)

写真/滑川市役所

写真/滑川市役所

3月の寒空の下、体感温度は氷点下。揺れと水しぶきにどこまで耐えられる?

春と言えばホタルイカの季節です。噛むとプリッとした身がはじけてワタのなんともいえない旨味が口の中いっぱいに広がる、あの感触♡ 食べる前に一匹ずつ目玉とくちばしと軟骨を丁寧に取り除いてお掃除する作業まで愛おしい。これがよく冷えた辛口の日本酒に合うんです。


そんな最愛の(?)ホタルイカを獲る漁船に乗ってみませんかと富山県のブランディング推進課さんからお声がけいただきました。富山のホタルイカ漁は3月1日解禁で5月いっぱいまで。4月からは観光船が出て漁の様子を間近に見るツアーも設けられるのですが、今回は漁船そのものに乗れるということで、これはめったにない機会。

一も二もなくお願いしたのですが、後から確認すると、ホタルイカ漁って、夜中に出発して朝一で戻る漁なのですね。3月の寒空の下、最短でも2時間は海の上。小さな船で、もちろんトイレはないし、富山湾内は内海とはいえ揺れは必至。船酔い、大丈夫か、自分? 船上は風が強く体感温度は氷点下にもなるし、水しぶきで濡れることもあるので、防寒・防水を万全に、とも書いてあり……。

PAGE 2
滑川漁港で出航準備をする漁船。

▲ 滑川漁港で出航準備をする漁船。

一抹の不安を抱えたまま迎えた当日、仮眠をとって朝の2時にホテルロビー集合。一行はホタルイカ漁で有名な滑川(なめりかわ)漁港へと向かいます。東京と違って夜はしっかり暗い富山。十六夜の月明かりがずいぶんと明るく感じられます。


クルマから降りると、3月とはいえ本気で寒い! 靴下を2枚重ねで履き、手袋、マスクで完全武装。さらに水しぶき対策にレインコートを着て、靴はビニールで覆い、ライフジャケットもマストです。乗船前には万が一の際の連絡先と必ず守るべき注意事項が列挙された誓約書にもサインして、まさに決死隊(笑)。

すでに出港準備を終えている漁船に乗り込むと、漁師さんたちがブリキ缶に木をくべた焚火にあたっていました。我々もその周りにお邪魔して、いざ出陣じゃなく出港。

PAGE 3
漁師さんたちは船の先頭に座って海へと向かいます。焚火があるので、出港したばかりの時は寒くなかったのですが、漁場に着く前に焚火は消えて、あとはずっと寒かったです。

▲ 漁師さんたちは船の先頭に座って海へと向かいます。焚火があるので、出港したばかりの時は寒くなかったのですが、漁場に着く前に焚火は消えて、あとはずっと寒かったです。

風もなく波も荒くはないのですが、それでもどっぷん、どっぷんと結構揺れます。約20分ほど沖に出たところで定置網の場所に到着。そう、富山湾のホタルイカ漁は定置網漁なのです。

ホタルイカは通常水深200から600mに生息しているのですが、3月から6月ぐらいは産卵のため岸辺近くまであがってきます。深夜、海岸近くで産卵したホタルイカが、沖へと戻る道に網が仕掛けられ、そこに入ったホタルイカを獲るのです。他県で行われている底引き網漁に比べると魚介を傷つけることも少ないそう。

漁場に着くと漁師さんが定置網をセットした側に一列に並んで、仕掛けてあった網を少しずつ手繰り寄せていきます。声を掛け合いながら丁寧に網を手繰って、段々と網の面積が狭まっていくと、タモ網を持った漁師さんが中をさらってホタルイカをすくい上げていきます。

PAGE 4
定置網のある側に漁師さんは位置れるに並んで網を引き揚げます。

▲ 定置網のある側に漁師さんは位置れるに並んで網を引き揚げます。

すくったホタルイカはまず黄色いカゴに貯められ、ある程度の量になると、今度は船に備え付けられた大きな箱に入れられていきます。

タモ網ですくったホタルイカが入っています。

▲ タモ網ですくったホタルイカが入っています。

網にはイワシも結構入ってきます。 これは通常1~2月に獲れるはずのイワシの旬の時期が遅れているためだそう。そうすると、あとでホタルイカとイワシを仕分けなければならず結構な手間だといいます。昨日の漁では大量のイワシが掛かって、かなり仕分けに時間がかかったとか。この日も前日程ではなかったようですが、イワシが入り込み、漁師さんはそれを器用により分けながら、ホタルイカだけカゴに入れていきます。

もう一艘、チームを組んでいる船が網を挟んだ反対側にいて、両方の船で網を狭めていき、最後は両方の船がくっつくぐらいまで近寄って狭められたところをタモ網で丁寧にすくって漁が終わります。

PAGE 5
 チームを組んでいる船と少しずつ距離を縮めて網の範囲を狭めていきます。

▲ チームを組んでいる船と少しずつ距離を縮めて網の範囲を狭めていきます。

その後の仕分けの作業が結構大変で、船の上に板を置き、そこにホタルイカとイワシが混ざったカゴから少しずつ魚を出しては、手で仕分けていきます。

ホタルイカの中に紛れたイワシ。

▲ ホタルイカの中に紛れたイワシ。

PAGE 6
カゴの中身をボードの上に出して、ホタルイカとそれ以外の魚を分けていきます。

▲ カゴの中身をボードの上に出して、ホタルイカとそれ以外の魚を分けていきます。

ホタルイカは非常に丁寧に、でもイワシはかなりぞんざいに扱われ、船の床に落ちて何匹も飛び跳ねています。イワシだけをまとめたカゴもあって、中で元気いっぱいのイワシが飛び跳ねる毎に、そのうろこがバンバンあたりに飛び散ります。これが銀色の雨のようで、服に付くとなかなか取れないし、生臭い! でも、この時季のイワシは煮ても焼いても刺身で食べても本当に美味しいんです。文句言ってごめんなさい。

甲板上にはあちらこちらにイワシが落ちてハネています。

▲ 甲板上にはあちらこちらにイワシが落ちてハネています。美味しいのに……。

PAGE 7

仕分け作業まで終えて、出港から約90分。これで港に戻るのかと思いきや、船は次の定置網へ向かうのだといいます。

漁の間、船は止まったままですが、波のうねりで結構な上下動が続きます。自分は事前にいただいた酔い止めを飲んでいたおかげもあって、まったく舟酔いにはなりませんでしたが、なかには気分が悪くなったスタッフも。


船は手すりもないのでヘタに動けば海に落ちる危険もあり、そもそも揺れるので船上を歩き回ることは不可能なので、我々は座ったまま漁を見ていました。そんな中、漁師さんたちはバランスよく機敏に動き回り連係プレーでどんどん仕事をこなしていきます。手袋をしていても手がかじかむような寒さの中、素手で作業する漁師さんも。海の男はどこまでも強くてカッコいいのです。

バランスの悪い船の上で水しぶきを浴びながら網を引いたり重いカゴを運んだり、かなりの重労働です。

▲ バランスの悪い船の上で水しぶきを浴びながら網を引いたり重いカゴを運んだり、かなりの重労働です。

PAGE 8

掌に載せると足を絡めて吸い付いつてくる愛くるしいホタルイカ

2場所目も同じような手順で漁が繰り返されますが、今回はさらに大漁です。すくったタモ網には先ほどに比べると桁違いの大量のホタルイカが入っています。

「ちょっと見てみな」と言われて、恐る恐る立ち上がると、漁師さんが海から上げたばかりのタモ網を持ってきてくれました。船の電気を消していただくと、網に入ったホタルイカがほのかに青白く発光しています! なんと神秘的なことよ。ホタルイカは小さな体に1000個もの発光器をもっていて、刺激を受けると発光するのですが、それがなんのためなのか、いまだに正確な理由はわからないといいます。

 こんな感じなんですがいい写真が撮れず、こちらは滑川市役所提供のお写真で。

▲ こんな感じなんですがいい写真が撮れず、こちらは滑川市役所提供のお写真で。

PAGE 9

そこへ漁師さんがバケツに何匹かのホタルイカを入れて持ってきてくれて「触ってみていいよ」と。思わず掌に載せると、小さな足で必死にしがみついてくるのです。可愛いと思った瞬間に「痛っ!」。そのくちばしで手のひらを噛みつきやがるじゃありませんか! と言ってもそんな痛いわけじゃないですが(笑)。

しかしよく見るとホタルイカは目が大きくて愛嬌のある顔をしています。獲れるのは産卵直後のメスがほとんどメスだから、まぁ美人さん揃いなわけで、何とも愛くるしい……。

可愛いホタルイカ娘。美味しそうとか思ったら罰が当たりそう。

▲ 可愛いホタルイカ娘。美味しそうとか思ったら罰が当たりそうなぐらい美しい。

PAGE 10

そして2度目の定置網漁も豊漁のうちに終了。大きな箱が2つとも満杯になって、船は元の漁港へと戻ります。時間は5時半過ぎ、なんと3時間も船の上にいました。

漁港に戻ってきたところ。黄色いカゴに入っているのはついでに獲れたイワシ。

▲ 漁港に戻ってきたところ。黄色いカゴに入っているのはついでに獲れたイワシ。こちらも豊漁です!

戻ってくると、すぐにホタルイカの仕分け作業が始まりますが、ここで我々は場所を移して近くの水橋漁港へ。

こちらでも船がホタルイカ漁から戻ってきたばかり。ホタルイカで美味しいのは雌。一部混じっている雄や形の悪い個体、更にホタルイカによく似た「ほたるいかもどき」というのもいて、これも選り分けなければならないのですが、まぁ神業の如き素早さで作業はどんどん進んでいきます。

PAGE 11
こちらが選別作業。瞬間的に商品にならない個体を選り分けていく漁師さん。

▲ こちらが選別作業。瞬間的に商品にならない個体を選り分けていく漁師さん。

選別を終えたホタルイカは、船の中でも使われていた黄色いカゴに入れられ、すぐ入札にかけられ、各地へと運ばれていきます。この鮮度を保つスピード感こそが富山の魚が美味しい大きな理由のひとつなのです。

黄色いカゴにいっぱいのホタルイカ。カゴ1つで50kgあるのだそう。

▲ 黄色いカゴにいっぱいのホタルイカ。カゴ1つで50kgあるのだそう。

すでに辺りはすっかり明るくなり、港からは立山連邦の山並みが美しく望めたのでした。

6時半ごろ。朝やけに染まった立山連峰。

▲ 6時半ごろ。朝やけに染まった立山連峰。

PAGE 12

日帰り観光客を夜まで留める秘策はスナックでママと寿司ざんまい

今回のツアーは「寿司といえば、富山」を合言葉に、「寿司」をフックとして県の魅力を広く伝えていこうという富山県のプロジェクトに沿ったもの。そのメインイベントがホタルイカ漁体験だったのですが、実はそれ以外にもいろいろなところに連れて行っていただいたので、残りのスペースではそちらもご報告。

まず最初に伺ったのは「歩(あゆみ)寿司本家」という市内のお寿司屋さん。こちらでは「富山湾鮨」と名付けられた富山湾で採れる地魚の握りずしを堪能しました。「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾には500種もの魚がいると言われ、市場には浅場から深海魚まで幅広い魚が並びます。春はホタルイカ、夏はシロエビ、秋はベニズワイガニ、冬はブリが富山の四季を代表する魚介と言われています。

鮮度抜群・魚種豊富な富山湾の地魚をネタにした、「富山に来た方だけが堪能できる贅沢な寿司」を「富山湾鮨」と命名し県内40軒以上の寿司屋で提供している。

▲ 鮮度抜群・魚種豊富な富山湾の地魚をネタにした、「富山に来た方だけが堪能できる贅沢な寿司」を「富山湾鮨」と命名し県内40軒以上の寿司屋で提供している。HP/富山湾鮨(とやまわんずし)

PAGE 13

この日もシロエビやバイガイ、カワハギにのどぐろ、ホタルイカの昆布〆など、東京のお寿司屋ではあまりお馴染みでないネタが並び、どれも新鮮で美味いこと!

当日は富山で初めての寿司職人を養成する学校「北陸すしアカデミー」の開校日でもあり、県知事も招いて賑々しく行われた開校イベントの様子も拝見しました。

校舎は北前船で栄えた風情ある岩瀬町の通り沿いに建ち、釣り具店だった古民家を改修した建物。

▲ 校舎は北前船で栄えた風情ある岩瀬町の通り沿いに建ち、釣り具店だった古民家を改修した建物。

夕方からは、なんと県内最大の歓楽街である桜木町にあるスナックへ。実はこちらでは、美味しい寿司をつまみながら楽しめる「スナック寿司」という企画が行われているのです。

PAGE 14
今回伺ったのは、「bar 雅」さん。実際のツアーでは2軒のスナックをはしごして、1軒目は貸切状態のスナックで寿司の夕食、2軒目では寿司をイメージしたおつまみと地元の雰囲気を楽しむという流れになっています。

▲ 今回伺ったのは、「bar 雅」さん。実際のツアーでは2軒のスナックをはしごして、1軒目は貸切状態のスナックで寿司の夕食、2軒目では寿司をイメージしたおつまみと地元の雰囲気を楽しむという流れになっています。

観光客の7割が日帰りという現状から、少しでも宿泊客を増やすためにはナイトタイムの滞在を楽しんでもらう必要があるということで、通常は地元客が多いスナックで寿司を肴にママやスタッフと盛り上がって富山の夜を寿司で〆ていただこうと企画。県のお墨付きで案内人も付くとなれば一見さんの観光客でも安心して楽しめます。この日もノリのいいママとお美しいお姉さんたちとのおしゃべりに仕事を忘れて楽しんでしまったのでした。

翌朝はホタルイカ漁取材の後に、水橋漁港に隣接した ホタルイカ漁師さんがオーナーという「水橋食堂 漁夫」へ。地元で獲れた新鮮な刺身を豪快に盛り付けた海鮮丼とホタルイカのしゃぶしゃぶという特別な朝食をいただきながら、東京海洋大学の大学院生でもある大屋さんにホタルイカの生態についてお話をうかがいました。

 「水橋食堂 漁夫」の朝食メニュー。新鮮な刺し身を豪快に盛りつけた海鮮丼とホタルイカのしゃぶしゃぶ、ボイルしたホタルイカの酢味噌添え 。

▲ 「水橋食堂 漁夫」の朝食メニュー。新鮮な刺し身を豪快に盛りつけた海鮮丼とホタルイカのしゃぶしゃぶ、ボイルしたホタルイカの酢味噌添えも 。

PAGE 15

最後は「魚の駅生地(いくじ)」へ。こちらはいわゆる道の駅のお魚版。地元漁港で採れたばかりの各種魚の直売はもちろん、県内のお土産品を広く揃えるほか、食堂では富山の魚を使った様々な料理が楽しめます。この日いただいたのは販売を開始したばかりの『「春の四重奏」バラちらし寿司』。見た目も華やかで色んな味が楽しめるのは行楽弁当にもぴったりかと。

『「春の四重奏」バラちらし寿司』は富山県朝日町の観光名物・あさひ船川「春の四重奏」がモチーフ。残雪の朝日岳(白)を背景に、桜並木(ピンク)、チューリップ(赤)、菜の花(黄)の四層が織りなす美しい風景にあやかって寿司で四重奏を表現。

▲ 『「春の四重奏」バラちらし寿司』は富山県朝日町の観光名物・あさひ船川「春の四重奏」がモチーフ。残雪の朝日岳(白)を背景に、桜並木(ピンク)、チューリップ(赤)、菜の花(黄)の四層が織りなす美しい風景にあやかって寿司で四重奏を表現。

それにしても、あの手この手で富山に魅力を伝えようとする皆さんの熱い想いにが十分に感じられるツアーとなりました。北陸新幹線が富山に開業して11年。今では東京から最短2時間4分で行けるのも今回初めて知りました。京都より近いんですね。


旅は行き慣れた場所もよいけれど、たまには新たな刺激を求めて未訪の地へ出かけるのも楽しいもの。美味しいお寿司に、温泉もあるし(宇奈月とか氷見とか)、楽しくて安心なスナックもあるとなれば、これはまさにオヤジの天国。行くか行かないかではなく、いつ行くかが問題ですぞ。

こちらの記事もいかがですか?

PAGE 16

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        春を告げる富山湾の宝石を求めてホタルイカ漁船に乗ってきた! | 編集記 | LEON レオン オフィシャルWebサイト