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2018.10.07

【試乗記】新型AUDI A7でさらに進化した先進技術を検証!

一見するとクーペのような4枚ドアのセダンとして注目されたA7スポーツバックがフルモデルチェンジした。流麗なボディラインはそのままに、先進技術を高品質にパッケージしたその魅力に迫る。

CREDIT :

文/小川フミオ

ヘッドランプの上下幅が狭くなるとともにシングルフレームグリルがワイド&ローのスタンスを強調する
ヘッドランプの上下幅が狭くなるとともにシングルフレームグリルがワイド&ローのスタンスを強調する

世界中のクルマメーカーに影響を与えたクルマA7

パーソナルセダンというのは、つねに魅力的な存在だ。スポーツカーではない。もう少し控えめで、でも内容的には運転が楽しめるクルマ。昔の映画「男と女」でフォード・マスタングを運転するジャン・ルイ・トランティニヤンに見られるカッコよさを、新車で追求してみたい。

そんな願いを叶えてくれそうなのが、さきごろ日本発売が開始された新型アウディA7スポーツバックだ。ファストバックというルーフの延長線上にハッチゲートがあり、ちょっとクーペ的な雰囲気のスタイルを特徴としている。
全長4970ミリのファストバックボディはキープコンセプトだがシャープな印象が強くなった
全長4970ミリのファストバックボディはキープコンセプトだがシャープな印象が強くなった
2010年に登場して世界中のメーカーに影響を与えたといわれる初代のスタイリングコンセプトを、今回の2代目も追求している。ドアは4枚あって実用的でありながら、キャビンはコンパクトに見えて、後席重視でなく、あくまでドライバーズカーという存在感が魅力的だ。

新型は、上下幅の薄いヘッドランプが目立つフロントマスクをはじめ、タイヤの存在感を強調した側面のキャラクターラインや、後ろからみても躍動感をおぼえるリアビューにいたるまで、いかにも走りそうにスタイリングがまとめられている。

日本に導入されるのは、アウディA7スポーツバック55 TFSIクワトロというモデルだ。3リッターのV6エンジンに、ウルトラクワトロという前輪駆動中心で燃費をかせぐ駆動システムが組み合わせられている。
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リアコンビネーションランプは左右がつながり(写真ではわからないけれど)流れるように光るターンインジケーターなど新しい機構も盛り込まれた
リアコンビネーションランプは左右がつながり(写真ではわからないけれど)流れるように光るターンインジケーターなど新しい機構も盛り込まれた

先進の後輪操舵システムがもたらす上質な乗り味は?

車名にある「55」は最近アウディが採用するグレード名だ。3リッターV6ガソリンエンジン搭載モデルなら、A8にもA6にもこのサブネームが与えられている。

「昨今は2リッターでも昔の3リッター超のエンジンと同等以上の馬力が出るので、排気量から離れたモデル名が重要と考えました」。かつて海外でのA7スポーツバックの試乗会に参加した際、開発者がそう教えてくれた。

パーソナルセダンというのは、速くなくてはつまらない。その点、アウディA7スポーツバック55 TFSIクワトロは十分にドライビングを楽しませてくれる。最高出力250kW(340ps)と最大トルク500Nmは全長4970ミリの車体でも十分すぎるパワーだ。
写真は「アウディA7スポーツバック55 TFSI S-line 1st Edition」(1160万円)のインテリア
写真は「アウディA7スポーツバック55 TFSI S-line 1st Edition」(1160万円)のインテリア
パワフルさは、発進時の出足のよさと、追い越しなど中間加速の瞬発力で十分に感じられる。最大トルクが1370rpmから発生するだけあってエンジン回転を上げなくても力強いし、いっぽう高速道路などでエンジンを回すと、それはそれでとても気持ちいい。

いまのアウディの高級ラインには「ダイナミック・オールホイールステアリング」と呼ばれる後輪操舵システムがオプションで用意されている。A7スポーツバック55 TFSIクワトロでも選べる。

運転を楽しむのが好きなひとには勧められるシステムだ。時速65キロでは後輪は前輪と逆位相(反対方向)に切れて小回りが効くようになる。そのため小さなカーブが連続する道でも小さなスポーツカーを運転しているような気になるほどだ。
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計器盤はTFT液晶が継続使用されナビゲーションの画面表示など使い勝手もよい
計器盤はTFT液晶が継続使用されナビゲーションの画面表示など使い勝手もよい
ステアリングホイールを切った時、車体が向きを変える反応速度は速く、ロールは上手に制御されているので不安定さは一切ない。右に左にとカーブを抜けていく感覚は楽しくて病みつきになりそうだ。自分で楽しむためのクルマなのだという思いを強くするのだ。

駐車場など狭い場所でもダイナミック・オールホイールステアリングの恩恵がある。小さな車体ではないが、驚くほどこのシステムは高速では前輪と同じ方向に後輪が動くため、ホイールベースが伸びたのと同じ効果が得られ、安定性が向上する。

アウディでは今回48ボルトのバッテリーを補助的に搭載した。これで上記のダイナミック・オールホイールステアリングを動作させている。サスペンションシステムの電子コントロールなどもこの高電圧バッテリーの恩恵を受けるそうだ。

加えて走行状態に応じてエンジンを停止させ燃費をかせぐ速度の範囲が広くなっている。再スタートの時のモーターを駆動するパワーが上がったためだ。これをアウディでは「マイルドハイブリッド」と呼ぶのである。
「アウディドライブセレクト」でだいぶ走行のキャラクターが変化する
「アウディドライブセレクト」でだいぶ走行のキャラクターが変化する
もうひとつ、A7スポーツバック55 TFSIクワトロの注目点は、コクピットだ。先代からTFT液晶を使ったデジタルメーターを使っていたが、新型は加えて2つの液晶画面が備わる。そこでインフォテイメントをはじめ各種操作が行えるのだ。

エアコン、ナビゲーション、オーディオなどの操作は画面にタッチする。スマート端末と似ているが、アウディでは軽くバイブレーションとともに音でも反応がある。運転中に見ないで操作する、いわゆるブラインドタッチのためだ。

最近の言葉ではこういう機能を「UX(ユーエックス=ユーザーエクスペリエンス)と呼ぶ。メルセデス・ベンツは音声による操作をいち早く実用化しており、アウディもその方向に行くことを明言してはいるが、いまのシステムも、たとえばナビゲーションの目的地をアイコン化して画面上に置いておくなど、別の使い勝手のよさがある。
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MMIタッチコントロールと呼ばれるタッチ式のコントロール画面ではナビゲーションの目的地がアイコン化できたり便利だ
MMIタッチコントロールと呼ばれるタッチ式のコントロール画面ではナビゲーションの目的地がアイコン化できたり便利だ
室内はデザインだけでなく作りがよい。利便性を考えたレイアウトを採用するとともに、表面はレザーとウッドとクロームでうまく覆っている。この面でもパーソナルセダンとして高得点だ。

先代の後期からリアシートはベンチタイプの3人がけが採用されている。個人的には当初のように中央にセンターコンソールのある完全な2人がけのほうがコンセプトには合っていると思うのだが、モデルチェンジしてもベンチシートが継続採用されたので、市場のニーズは実用性の高さなのだろう。

こういうクルマをさらりと乗りこなし、いざとなると速い。そういう男こそスタイリッシュ、自分のスタイルをもった男と呼べるような気がする。価格は標準モデルが1066万円だ。

導入にあたり、「debut package」(988万円)や、四輪操舵システムやダンピングコントロールサスペンションなどほぼフル装備の「1st Edition」(1055万円~)が用意されている。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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