2019.07.10

問題は、誰が作ったフランス料理を食べるか、なのです

9月20日から行われる「ダイナースクラブ フランス レストランウイーク2019」の関連イベントとして行われた食事会で石川県のフレンチレストラン「ラ・クロシェット」の橋田祐亮シェフの料理をいただきました。

CREDIT :

森本 泉(LEON.JP)

こんにちは、LEON.JPのモリモトです。
皆さん、フランス料理はお好きでしょうか。どんな料理も当然ながら文化の産物ではありますが、とりわけフランス料理は「能書きを食わされているようで面倒くさい」という方も多いかと。でも、それは誤解というもの。

確かにフランス人は理屈っぽいですが、黙って食べてもフランス料理は美味いし、高級なイメージが窮屈なのも確かですが、当然ながらフランス人だって毎日盛装してコース料理を食べているわけではありません。

もっと気軽に、日常の中で楽しむべき魅力がフランス料理にはたくさんある。そんなフランス料理の素晴らしさをより多くの人に気軽に味わってもらいたいということで行われているのが、「ダイナースクラブ フランス レストランウイーク」です。
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今年で9年目を迎えるこのイベントに先立ってフランスと日本の地方都市で活躍する人気シェフを迎えて、スペシャルダイニングを楽しむ限定レストラン「ラ・ターブル・ドゥ・ダイナースクラブ@ミーレ」が開かれておりまして、先日、その第1回目となる食事会に参加させていただきました。

場所はドイツのプレミアム家電ブランド「Miele(ミーレ)」の表参道にあるショ-ルーム。広い窓からは根津美術館を向かいに望む恵まれた環境の2階スペースには、ミーレの各種調理機器や冷蔵庫など、レストラン顔負けのキッチンシステムが揃います。ここに20名ほどが座れるテーブルを並べて、即席ながら優雅で落ち着いたオープンキッチンのレストランができあがっておりました。
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この日のシェフは石川県羽咋(はくい)市でレストラン「ラ・クロシェット」を営む橋田祐亮さん。

橋田シェフは1980年生まれ。辻調理師専門学校フランス校を卒業したあと、「ポール・ボキューズ」で研修。その後、東京での仕事を挟んで再び渡仏し、星付きレストランを中心に9店で修業。最後は「ラ・ヴィラ・アルカンジュ」(2つ星)でスーシェフまで務めて5年前に帰国。縁あって、2017年より羽咋市に自分の店を開くこととなったそうです。

履歴だけを見てもまさにエリート中のエリート。その彼が、あえて中央ではなく北陸の郊外に店を開いて、しかも、それが名店として評判を呼び、いまやミシュランで星まで獲得している。それ自体が十分なドラマでもあるだけに、とても楽しみにしていたのですが、その料理は期待に違わぬ素晴らしいものでした。
まずは猪や甘エビ、フグなど地元の食材を使ったアミューズ・ブーシュが3品。それぞれに味わいと食感の違う、少量ながら奥深さを感じさせるまさに小宇宙のような凝ったフィンガーフーズで、目と舌を驚かせてくれます。
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七尾市・中島 宮本さんの岩ガキ、能登の海藻のジュレ きゅうりのソースと西洋わさび
料理の一皿目は「七尾市・中島 宮本さんの岩ガキ、能登の海藻のジュレ きゅうりのソースと西洋わさび」。旬である大ぶりの岩ガキを丸ごと殻に盛り、小さく切り分けた身の上に特製のジュレやソースをかけた一品。とかく単調になりがちな岩ガキが幾重ものソースを纏って実に繊細で複雑な味わいへと進化しています。
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能登産本日の鮮魚のポワレ 輪島産のサザエ、香草のピューレ、ルイユ
2皿目は「能登産本日の鮮魚のポワレ 輪島産のサザエ、香草のピューレ、ルイユ」。魚はスズキ。中にはしっとりと火が入り、皮はパリッと香ばしく。香草のピューレと絡めたサザエの濃い目の味わいが魚の淡い旨みと絶妙の対比を見せてくれます。
ここで箸休めに「自然栽培のミントのグラニテ “モヒート”のエスプーマ」。ほの甘いグラニテが口に爽やかでなんとも幸せを感じさせてくれます。
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能登豚ロースのロースト 羽咋産自然栽培の野菜を添えて
メインの3皿目は「能登豚ロースのロースト 羽咋産自然栽培の野菜を添えて」。この豚がもちもちの焼き加減で、噛んだ時にじわじわと滲み出る甘みが、なんとも香り豊かです。
今回、調理は会場にあるミーレの機器を使って行われたのですが、当然ながら、橋田シェフにとっては普段と勝手が違う体験。オーブンにしろレンジにしろ、IH調理器にしろ、ほぼ初対面なわけで。しかし慣れない作業でもミーレのオーブンは細かい温度設定が可能で、スチームを駆使して適度な水分量を維持しながら焼けるので、結果、いつもと同じ満足のいく料理を作ることができたとのこと。さすが、ミーレです。
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ミーレの調理器具でクッキング中の橋田シェフ
このミーレの力もあるのかもしれませんが、メイン料理では、とにかく野菜の美味しさが印象的でした。橋田さんの料理は一口めは少々塩味が薄いように感じるのです。しかし、その少し薄味に感じられたすぐ後に口内を満たすのはえも言われぬ上品で優しい甘さです。人参やさやえんどう、ごぼうなど、食材ごとに微妙に違う甘さが絶妙なコントラストで組み合わされ、それらがオーケストラのように口の中で旨みを響かせ合います。
自分の味覚がこんなに繊細に野菜の甘さを味わい分けられることに感動してしまいます。けれど、私のような凡庸な舌にもそれを感じさせてくれるのが橋田さんのマジックなのだと気づきます。やっぱり一流料理人ってすごい。
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氷見・稲泉農園のブルーベリー、ヴァローナ社“オパリス”とベルバラ園さんのバラ、ローズマリー香る発酵乳ノソルベ
そしてデザートは「氷見・稲泉農園のブルーベリー、ヴァローナ社“オパリス”とベルバラ園さんのバラ、ローズマリー香る発酵乳ノソルベ」。これがまた、目にも舌にも見事に美味しい。同席した女性客のあちらこちらから「かわいい」「美味しい!」と声が上がります。もちろんオヤジが食べても思わずにんまりしてしまう絶妙な甘さ加減です。
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この日は、これらの料理にグラスのロゼワイン1杯と食後のコーヒーかお茶がついて5000円で提供というコースでした。実は「フランス レストランウイーク2019」では、全国の参加レストラン650店舗以上で、ランチ、ディナーとも、2500円、5000円、8000円(税サ込)で食事ができるのです(酒類は別です)。

こちらの食事会もその一環という次第。いやはや、なんともお得感の高いコース料理。特に橋田さんの料理はふだん、石川まで行かなければ食べられない料理なので、余計お得感が抜きん出ているのですが。
今回は橋田さんというシェフとの出会いがありましたが、結局のところ、料理とは「誰が作るのか」に尽きるのではなかと思います。

多くの人は人生最初の食事を母親の手料理として体験するでしょうが、生きるための根源の営みである「食」を担う人との出会いは、人間がいくつになっても大切でないわけがありません。

食には人生を変える大きな力が秘められています。この日出会った橋田さんの料理も、私の体の中に力強い幸せの刻印を残してくれました。

まだまだ世の中には私の、そしてあなたの知らない優秀な料理人が星のようにたくさんいるでしょう。人の短い一生を思うとその中で出会えるのはごくごくひと握り。もしあなたが美味しいものが大好きで、その作り手との新しい出会いを期待しているならば、この「フランス レストランウイーク2019」は素晴らしいチャンスです。この機会にぜひ、あなたのお気に入りのシェフを一人でも増やしてくださいませ。
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■ ダイナースクラブ フランス レストランウイーク 2019

開催期間/2019年9月20日(金)~10月6日(日)計17日間
公式サイトURL/https://francerestaurantweek.com/
テーマ/トレ・ボン! 日本のテロワール 参加店舗/全国の参加フレンチレストラン650店舗以上(予定)/内容 基本構成:前菜、メイン、デザート、食後の飲み物 価格:ランチ、ディナーともに2500円、5000円、8000円(税サ込)のいずれかの価格で提供。詳しくは公式サイトへ

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