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2018.04.13

デザイン、広告、写真まで、クルマにまつわる“美”のアワードをご存知ですか?

クルマのみならず、クルマのCFや出版物、ビデオなどクルマにまつわるさまざまな“美”を対象とするアワードが、フランスにはある。フェスティバル・オートモビル・アンテルナシオン」がそれだ。代表的なカテゴリーにおける2018年の受賞作とともに、その全貌を紹介する。

CREDIT :

文/小川フミオ ©FESTIVAL AUTOMOBILE INTERNATIONAL

クルマにまつわるさまざまな“美”を対象とするアワード「フェスティバル・オートモビル・アンテルナシオナル」。2018年で第33回を迎えた
クルマにまつわるさまざまな“美”を対象とするアワード「フェスティバル・オートモビル・アンテルナシオナル」。2018年で第33回を迎えた

レースがあるのと同様、コンコース・デレガンスがある

クルマの最大の楽しみはドライブかもしれないが、語るのも見るのも、同じぐらい楽しいものだ。

その証拠に世界にはレースやラリーがあるのと同様、自動車ショーがあり、そしてコンコース・デレガンスがある。

5月にイタリアはコモ湖で開かれる「ビラ・デステ・コンコース・デレガンス(コンコルソ・デレガンツァ)」と、8月に米西海岸のモントレー半島において開催される「ペブルビーチ・コンコース・デレガンス」は、世界のコンコース・デレガンスのなかでもその歴史と規模と、集まる車両のクオリティの高さで知られる。

またこれらのショーは基本的にレアなクラシックカーが主体となるため、入場者も制限され、クローズドの印象が強い。自然、そこには純粋なクルマ愛好家やそれを実際に購入できるような富裕層が集まる。

そういう点から見ればコンセプトカーなど、各メーカーとして自分たちの今後をアピールする場所として、ビラデステやペブルビーチは最適なプレゼンテーションの場とも言えるだろう。

とはいえ、昨今では自動車そのものの表現が複雑化していることも相まって、ショーと言ってもひと括りにはできなくなってきている。例えばインフォテイメントシステムや運転支援システムなどの最先端技術をアピールする場として考えれば、米ラスベガスの「CES(コンシューマー・エレクトロニックショー)」がポピュラーな存在になりつつある。
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純粋にスタイルだけでウィナーを決めるのが特徴

自動車はそれが誕生し間もない頃から、エクステリア・インテリアの美しさを求められるようになり、それらはあらゆる表現方法を通じて世に伝えられてきた。結果、それは同時に総合的な文化を作る役割も担ってきた。

事実、クルマのまわりにはそれを表現するための美しい写真、美しい映像、美しい広告、美しい雑誌が存在する。

フランスの「フェスティバル・オートモビル・アンテルナシオナル(国際自動車フェスティバル)」はそれらの美しさを評価するアワードである。

特徴は前年発表された量産車やコンセプトカーを対象に、著名な建築家やファッションデザイナーなどの審査員が投票すること。審査員は17名で委員長は建築家のジャン=ミシェル・ヴィルモット、副委員長はファッション(ランジェリー)デザイナーのシャンタル・トマスだ。

選考基準は、美しさやデザインにおける創造性、新しいトレンドを最も体現しているかどうか、などである。最終的に年初にグランプリが決まる。

初回は1986年。当初は雪と氷の上でのレース「24 Hours on Ice in Chamonix」(シャモニクスでの24時間レース)の一環で始まったも。1987年には「世界で最も美しいクルマ」を選ぶコンテストへと発展。純粋にスタイルだけでウィナーを決めるのが特徴である。

2001年には名称に“国際”を付け加え、一般の認知が上がっていく。2006年に舞台をパリに移し、現在はオテル・デ・ザンバリッドを舞台に毎年冬に開催されるようになった。
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「もっとも美しいコンセプトカー」に選ばれたマツダ「コンセプトビジョンクーペ」。東京モーターショー2017でワールドプレミアされた
「もっとも美しいコンセプトカー」に選ばれたマツダ「コンセプトビジョンクーペ」。東京モーターショー2017でワールドプレミアされた

2018年の「もっとも美しいコンセプトカー」はマツダ「コンセプトビジョンクーペ」

カテゴリーもユニークだ。「もっとも美しいコンセプトカー」「未来的シティカー」「もっとも美しいスーパーカー」……。

さらに「もっとも美しいクルマの本」「もっとも美しいクルマの写真」「もっとも美しいインテリア(車内)」「もっとも美しいCF」などと続く。

グランプリは全部で12、そしてパルムドール(グランプリ)も設定されている。

2018年の第33回における「もっとも美しいコンセプトカー」は、マツダ「コンセプトビジョンクーペ」が受賞。未来的で、非商業的なスタディであることなどが評価基準だ。

「日本の繊細な美意識を反映したこのクルマが、RX-VISIONに続き芸術の都パリで認められ大変光栄に思います」マツダのデザイン・ブランドスタイルを担当する前田育男常務執行役員は上記のコメントを出している。
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「未来的シティカー」部門は「Pop. Up」が受賞

「未来的シティカー」はイタルデザインがエアバスなどの協力の下、コンセプト開発をした「Pop. Up」。走行モジュールと飛行モジュールからなる3次元移動のコンセプトカーだ。

2018年3月のジュネーブ自動車ショーでは「Pop.Up Next」に進化しており、イタルデザインはこのコンセプトを継続的に開発している。

「Pop.Upは私たちが深く可能性を信じて開発しているプロジェクトなので、大変嬉しく思います」。イタルデザインのデザイン部門を率いるフィリッポ・ペリーニの談話である。

「もっとも美しいインテリア」は「DS7クロスバック」

「もっとも美しいスーパーカー」はマクラーレン「720S」が受賞。「この受賞でデザインチームの士気が上がりました」。マクラーレン・オートモーティブ・ヨーロッパのマネージングディレクター、デイビッド・ギルバートは語った。


「もっとも美しいクルマの本」は「Voitures Rares」(希少なクルマ)という写真集。著者のセルジュ・ベルは編集者であり書き手であり、仏クラシックカー界の重鎮でもある。

「もっとも美しいクルマの写真」は自動車の写真を撮ってきたエリック・ヴァリュジョリュによる「Le Nord Schleife」。ニュルブルクリングのノルトシュライフェ、オールドコースとも呼ばれる北コースをマセラティ6C(のように見える)で走っている様子をとらえた写真が受賞した。
「もっとも美しいインテリア」部門を受賞した「DS7クロスバック」
「もっとも美しいインテリア」部門を受賞した「DS7クロスバック」
「もっとも美しいインテリア(車内)」はDS7クロスバックに与えられた。12インチのモニタースクリーンを2つ備えるなど現代的なハイテクに対応。いっぽうでパールステッチや時計のベルトを思わせるシート用レザーの表面加工などクラフツマンシップの雰囲気を強調している。

というわけで、基本的にフランスのクルマとクルマ文化が受賞の対象だったが(マツダはがんばった!)クルマの美を広い視野でとらえた賞は日本にもあっていいだろう。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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