2020.06.05

韓流知らずの私が「愛の不時着」に堕ちたワケ

ステイホーム期間中にやっていたのはAmazonプライムビデオとNetflixサーフィン。そこで出会ったドラマにドハマりして……

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文/秋山 都 

LEON.JP食いしん坊担当の秋山 都です。

今回は珍しく、食べ物ではなく、エンターテイメントのお話。というのも、この新型コロナウイルス禍におけるステイホームの期間中、どこかへ外食に行けるわけもなく、私がやっていたことと言ったら……リモコン片手にAmazonプライムビデオやNetflixをみることくらい。

そこで出会ってしまった(いえ、韓流ファン風に言えば「堕ちた」)のが、『愛の不時着』。いま、「冬のソナタ」以来の大ブームとなっているこのドラマシリーズは、韓国、日本のみならずアメリカなど世界で人気。全16回のこのドラマを私は2回みました。そして、今もドラマのサントラを聴きながらこの原稿を書いています……この『愛の不時着』のどこがそんなに私を惹きつけるのか、微力ながらその魅力をお伝えしたいと思います。

ただ、前置きしておきますと、私は韓流ドラマファンではありません。実は『冬のソナタ』もみていないし、『天国の階段』を地上波の再放送でチラ見したくらい。「韓流ドラマ? 主人公がすぐ記憶喪失になったり、不治の病にかかるんでしょ?」というくらいの浅学ぶりです。

その私をして、本当に「堕ちた」という表現がピタリとはまるほど、夢中にさせた『愛の不時着』っていったい何なのでしょう。

*ここから先は一部ネタバレを含みます。ドラマをみていない方はご注意ください。
英語タイトルは『Crash Landing On You』。まさに不時着から物語が始まる。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
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1.北朝鮮というミステリアスな舞台設定

ヒョンビン演じる、主人公のリ・ジョンヒョクは政府高官を父にもつエリート軍人。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
さて『愛の不時着』というからには、まさに‟不時着”から始まるわけですが、主人公のユン・セリ(女性)がパラグライダーを楽しんでいたところ、竜巻にまきこまれて‟不時着”したのはなんと北朝鮮でした。「そんなこと、あるわけない」と思いますよね? でも、パラグライダーは無動力のためレーダーにひっかからなかった、かつ、この日は悪天候で高圧電力がはられた電磁柵も破れていた、などの言い訳が細やかに設定されています。

北朝鮮という国については、その情報の少なさからさまざまな噂やイメージが流布されています。私はもちろん行ったことはありません。映画『JSA』をみたときは、男と男の友情に涙したし、ヤン・ヨンヒ監督が北朝鮮に‟帰国”した家族を描いたドキュメンタリーをみて、その複雑な心情にそっと思いを寄せる程度の知識です。

この『愛の不時着』で描かれているのは、そのどれとも違う北朝鮮像です。もちろん、盗聴、密告、陰謀などそれらしいディテールが網の目のように巡らされているのですが、その根底に描かれているのは、家族の愛情や、友人たちとの人間らしいふれあいです。

たとえば、しばしば停電してしまう村で、ろうそくの灯りのもと語らう夫婦や親子。村にやってくる豆腐売りとのなにげない会話、女性たちで集まって作るキムチ、南朝鮮(韓国のことですね)から密輸される化粧品や家電への憧れ……。このドラマは脱北した人たちにも綿密な取材を繰り返し、製作されたと伝えられていますが、現代の北朝鮮の暮らしはきっとこんな風なのだろう、とどこか親しみを覚えてしまう……この時点ですでに演出家の術中にハマっていますね(笑)。
ソン・イェジン演じるユン・セリ。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
そして‟不時着”した主人公のユン・セリも、この北朝鮮暮らしに次第になじんでいきます。財閥に生まれ、ファッション企業を経営するキャリア・ウーマンだったユン・セリが、北朝鮮の暮らしをどのように捉えるか、も見どころのひとつ。韓国では「魚貝はブイヤベースしか食べない」「お酒はワイン、しかもソーヴィニヨン・ブランしか飲まない」と言っていたユン・セリが、ガソリン(?)を豪快にかけて焼く貝焼きを美味しそうに食べ、焼酎を一気飲みするシーンは私のお気に入りです。
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2.新しい主人公の描き方

次に、主人公の男女、リ・ジョンヒョクとユン・セリの描かれ方についてです。
リ・ジョンヒョクは政府高官を父に持つエリート軍人、ユン・セリは財閥の娘として生まれ、自らのファッションブランド「セリズ・チョイス」を経営するビジネスウーマン。タレントや有名人と浮名を流してはメディアに騒がれるセレブリティでもあります。

そんなふたりが北朝鮮で偶然に出会い、恋に落ち、韓国に帰ろうとするセリをジョンヒョクは懸命に支える……わけですが、単純に女が男に助けられ、支えられるという図式では描かれていません。北朝鮮というアウェイな土地で、誰も知っている人がいないのに、ユン・セリはいつも強気にふるまい、自分の経済力を誇示しながらも必死に帰ろうとします。

一方、力の象徴ともいえる軍服に身を包んだリ・ジョンヒョクは朴訥な性格ながら、自分で麺をつくり、コーヒー豆を自家焙煎するなど、生活力も抜群。のちに、ユン・セリのソウルの自宅の冷蔵庫にはミネラルウォーターしか入っていないというシーンが描かれ、その対比も面白いのですが、私たちが刷り込まれたジェンダー観を超えた展開が、なぜか北朝鮮を舞台に繰り広げられるという……その新しさが面白さのひとつです。

そして、財閥という恵まれた環境に生まれながら、あたたかな家族の愛情を知らずに育てられたユン・セリは、北朝鮮の村で人と一緒に食事をする楽しさや、弱みを見せることの大切さを学んでいきます。ソウルで何もかも手にして贅沢な生活をしていた彼女が、北朝鮮に‟不時着”して、大きく欠落していたものを取り戻していく様はほのぼのとして、見るものの気持ちをやさしくさせます。

「韓国へ帰りたい」ユン・セリ、後半で「北へ帰りたくない」というリ・ジョンヒョク。ふたりの間に38度線がある限り、結ばれることはありません……。
「セリズチョイス」はアパレルからジュエリー、化粧品まで手掛ける総合的なブランドらしい。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中

3.「顔の天才」ヒョンビンがかっこよすぎる。

韓国の人気スターのひとり、ヒョンビン。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
そして、最後になりましたが『愛の不時着」に堕ちた最大の理由はこの人にあります。主人公のリ・ジョンヒョクを演じるヒョンビン。ドラマの中で「顔の天才」と称されるシーンがありますが、顔の造りが良いのはもちろんのこと、細かな心情を伝える目や顔筋の演技が素晴らしいのです。そして、韓国の兵役のなかでももっとも厳しいとされる海兵隊に自ら志願し、2年間の服務を終えたという肉体美の美しさといったら……(汗)。

最初に述べたように韓流ドラマをほとんどみたことのなかった私が、このヒョンビンみたさに『シークレット・ガーデン』『Late Autumn』『Confidential/共助』『The Negotiation』など、彼の他の出演作をみまくっています。最近では「アラッソ?」「クレ~」「オットッケ」など頻出する韓国語は理解できるようになってきました。そして今夜は自宅で「サムギョプサル」を作る予定です。私の韓流熱はしばし冷めやらないようですので、今後、韓流ネタが続くかもしれませんが、どうぞ気長にお付き合いください。
せっかくオフィシャル画像をいただいたので多めに貼っておきます。Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中

愛の不時着

Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中

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