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2017.11.28

そのルックスはまるで肉食獣。アストンマーティンの新型「ヴァンテージ」がデビュー

英国の名門スポーツカーメーカー、アストンマーティンの中核モデルである「ヴァンテージ」がフルモデルチェンジし、11月21日に世界6カ国で同時公開されました。日本での販売価格は1,980万円で、2018年の第2四半期(7月~9月)からデリバリーを開始する予定です。英国のサラブレッドの偉大な血統を示す名称である新型ヴァンテージの詳細を、デザイン、エンジニアリング/パワートレイン、パフォーマンス/ドライビング・ダイナミクス、歴史という視点から観てみましょう。

CREDIT :

文/原 アキラ

アストンマーティン ヴァンテージ
エクステリアデザインは、アストンマーティンのサーキット専用車である「ヴァルカン」から着想を得た

肉食獣を思わせる精悍なデザイン

新型ヴァンテージのエクステリアは、アストンマーティンのサーキット専用車である「ヴァルカン」から着想を得ました。まるで肉食獣を連想させる精悍な風貌とアスリートのような力強い造形で、そのデザインはパフォーマンスと直接的にリンクし、ボディ表面はエアロダイナミクス機能を最重視して設計されました。

まず、ボディと一体化したフロントスプリッターは、短いフロントオーバーハングとシームレスにつながり、車体下面のエアフローをコントロールする機能を持っています。アストンマーティンの特徴であるサイド・ジル(エラ状のくぼみ)は、ボディサイドパネルと一体化したデザインとなり、フロントホイールアーチ内の空気圧上昇を防ぐとともに、ボディサイド側に沿って空気がスムーズに流れるように設計しています。
スリムなLEDによる個性的なデザインが印象的なヴァンテージのリアビュー
スリムなLEDによる個性的なデザインが印象的なヴァンテージのリアビュー
また、最後端が跳ね上がったリアデッキリッドは、ボディ上部を流れるエアを利用して、生産モデルとしてはかつてないほど高いダウンフォースを発生させることに成功しています。

そして、新しいヘッドライトとテールライトはスリムなLEDによる新しいライトシグネチャーとなり、ヴァンテージらしい存在感と力強い個性を主張しています。
レーシーかつラグジュアリーな雰囲気のインテリア
レーシーかつラグジュアリーな雰囲気のインテリア
このデザイン手法はインテリアにも反映され、これまでのアストンマーティンの特徴であった流れるようなラインと斜めに傾斜した中央の大きなコンソールではなく、ダイナミックかつコンパクトで凝縮感のあるスポーツカーらしいコンソールになりました。

具体的には、3角形を構成するように配置したトランスミッションのP、R、N、Dボタンなどスイッチやコントロール類を集めたエリアで、一定のエリアに主要な操作装置を集約することで、ドライバーが運転に集中しやすい環境を生み出しています。
トランスミッションのP、R、N、Dボタンは3角形を構成するように配置される
トランスミッションのP、R、N、Dボタンは3角形を構成するように配置される
また高めに設定したウエストランと10mm低いシートポジションにより、高い居住性と運転に集中できるコックピットになり、パドルシフトや、空調のロータリースイッチ、トグルスイッチなどにより、直感的で迅速な操作が可能になっています。

2シーターのシートはスポーツとスポーツプラスの2タイプがあり、表面素材にはアルカンターラとレザーを使用。その背後には2段の収納スペースを設けるとともに、テールゲート下には350リッターの実用的トランクスペースも確保しています。
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最高出力510ps、最大トルク685Nmを発生するAMG製V8ツインターボユニット
最高出力510ps、最大トルク685Nmを発生するAMG製V8ツインターボユニット 

心臓部はAMG製4.0リッター V8ツインターボエンジン

新型ヴァンテージの心臓部は、パートナーシップ関係にあるメルセデスAMG製の4.0リッター V8ツインターボエンジンを搭載しています。最高出力510ps、最大トルク685Nmを発生するこのエンジンは、ボンネット内の低い位置に搭載するために、スリムなウェットサンプ式のオイル供給システムを採用しています。先代モデルの自然吸気V8からツインターボV8に進化することで危惧されたエンジンサウンド面は、開発担当のエンジニアが吸排気の徹底的チューニングを行うことで、アストンマーティンのスポーツカーにふさわしいアイコニックなサウンドクオリティとなりました。
典型的なロングノーズショートデッキのフォルムが美しい
典型的なロングノーズショートデッキのフォルムが美しい
後輪を駆動するトランスミッションはZF製の8段ATで、ギアボックスに専用開発したソフトウェアを採用することで、ドライバーの要求と車の運転状況を把握して常に正しいギアを選択するとともに、デュアルクラッチギアボックスを超えるシフトクオリティと使いやすさを実現しました。
全長4,465mm×全幅1,942mm×全高1,273mmのボディはポルシェ911より短い
全長4,465mm×全幅1,942mm×全高1,273mmのボディはポルシェ911より短い
ボディサイズは、全長4,465mm×全幅1,942mm×全高1,273mmで、全長はDB11よりも284mm小さく、ポルシェ911と比べても34mm短いコンパクトなものとなっています。ボディの骨格を構成しているのは、ボンド接着を多用したアルミニウム製アンダーフレームと、それに剛着したリアのサブフレームで、乾燥重量を1,530kgに収めるとともに俊敏な動きを示すクルマになりました。
アストンマーティンのモデルとして初となるエレクトリック・ディファレンシャル(Eデフ)を搭載
アストンマーティンのモデルとして初となるエレクトリック・ディファレンシャル(Eデフ)を搭載
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最高速度314km/h、0-100km/h加速3.6秒の圧倒的なパフォーマンス

新型ヴァンテージには、アストンマーティンのモデルとして初めてとなるエレクトリック・ディファレンシャル(Eデフ)を搭載しています。電子制御のこのデフは、車載のエレクトリックスタビリティ・コントロールシステムと連携しており、エンジンパワーが必要なホイールに適切に配分されるよう制御します。

その結果クルマの能力が大幅に高まり、直進時でもカーブでもドライバーは自信を持ってヴァンテージのポテンシャルを引き出すことができるようになりました。そのパフォーマンスは最高速度314km/h、0-100km/h加速3.6秒という圧倒的なものです。
Eデフがエレクトリックスタビリティ・コントロールシステムと連携し、エンジンパワーが必要なホイールに適切に配分されるよう制御する
Eデフがエレクトリックスタビリティ・コントロールシステムと連携し、エンジンパワーが必要なホイールに適切に配分されるよう制御する
さらに、Sport、Sport Plus、Trackの3つの走行モードが選択できる最新世代のアダプティブ・ダンピングシステムを採用し、エンジン、トランスミッション、Eデフ、ダイナミック・トルクベクタリング、ダイナミック・スタビリティコントロール、アダプティブ・ダンピング、電動パワーステアリングなどの働きを一括で最適化するほか、モードを上げるごとに俊敏性と反応速度が高まり、クルマのキャラクターがシャープになってサウンドも迫力あるものへと変化します。

鋳造と鍛造の2種類ある20インチホイールには、ウェット/ドライ両方の条件下でダイナミックな走行ができるよう特別なチューンが施されたピレリP zero(F255/40、R295/35)を装着しています。
タイヤはピレリP zero(F255/40、R295/35)を装着
タイヤはピレリP zero(F255/40、R295/35)を装着
製作には、アストンマーティンならではのハイレベルのクラフツマンシップが投入され、さらに豊富に用意されたオプションアイテムにより、幅広いユーザーの要求に応えることも可能になっています。ドライバーとの一体感を実現するこのニューモデルは、ワインディングローデでは走りを満喫し、サーキットでは鋭い牙を剥く本格的スポーツカーになるのです。
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アストンマーティンのモデルの中でも、特にサーキットが似合う
アストンマーティンのモデルの中でも、特にサーキットが似合う

名門スポーツカーブランドの伝統を受け継ぐ「ヴァンテージ」

ヴァンテージの名称が最初に使われたのは1951年で、そこから70年という偉大なスポーツカーの歴史が始まりました。それは、当時のDB2に高性能エンジン(標準モデルの105bphに対し、Vantageエンジンは125bphを発生)を搭載したもので、特別な仕様を求める一部の人たちにアピールするためのモデルでした。

次にヴァンテージの名前が使われたのが62年のDB4で、高性能エンジンと専用のスタイリングに変更されていました。これを手始めに、DB5、DB6、DBSの各モデルにヴァンテージのバッジを付けた高性能バージョンを設定。77年にはウイリアム・タウンズがデザインしたV8ヴァンテージが、アストンマーティンの性能面におけるフラッグシップカーとして登場しています。
最後端が跳ね上がったリアデッキリッドにより高いダウンフォースを発生
最後端が跳ね上がったリアデッキリッドにより高いダウンフォースを発生
次のV8ヴァンテージは、2基のスーパーチャージャーにより後期型で600bphまで増強され、最終型のV600 Le Mansは、ニューポート・パグネルの旧本社工場で生産したヴァンテージの中でも最も稀少なコレクターズアイテムとなっているそうです。その後2000年に登場したDB7ヴァンテージは、アストンマーティンが開発した6.0L V12を搭載し、フェラーリの真のライバルとなりました。

本社をケイドンに移してからの最初のヴェンテージは、05年に登場。アストンマーティン史上最高の累計25,000台を販売し、09年にはV12ヴァンテージを導入して世界中のエンスージアストたちを熱狂させました。そして今回の新型ヴァンテージです。
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ヴァンテージの名はアストンマーティンのスペシャルなモデルに与えられてきた
アストンマーティンのアンディ・パーマー社長兼CEOは、「最も成功した先代の後継モデルを製作することは、精神的にも大きなチャレンジであり、高いモチベーションが要求されました。今回、完成したクルマを前にして、非常にエキサイティングな気分です。よりシャープなルックスと俊敏な運動性能を備えた本物のスポーツカー、新型ヴァンテージは、まさにエンスージアストが待ち望んでいたアストンマーティンのピュアなドライビングマシンといえるでしょう」と語っています。

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