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2021.09.18

VOL.03「電動車ってなんだ?」

メルセデス、アウディ、テスラetc……。輸入車続々のEV事情

クルマの電動化が、にわかに騒がしい。2030年代半ばには、日本でもすべての新車が「電動車」になるという指針が示された。しかし充電スタンド問題、内燃機関・自動車産業に携わるすべての人や物の問題などが山積みのままだ。そんなクルマの未来をモータージャーナリストの藤野太一がリポートする。

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文/藤野太一 構成/近藤高史(LEON)

欧州メーカーから続々と新型の電気自動車(BEV=バッテリー EV)が発表されている。今年から厳格化される最新の排ガス規制「CAFE(企業別平均燃費基準)」対策であり、また欧州委員会が2050年までにEU域内の温室効果ガス排出ゼロを目標として掲げる「欧州グリーンディール」政策がその動きを加速させているわけだが、こうした政治的な話はまたの機会に触れるとして、ここでは昨年から今年にかけて一気に増えた日本で買えるプレミアムブランドのBEVを紹介してみたいと思う。
▲ BMW i3
欧州のプレミアムブランドで、国内で初めて発売されたBEVは「BMW i3」だ。日本では小型エンジンを発電機として搭載しており、電欠の際に航続距離を延ばすことが可能な“レンジエクステンダー”というモデルに人気が集まっているが、実はピュアEVモデルも存在する。

i3は2014年の発売以来、2度ほどバッテリー容量を拡大するマイナーチェンジが実施されており、最新モデルでは一回の充電あたりの航続可能距離は360km(WLTCモード)にまで延びた。リサイクル材を用いたサステイナブルなインテリアや、カーボンモノコックによる軽量ボディ、そしてRR(リアモーター・リアドライブ)の駆動方式による、ポルシェ911を彷彿させるような乗り味など、愛嬌のあるスタイリングに、運転する楽しさがつまっている。
▲ BMW ix
▲ BMW i4
そんなBMWは、いま新型「iX」と「i4」のプレオーダーを開始している。「iX」は、i3のコンセプトを引き継ぐ大型SUV。上位モデルの航続可能距離は630kmに到達する。「i4」は4シリーズグランクーペをベースとしたモデルで、航続可能距離は590km。また今後、SUVのX3をベースとした「iX3」の導入も予定されている。
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▲ メルセデス EQS
一方、ライバルのメルセデス・ベンツは、2019年に同ブランド初となるBEV「EQC」を発売。これはSUVのGLCをベースとしたモデル。容量80kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電あたりの航続可能距離は400km(WLTCモード)。発売当初は1080万円だった価格が、装備等の見直しにより2021年4月より895万円へと引き下げられたのも朗報だ。
さらに同じタイミングで、BEV第2弾となる「EQA」を発売。コンパクトSUVのGLAをベースとしており、日本の道路環境でも使いやすいサイズということもあって人気を博している。66.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は422km(WLTCモード)を実現。
メルセデス・ベンツのBEVの特徴は、ガソリンエンジンモデルから乗り換えても違和感がないこと。アクセルペダルを踏み込んだ時、ステアリングを切り込んだ時の反応は、まさに“メルセデス”といえるもの。すでに本国では大型サルーンのBEV「EQS」が発表されており、来年には日本にも導入される予定だ。
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ジャーマン3の一角、アウディも電動化を積極的に推進している。今年6月に行われたベルリン気候カンファレンスでアウディAGのドゥスマンCEOが「2026年までに内燃エンジンモデルの新規開発を終了し、以降新規開発するのは電気自動車のみになる」という発言をし、話題を呼んだ。
▲ アウディ Q4 e-tron
アウディの量産EV第一弾は、2020年9月に国内販売が始まったクーペスタイルのSUV「e-tron
Sportback」、そして「e-tron SUV」がある。前者は95kWhのバッテリーを搭載し、航続可能距離は405km(WLTCモード)。後者にはバッテリー容量71kWh、満充電での走行距離は316km(WLTCモード)のモデルが設定された。バッテリーの小型化で約150kgの軽量化を図ることができ、ドライブフィールは後者のほうが優れる。
そして今年4月には第2弾EVとなる「e-tron GT quattro」を発表。これはポルシェ「タイカン」との姉妹車となる4ドアのスポーツモデル。ベースモデルに加えてハイパフォーマンスモデルの「RS e-tron GT」も設定。システム最大出力はベースが350kWで、RSモデルは440kW、バッテリー容量93kWhで航続距離(WLTCモード)は500km以上を実現するという。今秋からの導入が予定されている。
また今年4月には、第3弾EVとなるコンパクトSUVの「Q4 e-tron」「Q4 Sportback e-tron」を世界初公開しており、来年にも国内導入が予想される。
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▲ ジャガー I-PACE eTROPHY Championship
と、ドイツブランドが電動化を先導しているように思えるが、実は大容量バッテリーを搭載した1000万円超のEVを日本に初めて導入したのは、ジャガーだ。2018年に発表された「I-PACE」は、背の低いSUVといったスタイリングが特徴。バッテリー容量は90kWhで航続距離は438km(WLTCモード)。EV専用のプラットフォームだけあって、前後重量配分もよく、スポーツカーのF-TYPEを上回るハンドリングマシンだ。

欧州ではカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、またフォーミュラeの前座として、I-PACEのワンメイクレース「Jaguar I-PACE eTROPHY Championship」が実施されているほど。またジャガーは、2025年からEV専業メーカーになるという発表もしており、今後登場する新型モデルはすべてEVになることが予想される。
そして昨年、日本でも発表されたポルシェが手がける初のBEV「タイカン」。ポルシェの商品企画らしく、4輪駆動の「タイカンターボS」、「タイカンターボ」、「タイカン4S」、及び2輪駆動の「タイカン」と、バッテリー容量と最大出力などの違いによってモデルバリエーションを多く用意している。
▲ ポルシェ タイカン4クロスツーリスモとタイカン4Sクロスツーリスモ
また今年3月には、タイカンの派生モデルであるワゴンタイプの「タイカンクロスツーリスモ」が発表されており、国内でも受注が始まっている。こちらも「タイカンターボクロスツーリスモ」、「タイカン4Sクロスツーリスモ」、「タイカン4クロスツーリスモ」といったラインアップとなっている。またポルシェは今後、次期型マカンをBEVにすることをアナウンスしている。
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▲ テスラ モデル3
そして、日本のみならず世界のプレミアムEVマーケットを牽引してきたのは、アメリカのテスラモーターズだ。フラッグシップモデルの「モデルS」では最大出力1020PS、最高速度322km/h、0-100km/h加速2.1秒、航続距離637km(推定)と、とにかく圧倒的なパワーを誇る。

「モデルX」はとてもSUVとは思えないガルウイングドアを採用。エントリーモデルの「モデル3」では、大幅な値下げを実現し、航続距離448km(WLTPモード)の「スタンダードレンジプラス」モデルで444万円と、圧倒的な低価格を実現している。
急成長を遂げているテスラの2020年の年間販売台数は約50万台に到達。これは、例えばポルシェの年間販売台数が約27万台といえば、いかに驚異的であるかがわかるだろう。欧州の自動車専業メーカーもうかうかとはしていられないのだ。

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