2020.01.24

ココ・シャネルの迷宮映画を知っていますか?

オトコとオンナの迷宮に、華麗なココ・シャネルのファッションとともにいざ!

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文/高橋大(LEON.JP)  写真提供/セテラ・インターナショナル

こんにちは。
LEON.JPのタカハシです。

先日、「去年マリエンバートで」を久しぶりに見ました。
1961年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞している名画なので、ご存じの方も多いでしょう。
最初に見たのはおそらく10代のころなのですが、なぜこのタイミングなのかというと、昨年シャネルによって4Kデジタル・リマスター版として完全修復されたから。
え?なんでシャネル、と思った方、実はこの映画の衣装はすべてココ・シャネルが手がけているんです。
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というわけで、ファッションが好きな方は当然チェックされてると思いますし、気になっている方も多いでしょう。
が、この映画なかなかのくせ者。
※ここから先はネタバレ的?な部分もありますゆえ、先入観なしに見たい方は離脱を。

ちなみにタカハシが10代のころに見たときの印象は「わけわからんけど、カッコイイ」でした(笑)
果たして、いまみた感想もやっぱり「わけわからんけど、カッコイイ」

なんですが、「一言でいえば」という注釈は付きます。
この映画のすごさ、語りドコロいろいろあるんですが、まずその構築的な映像美。
これ最新のファッションのプロモーションビデオですと言われてもまったく違和感ないくらいです。

そして、なんといってもすごいのは、この「わけわかんない」シナリオ。
ざっとあらすじをいうと、ある男Aが、逢瀬を重ねた女性と1年後の駆け落ちを約束した場所で会う。だけど、その女性は男も約束も覚えていないという。そこに女性の夫らしき男Bが登場。なにかどろどろしたドラマでも始まるのかと思いきや、一向に話は進まない。
ただひたすら男Aが「おれと駆け落ちする約束っしょ」的なことをいい、女性は「知らない。人違いでしょ」の繰り返し。そして、逢瀬を重ねていた一年前と思しきシーンが交互に挟まり。そこに時折男Bと男Aがなぞのゲームで勝負するシーンが挿入される。
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登場人物の背景や、物語にかんする説明を一切省き、映画は進んでいき、その場面は1年前なのか? 現在なのか? はたまた主人公の妄想なのか? もわからない(ロジック的な推理は可能なんですが)

男の独白と、女の合いの手のような台詞、なにかを暗示するような構築的な画、それらがループするように進む。それは、映画というよりは、サンプリングやコラージュで作られたダンスミュージックのような、頭というより身体の奥になにか不思議な感情を醸造していくような、そんな体験をもたらします。

そのシナリオを手がけているのが1950年代のフランスで起きた前衛的な小説のムーヴメント、ヌーヴォ・ロマンの旗手と呼ばれたアラン・ロブ=グリエ。この人の小説もちょっと似た感触があるんですが、その実験的な試みを映像に昇華させたのがこの作品というわけです。
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ちなみに、ロブ=グリエは「マリエンバート」が評価されて、自身も映画を撮るようになります。
それを見ると、より明確にサンプリング&ループ的手法による官能性が表現されていて、音楽的な心地よさも強く感じます。
なので、案外ロブ=グリエの映画から入った方が「マリエンバート」は理解しやすいかもとも思います。

まぁ、しかしこの映画は理解するよりは感じる作品な気がするので、あれこれ考えるよりただ体感した方がいいのかもですね。っても見ると絶対考えちゃうんですが…そこも狙い?

どちらにしても、分かりやすく説明的なエンタテイメントに慣らされた現代人にはなかなかに挑戦的な作品。Netflixの「全裸監督」や「ストレンジャー・シングス」とかも素晴らしいですが、ちょっとアートを鑑賞するぐらいののりで見てみるのも一興かと思います。

前回も書きましたが、レイヤーを増やす、という意味ではぜひ多くの方に見て貰いたいなぁと。

ではまた!

「去年マリエンバートで」
監督・アラン・レネ
脚本・アラン・ロブ=グリエ
配給・セテラ・インターナショナル
全国順次公開中

http://www.cetera.co.jp/marienbad4K/

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