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2017.08.23

LEDは、カーデザインをどう進化させたのか?

LEDがもたらしたクルマの革新は、安全面だけでなくクルマの“楽しさ”さえ大きく変えるものでした。

CREDIT :

文/小川フミオ

近年のクルマ事情を大きく進化させた、LED。乗り物としての安全性は向上し、さらには演出空間としてもよりロマンティックで楽しいものへと進化を遂げています。より多くのシーンに寄り添う相棒になりつつあるクルマの今を、自動車ジャーナリストの小川フミオ氏が解説します。

デザインや安全性などクルマを一新させたLED

最近のクルマ事情における大きな進化に、安全技術があります。クルマが自動で追突や衝突を回避してくれるのが代表的ですが、そのなかにはヘッドランプの進化も含まれるのです。
それは、電気を流すと光を発する発光ダイオード、いわゆるLEDを使っていることが大きな要因ですが、新型車のヘッドランプはとかく明るい。そのことを特に印象づけたのは、昼夜問わずに走り続けるル・マン24時間レースのアウディであり、2011年にレーシングカーとして世界で初めてLEDを採用。時速300㎞/hを超える夜間走行で見事にその効果を実証し、24時間をトップタイムで走りきって優勝したのは印象的な出来事でした。
Audi A8 LEDヘッドライト アウディ・マトリクス
LEDヘッドランプの先駆け的存在
アウディの旗艦モデルA8のLEDランプは、ハイとローの自動切り替えが魅力。1129万円/アウディ(アウディ コミュニケーションセンター)
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その技術を元にアウディ A8は、「アウディ・マトリクスLEDヘッドライト」という、ハイビームでの走行中に対向車や歩行者を自動的に検知すると、その部分だけロービームに切り替わり、対向して来る人に眩しさを感じさせず、先方の安全確認はハイビームのまま行える技術を採用しているのです。
と、少々ジャーナルな角度から今日のクルマの進化を語りましたが、LEDテクノロジーの普及がもたらした影響は安全面だけではありません。
例えば、商業施設の駐車場や、ホテルのバレーパーキングなどで自分のクルマが見当たらないとき、LEDで効果的に彩られたヘッドランプなら、すぐにそれが自身のクルマとわかりますよね。その瞬間クルマが乗員を迎えてくれる気にすらなり、まるでボディガードのように頼もしく感じませんか。
レンジローバー SUV
英国を代表する高級SUVも随所に夜の演出が
ドアミラーに埋め込まれたウェルカムライトや後部座席の間接照明が夜を演出します。1377万円〜/レンジローバー(ランドローバー コール)
また、近頃の高級車では、クルマに乗り込むために解錠すると、足元の路面にそのクルマのシンボルマークやアイコンが地面に照射されるギミックも多く採用されるようになりました。ドアミラーに組み込まれたプロジェクターを使ったメーカーの茶目っ気だけれど、「そこまでやる価値のあるブランドのクルマに乗っているのネ」という印象も、勘のいいパッセンジャーなら感じてもらえるはずです。また、メルセデス・ベンツの新型Sクラスなどはアンビエントライトを全64色から選べたりもします。
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レンジローバー
英国車ならではのおもてなしは乗り込む際に
レンジローバー スポーツは、ドアミラーから地面へ足元を照射するウェルカムライトを装備。860万円〜/レンジローバー(ランドローバー コール)
駐車場でのLEDによる出迎えやプロジェクターと続きましたが、LEDによる演出が特に際立つのが夜の室内です。
暗い車内の各所は、いまやアンビエントライトで演出が施されるのがトレンドに。これも快いもてなしのひとつですよね。座るべきシートをスポットライトが照らしてくれたり、ドアの内張りやダッシュボードのカーブなど、メーカーやデザイナーが印象づけたい美しいラインを光ファイバーで強調し、印象づける工夫もされています。
夜間は外部の景色が見えにくくなり、視覚情報が限られるぶん、人は音や感触や香りに敏感になるもの。そこにさらに幻想的な光と色を効果的に取り入れれば、映画顔負けの演出になるということなのですね。
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メルセデス・ベンツ Sクラス・クーペ アビエントライト
光を使いこなすのが最新の高級車の達人
メルセデス・ベンツSクラス・クーペのアンビエントライトは7色が選べるうえ照度調節可能。1477万円/メルセデス・ベンツ(メルセデスコール)

最上級のクルマはおもてなしも最上級

最上の夜のもてなしに力をそそいでいるのがやはりキング・オブ・ショーファーズ・カーであるロールス・ロイス。
そもそもドアからして、通常のクルマとは逆の前開きを守り続けていることでもその姿勢は明白です。これはパーティー会場などで、女性の美しいドレスや、輝く宝飾品を身につけた姿を、ドアが開いた途端にギャラリーに見せることができる演出として採用されています。これが非日常感をより強める2ドアクーペのレイスなら強烈です。
ロールス・ロイス 天井 プラネタリウム
ロールス・ロイスの天井を彩るプラネタリウムのような演出
レイスはオプションでスターライト・ヘッドライナーが選べるのがウリ。3330万円/ロールス・ロイス(ロールス・ロイス モーター・カーズ東京)
で、それを決定づけるのが天井の仕掛け。スターライト・ヘッドライナーというオプションは、約1340本の光ファイバーで頭上に星空を表現してくれ、工場ではどんな空でも作れるとか。例えば彼女の生年月日と時刻に合わせた星座とか、占星術でいうところの天球図をオーダーすることも可能です。
「星による運命がふたりをこの天井の下に導いたんだね」という言葉は、夜だからこそ、ロマンティックに響くはず。時計にムーンフェイズがあるように、クルマも星や月の運行ともっと関係づけられたら、より素敵な気がします。夜は恋するドライバーの想像力をかきたててくれるのですね。

● 小川フミオ

ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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