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2018.08.12

新型クラウン&カローラに試乗! その走りにトヨタの本気を見た!?

いつかはクラウン。そんなキャッチフレーズで日本における高級車の代名詞として知られるトヨタのクラウン。フルモデルチェンジしたその最新モデルにはトヨタが考えるこれからの高級車のカタチがあった。

CREDIT :

文/小川フミオ

この車体色はクラウンに用意される「茜(あかね)」という特別色
この車体色はクラウンに用意される「茜(あかね)」という特別色
2018年にフルモデルチェンジを受けたクラウン。いかに“クラウン”から離れるか。それが新型の課題のように思う。

最初に書くと、新型クラウン、いいクルマです。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディといったいわゆるドイツ御三家経験者にも勧められる。

その理由は操縦性が高くなったこと。ドイツ御三家のトップクラスのようにV8やV12エンジンはないけれど、ハンドリングでは負けていない。

新型クラウンのパワープラントは3つ。3.5リッターV6ハイブリッドを頂点に、2.5リッター4気筒ハイブリッド、それに2リッターガソリンターボだ。

仕様は大きく2つに分かれる。標準モデル(後席重視のExecutiveもある)と、スポーティな脚まわりをもった「RS」だ。
ファストバックを思わせるリアビューが新しい
ファストバックを思わせるリアビューが新しい
新型クラウンで興味ぶかいことがある。トヨタ車の頂点といった表現がプレスリリースに見当たらないことだ。

で、実際はどうなのかというと、クラウンはクラウンにあらず。そう言いたくなる。つまり、以前のクラウンのイメージを払拭してかからないと、ユーザーとして損するかもしれない。
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サポートのしっかりしたスポーティなシートを備えている
サポートのしっかりしたスポーティなシートを備えている
今回のクラウンは、後輪駆動のトヨタ車として最もよく出来ている。レクサスを視野に入れても同クラスでほぼ同価格帯の「GS」は設計年次で分が悪く(すばらしいGS Fは別モノとして)、フルモデルチェンジを待たなくてはならないだろう。

基本的にはどのエンジンのクラウンに乗っても、しなやかな乗り心地と、スポーティとさえいえるハンドリングの妙を堪能できる。

応答性のいいステアリングと、じわっと効くブレーキと、反応が早い加速性能によって、ワインディングロードが楽しいのだ。

しかもガチガチにサスペンションを締め上げているのではなく、やや硬めくらいのRSモデルでも、高速では快適。ふところが深い全方位型の出来よさである。
クラウンの2リッターターボ「RS Advance」には「リニアソレノイド式AVS」を組み込んだサスペンションシステムなど専用のスポーツシャシーを備える
クラウンの2リッターターボ「RS Advance」には「リニアソレノイド式AVS」を組み込んだサスペンションシステムなど専用のスポーツシャシーを備える
個人的には3.5リッターV6ハイブリッドの「S」を選ぶかもしれない。理由はトルキーなエンジンにある。もうひとつの理由はノイズリダクションアルミホイールが標準装備されているからだ。

2018年後半に日本導入が予定されている新型レクサスESで経験したノイズリダクションアルミホイールの吸音効果はばつぐんだった。オプションにもあるので、これはお奨めしたい。

ややガッカリはセイフティベルトを引き出すリールだ。BMW5シリーズとか7シリーズが採用している超絶スムーズなリールを参考にしてほしい。引きだしが軽いだけでなく、わずかに慣性がつけられている。それが快感なのだ。
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コクピットと呼びたくなるような「RS Advance」の運転席
コクピットと呼びたくなるような「RS Advance」の運転席
そういうディテールに高級は潜んでいると思う。スーツやシャツなどと同じで、気持ちのよさこそ高級感につながるのである。

価格は2リッターターボが460万6200円から559万4400円。2.5リッターハイブリッドが497万8800円から579万9600円(4WDは21万6000円高)。3.5リッターハイブリッドは623万7000円から718万7400円。

新型クラウンの広告では「コネクティッドカー」という表現を見かける。車載通信機を標準搭載して、クルマの状況をモニタリングしているセンターとつながっているという意味だ。

オプションでは「T-CONNECT」といってオペレーターや、車載AIによるエージェントと会話形式でナビゲーションの目的地を検索や設定が行える。
「RS Advance」は6つのドライブモードを持ち、それぞれかなり明確にキャラクターが変わる
「RS Advance」は6つのドライブモードを持ち、それぞれかなり明確にキャラクターが変わる
同日に発表されたカローラの新型「カローラ・スポーツ」もコネクティッドカーであることが大々的に謳われているが、同時にシャシー性能が大幅に上がっているのが特徴だ。

なんでも「(基本シャシーを共用する)C-HRよりよいものを!」が至上命令だったとか。幸いSUVと違って重心高も低く出来、操縦性が向上に成功したようだ。

こちらは1.2リッター(スポーティなマニュアル変速機モデルの設定もある)と、1.8リッターハイブリッドの2本立て。

やはりドライブモードセレクターがついており、「スポーツ」を選ぶとかなり楽しい。そもそも欧州向けオーリスRSなどホットハッチとして出来がよかったのを思い出した。
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カローラ・スポーツのハイブリッド車は72kW(98ps)と142Nmの1797ccエンジンに163Nmのモーターを組み合わせている
カローラ・スポーツのハイブリッド車は72kW(98ps)と142Nmの1797ccエンジンに163Nmのモーターを組み合わせている
カローラ・スポーツの価格は、1.2リッターターボが213万8400円から241万9200円(4WDは19万4400円高)。1.8リッターハイブリッドは241万9200円から268万9200円(ハイブリッドは前輪駆動のみ)。

遅れて8月に1.2リッターにマニュアルトランスミッション仕様が追加される予定である。

トヨタ自動車、その気になればなんだって出来るのだ(おそらく)。今回はその本気の一端を見られた気がする。
カローラ・スポーツの1.8ハイブリッドに合わせるタイヤは16インチか15インチの組み合わせが望ましいと思った
カローラ・スポーツの1.8ハイブリッドに合わせるタイヤは16インチか15インチの組み合わせが望ましいと思った
コネクティッド機能は(レクサスオーナーなら先刻承知しているとおり)便利だが、若返ったというクラウン(とカローラ)の魅力の本質は、ここで述べてきたように走りにある。

「いまさらクラウン? なぜいまカローラ?」という逆ブランド化を克服するにはいろいろなやり方があるだろう。

なにはともあれ、SUVに対して乗り心地や扱いやすさは強みだし、なによりクルマを楽しみたいひとは、いちど試す価値があると思う。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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