2019.04.09

初期マルタンマルジェラが価格高騰するワケ

話題の映画『We Margiela』が世界を巡り、東京で公開されました。知られざる製作の秘話が関係者のインタヴューを通じてタイムカプセルのように蘇ったのです。

CREDIT :

文/堀川博之(LEON.JP)

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こんにちは。
LEON.JP堀川です。

日本でも公開された映画『We Margiela 』を観ました。

映画やドラマといえば、Netflixが中心になっていたので、数年ぶりの劇場。いまだに流れる映画泥棒のCMだけは、なんとかならないかと思いつつ……。

既にご覧になっているかたもいらっしゃると思いますが、内容は、マルタン・マルジェラ創設後から(1988年)、関わっていたスタッフのインタビューを中心に構成されたドキュメンタリーフィルム。
ブランドスタート時から明確に”ブランド”になるべく奮闘しつつ、評価が高まって行く過程と、マルジェラ自身がブランドを去る(2008年)までのもの。

映画を観た周囲の評判は、いまひとつという声もありましたが、自分にとってはあっという間の2時間で、初めて知ることも多いものでした。共同経営者である、ジェニー・メイレンスをはじめ、各スタッフの語りに聞き入ってしまいました。
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白衣やマスクなど、ブランドスタートのころから強い個性が発揮されています。劇場パンフレットより。
当初、フリーマーケットなどで資材を買い集めたり、マルジェラ初期の代表的なアイテムである、再構築した古着のデニムにペンキを塗った作品などは、壁に貼り付けて塗装していたり。とりわけ初期のものは、独創的なアイデアと手間のかかったものが多く、今見ても新鮮です。
 
またバクテリアを服に散布してその過程を公開するという、当時話題になった展示会は、実はマルジェラ自身はまったく関わっていなかったなど、そうだったの!?というエピソードも。コレクション発表を通じて、しだいにジャーナリストと上手くいかず、1997年以降、本人が全面に登場しなくなったため、逆にマルジェラのイメージが神格化されていったのかもしれません。

マルタン・マルジェラは他のブランドにはない圧倒的に明確なヴィジョンがあったため、決して華美な服ではありませんが、影響を受けているクリエイターも多いのでしょう。こうした当時の作り手が見えて、手持ちの初期作品を大切にしたいな、と思った次第です。

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