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2017.09.10

日本のセダンは負けていない。そう確信させてくれるのが「トヨタ・カムリ」だ

7月に発表された新型カムリは、遊びを知り尽くしたオトナのオトコが落ち着く先にある、最高のセダンへと進化を遂げていた。

文/小川フミオ
トヨタ自動車が2017年7月10日に発表した新型カムリ。日本車業界では苦戦を強いられているというセダンだが、このクルマに乗れば考えが変わるかもしれない。

フルモデルチェンジを遂げたカムリは“いいクルマ”になった

トヨタ カムリ
カムリは前輪駆動で価格は329万4000円からとなる。
「トヨタ・カムリ」がフルモデルチェンジを受けた。オーソドックスなスタイルのセダンという基本は変わらないが、それは見た目のはなし。乗ればびっくりするぐらいいいクルマなのだ。
 
カムリは北米で38万台、中国で10万台、サウジアラビアやUAEを含むGCC(湾岸協力理事会)で5万台を記録(すべて2016年に実績)。トヨタでは「グローバルミッドサイズセダン」と名づけている。
 
今回の新型カムリは2017年初頭に北米仕様としてベールを脱いだ。最大の特長は、一見すると少し難解な、TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)なる最新のクルマづくりが採用されたことだ。
トヨタ カムリ
エンジンの最高出力は131kW (178ps)、最大トルクは221Nm、電気モーターの最大トルクは202Nmと大きい。
もうすこしわかりやすく書くと、端的にいいクルマになった。それが新型カムリの最大の特長だ。TNGAで作られたクルマはほかに、現行型プリウスと、SUVのC-HRがある。C-HRも走りがしっかりしていて印象的だったが、カムリはさらに上をいっている印象だ。
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女性も喜ぶ極上の乗り心地を実現した新型カムリ

日本ではミニバンやSUVが出てきた時点でセダン離れといわれる現象が起きた。バブル期は「ハイソカー」などと言われトヨタ・マークⅡが若者にも大きな人気を博したが、流れは変わってしまった感があった。
 
しかし新型カムリに乗ると誰でも“セダンっていいじゃない”と思うはず。落ち着いた走りと、剛性感の高いボディ、それに余裕あるサイズの室内は女子ウケもいいだろう。
トヨタ カムリ 室内
後席は広いうえに着座位置が極端に低くなく乗り降りも楽なのがいい。
2.5リッター4気筒ガソリンエンジンに、リチウムイオン電池を使った電気モーターを組み合わせたハイブリッド。それが新型カムリのパワートレインだ。
 
乗るとかなりスムーズ。電気モーターで音もなく走るし、負荷が増えると(ある程度速度が上がると)エンジンが始動する。トヨタのハイブリッドの流儀として2つのパワートレインの移行はきわめて静か。音もなく行われる。
 
モーターの恩恵もあり低回転域でのトルク感はたっぷり。まったく車体の重さを感じさせず、かつ新設計のサスペンションを得たことで、乗り心地はとてもしなやかだ。
 
ニッケル水素に対してより軽量のリチウムイオン電池を採用したこともあるだろう。飛ばしても重い電池にサスペンションが負けて、いわゆる底つき感が出るようなこともなく、きわめてソフトな乗り心地だ。
トヨタ カムリ
エンジンの最高出力は131kW (178ps)、最大トルクは221Nm、電気モーターの最大トルクは202Nmと大きい。
ドライブモードをノーマルにすると、ややふんわりしすぎ?と思うぐらいの、ソフトな乗り心地で同乗者にはとてもやさしい。女性は絶対に喜んでくれる極上な感覚だ。
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必然的に「運転がうまい人」だと思われる仕掛けがある

もうひとつ新型カムリで感心するのはステアリングホイールを切ったときだ。
 
新型カムリの特徴としてトヨタ自動車の開発車は「意のままの走り」を挙げている。実際にステアリングホイールを切ったときの車体の反応のよさには驚く。
 
ドライバーはコーナーに入るとき、だいたい曲がり方をイメージすることが多い。速度との関係もあるけれど“この大きさのコーナーだったらあっという間に抜けたい”とか“このコーナーは横Gを強く出さずにきれいに曲がりたい”とか。
トヨタ カムリ カラーヘッドアップディスプレイ
カラーヘッドアップディスプレイも用意されている。
はっきり書くと、カムリならどんなイメージもそのまま現実のものとしてくれる。コーナーの大きさをだいたい見極めてステアリングホイールを切り込むと、それから切り増しも切り戻しもなく、すっと曲がれるのだ。
 
サスペンションシステムが車体のロールを制御したりブレーキへの介入が上手に行われるせいだろう。え?と驚くほどカムリではコーナーが実に気持ちよく曲がれる。この感覚は一度体験するべきだろう。
 
さきに触れたように車体のロールも制御されているため、乗員のからだが振られて不愉快な思いをすることもない。つまり、カムリなら助手席の女性に“運転がうまい”と思われるということだ。
 
コーナーが連続する道ではドライブモードでスポーツを選ぶとよりしゃっきりしたかんじになる。ドライブモード切り換えスイッチなどついていてもいなくても同じようなクルマもあるけれど、カムリはきちんと2つの異なるキャラクターを楽しめるだろう。
トヨタ カムリ シフトノブ
助手席側にはソフトパッドの使用領域を増やすなどやさしい印象のある室内。
新型カムリのフロントマスクはやや個性的かもしれないけれど側面はエレガントだ。リアクォーターピラーが後輪の上に位置している“美の法則”が守られていることに加え、トランクルームのところに適度な厚みをもたせてフロントからクサビ形を作ることで躍動感もある。
 
街中でふと見かけたときに“きれいだな”と思わせるスタイリングだ。言い換えれば趣味のよいプロダクトなのだ。プレミアムセダンのマーケットでは、メルセデス・ベンツやBMWが大御所だけれど、カムリでトヨタは新しいポジションを築いたとさえいえる。
 
ファッションがカジュアル化しつつあっても、やっぱりスーツを着ると身も心もひきしまる。そんな人に、セダンはいいと思う。遊びや趣味は人生でもっとも大事なもののひとつだけれど、フォーマルは生きていくひとつの指針になるものだ。セダンというのはそういう生き方にぴったり合う乗りものである。女性たちもそれにはきっと同意するのではないだろうか。

●小川フミオ

ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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