2019.10.15

「どうにもならない」なら感じてみる

あの、天井いっぱいの赤い糸、黒い糸といえば----。ベルリン在住でグローバルな活躍を続けるアーティスト、塩田千春さんによる「塩田千春展:魂がふるえる」。話題沸騰のあの個展も、ついに会期が10月27日(日)までと迫ります。オヤジさんの魂にもきっと響く、個展の魅力をもう一度ここに。

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文/清水香里(LEON)

こんにちは。LEON編集部・清水です。

「どうにもならない感情や葛藤」誰しもそんなものに苛まれることがあるはずです。理由は千差あれ、人の心に生まれるどんな感情もが“怒り”“哀しみ”“迷い”といった既存の言葉だけで形容できるワケではないのかと。100人いれば100通りの感じ方があるなかで、感情は想像を超えるほど複雑なのが常。きっとビジネスで、プライベートで、日々戦い悩みながらも前進し続けるLEON 読者ならそんな感情たちも想像に難くないと思うのです。

もし、そんな誰かの「どうにもならない感情や葛藤」を目で見て、音で聞いて、感じることができたらーー。
ということでここに改めてご紹介したいのが六本木の森美術館で10月27日(日)まで開催中の『塩田千春展:魂がふるえる』。あの、天井いっぱいに張り巡らされた圧巻の赤、そして黒の糸は、一度はどこかで見たことのある方も多いはず。

作家の塩田千春さんは2008年の芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞以降、スミソニアン博物館アーサー・M・サックラー・ギャラリー (2014年)、南オーストラリア美術館(2018年)など世界各地で個展を開催してきたほか、2015年の第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本館代表を務めるなど、グローバルに活躍する日本を代表するアーティストのひとりです。

『どうにもならない心の葛藤や言葉では伝えることができない感情、説明のつかない私の存在、そのような心が形になった』というのが彼女の作品。一昨年、12年前に患った癌が再発したという塩田さん。死を身近に感じた治療の日々のなかで「魂はどこにあるのか」という問いとともに、カラダがバラバラになるような感覚に襲われたそう。そんな感情のなかにあっても、『辛い治療も、良い作品を作るための試練なのかもしれない』と考えたという作品に、“アート”の範疇を超えて観るものに訴えかけるものがあるのも納得です。

そんな作家の過去25年間の集大成とも言える『塩田千春展:魂がふるえる』は、あの、赤い糸が張り巡らされた《不確かな旅》、黒い糸が幼少期の火事を表す《静けさのなかで》そして、約440個のスーツケースが揺れる圧巻の《集積―目的地を求めて》らが展示された過去最大級の個展。

副題の「魂がふるえる」が表すように、作家の思いが込められた空間は、誰もが抱えながらも人に見せることのない「どうにもならない感情や葛藤」を刺激されるようでなりません。日々、ビジネスにプライベートに人に弱みを見せることなく邁進するオヤジさんも、その圧巻の空間できっと“何か”を実感すること請け合いですよ。

森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」

住所/森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
HP/http://www.mori.art.museum
会期/2019年10月27日(日)まで
開館時間/10:00〜22:00(〜17:00火 ※10月22日(火)のみ22:00まで)
入館料/一般1800 円、学生1200円、子供600円、シニア1500円

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