熟成肉はもうおなかいっぱい?
あれはたしか小学校の2年生のころ。家族で訪れた日本橋の老舗洋食屋さんにて。
ガラス張りで中が見える冷蔵庫の中に、なにやら黒くなった肉が見え、幼心に「あれを食べるの?」と怪訝な顔をしていた私に、いなせな店主のおじさんが声をかけてくれました。
「お嬢ちゃん、肉はね、腐りかけが一番美味いんだよ」
また、高校生になって、父のお供でゴールデン街へ出かけたとき。
父の知人であった有名デザイナーがそっと私にささやきました。
「キミも毎日髪の毛洗ってるの(当時“朝シャン”が流行ってました)? ダメダメ、女の人はね、少しくさいくらいがいいんだから」
このふたつの言葉は私の心の奥深くにしまわれ、何かの折に思い出される大切な記憶です。つまり、万事新しくフレッシュなものが良いとは限らない。老い、枯れ、朽ちていく経緯で生まれる味や魅力もあるのだという、やや観念的な美に私が初めて出会った瞬間だったのかもしれません
そんな風に育った私が2000年代に入って熟成肉のトレンドに出会ったとき、思い出されたのも冒頭の洋食屋のおじさんの言葉でした。もちろん、お肉を「適正に熟成させる」ことと、「腐らせる」ことはまったく異なるので、そこを混同されると困ってしまうのですが、あのおじさんもきっとエイジングさせた肉のおいしさについて語りたかったに違いありません。
ただ、そのあと熟成肉ブームが来て、熟成庫のないお肉屋さんや正しい知識のないレストランが「熟成肉」を提供しだすと……いわく、熟成肉は「匂いがある」「固い」「赤身の肉ばかり」とネガティブなイメージも生まれてしまいます。私としても正直、ネコも杓子も熟成肉で、ちょっと食傷気味だな、なんて。でも先日、久々に美味しい熟成肉に出会えたんです。これ、全然違った!
京中式のお肉はここが違う!
このサイト上では、「赤身を多めに」「霜降りを多めに」など細かくリクエストできるサービスも素晴らしいのですが、ステーキの焼き方も懇切丁寧に説明してありまして、これ、今後も使えると思うので、コピペさせていただきます。今度は「牛1頭買い(全50部位)」してみたいなぁ。およそ2か月かけて枝肉をオーダーメイドで熟成させてくれるんだそうです。どなたか一緒に「牛一頭食い」しませんか?
京中オンラインストアよりサイコロステーキおすすめの焼き方
調理開始30分ほど前から常温に戻し、全体に軽く塩を振っておきます。
・焼き目をつける(約2分)
フライパンを脂を敷いた時にさらりと溶ける程度まで熱し、焼きやすい部分(何も支えなくてもフライパンに当たる部分)は火を入れやすいので、支えないとフライパンに当たらない部分からトングや箸などでステーキを支え、焼き目をつけましょう。中火で全面に焼き目がつくよう丁寧に一つ一つ転がすのがポイント。
・火入れ(約20秒×4~8回)
同じ面ばかりがフライパンに当たっているとそこからどんどん火が入ってしまうので、20秒毎に別の面が焼けるようフライパンを振りつつ、返らないサイコロステーキはトングで返します。
火力は中火。
・休ませ、余熱で火が入る(約2分)
フライパンでの調理に加え、余熱調理を取り入れましょう。(アルミホイルで2~5分ほど包み休ませる。)
一つ一つをアルミホイルで包んでいると時間がかかりすぎるので、まとめて包みましょう。
・仕上げの焼き付け(約1分)
フライパンを煙が出る少し前くらいまで熱し、休ませたステーキの全ての面を当てるようにして焼き上げます。
この時、しっかりと焼き目を付けるとメイラード反応によって香ばしい肉の香りをお楽しみいただけます。焼き目が浅い方が京中式熟成牛肉の香りをストイックにお楽しみいただけます。