
アルファロメオ創業105年の節目の年となる2015年に発表され、このたび日本でもローンチされた新型ジュリアは、まさに初代の系譜を継ぐDセグメントのスポーツサルーン。4ドアサルーンとしては1990-2000年代にラインナップされていた「156」や「159」の後継モデルでもあります。
このように伝統の名前を復活させたことからも、アルファロメオのこの新型ジュリアに対する意気込みが感じられます。アルファロメオでは同車について「新時代の序開きを象徴するフラッグシップモデルとして重要な役割を担う」としています。

ちなみに、昨今のアルファロメオは、ミドシップスポーツカーである「4C」をのぞくと、スペース効率に優れるFF(前輪駆動)のハッチバック車しかラインナップしていません。一方、たとえばメルセデスやBMWといったプレミアムブランドでは、下位モデルにはFFを採用しているものの、上位モデルやスポーツカーではより自然なハンドリングや上質なドライビングフィールが実現できるFRレイアウトが主流です。そのことからも、新型ジュリエッタがアルファロメオにとっていかに特別な存在かがうかがい知れるでしょう。

よりスポーティなグレードである「ジュリア ベローチェ」は、同排気量ながら、最高出力280ps/5,250rpm、最大トルク400Nm/2,250rpmへと強化されたハイパワー版となります。このモデルには、シリーズ中唯一となる4輪駆動システムが採用されているのも特徴です。ちなみに“ベローチェ”とはイタリア語で“速い”を意味する言葉で、歴代のアルファロメオのスポーティなモデルに与えられてきました。
もっとも注目すべきは、最上位グレードである「ジュリア クアドリフォリオ」に与えられる2.9リッターV型6気筒インタークーラー付ターボでしょう。もとを正せば、フェラーリがマセラティ・ギブリ用に開発した同ユニットは、最高出力510ps/6,500rpm、最大トルク600Nm/2,250rpmと圧倒的なパワーを誇り、0-100km/h加速3.9秒、最高速度307km/hと、スーパーカー並みのパフォーマンスを実現しています。2016年にはドイツ・ニュルブルクリンク北コースで当時の4ドアサルーン世界最速のラップタイムとなる、7分32秒の記録を樹立しました。その一方で、電子制御の気筒休止システムを備えるなど、昨今のハイパフォーマンスユニットらしく環境適合性にも配慮が払われています。

ちなみに、エンジンフード、フロントサイドフェンダー、ドアアウターパネルには軽量なアルミニウムを採用。また「ジュリア クアドロフォリオ」ではエンジンフードとルーフパネルをカーボンとすることで、軽量化と旋回時のヨー慣性モーメントの低減を実現しています。さらに「ジュリア
クアドロフォリオ」では、フロント/リアバンパー、サイドフェンダー、サイドスポイラーを専用デザインとし、カーボン製リアスポイラーを搭載することで、レーシング領域においても優れた安定性を発揮するそうです。

安全装備では、歩行者検知機能付の全面衝突警報(FCW)、自動緊急ブレーキ(AEB)などの先進予防安全機能が全車に標準装備されます。さらに「ジュリア スーパー」以上のグレードには、高速走行時などにドライバーの安全運転を支援するアダプティブクルーズコントロールや、ブランドスポットモニター(BSM)も搭載されるなど、昨今の自動車のトレンドに則った最新の運転支援システムが与えられています。
価格は、「ジュリア」が446万円、「ジュリアースーパー」が543万円、「ジュリア ベローチェ」が597万円、そして「ジュリア クアドリフォリオ」が1132万円となります。価格帯やボディサイズを鑑みると、メルセデス・ベンツCクラス、BMW 3シリーズ、アウディ A4、そしてレクサス ISといったDセグメントの4ドアサルーンが競合となります。これまでドイツ車と国産車しか存在しなかった同クラスに、強烈な個性を放つイタリア車が参入したのは、クルマ好きにとっては非常に嬉しい知らせと言えるでしょう。