「二律双生」をテーマにしたインスタレーションの全貌
世界的なデザインのお祭り。それは毎年4月にイタリアで開催されるミラノ・デザインウィークだ。なかでもレクサスはそれを大いに盛り立ててくれている。

ミラノ・デザインウィークはもともとは家具の見本市が原点。いまはミラノ市街地まで含めた大きな規模に成長している。そこに貢献しているのがレクサスだ。
4月4日(火)から9日(日)にかけて開催された2017年度は、ミラノの中心部にあるトリエンナーレ・モダンアート美術館の一部を大胆に改装してしまった。

高さ6メートルの天井高を利して、ギリシアの神殿のように立っている様子が観る者を圧倒した。

たとえば「自然」と「テクノロジー」。この作品は「エンシェント・イエット・モダン」(古典的でありながら最先端)と解釈されている。
「ガラスは6000年の歴史を持ち、それでいて(yet)表現としては新しいものです」。オックスマン氏はそう語った。
米MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラブ(ラボ)で准教授を努めるオックスマン氏は、ザ・メディテイテッド・マターグループなるクラフツマンや技術者からなる創作集団による創作だ。

ガラスは細いチューブ状にしてそれを有機的なパターンに巻いてブロックを作る。それを15個積み重ねて1本の柱に。中をLEDランプが自動で上下し、光で幻想的な波紋を投げかける。
ミラノ・デザインウィークに自動車メーカーが出展する、その理由
トリエンナーレ・モダンアート美術館の会場には垂れ幕を使い、光を思わせるパターンのプロジェクションもあった。

毎回ゆたかなイメージをふくらませて、わたしたちを驚かせてくれるレクサス。最初に参加した2005年は石上純也氏、千住博氏、妹島和世氏のインタレーションだった。
「当時ほかの自動車メーカーはこのイベントに見向きもしていませんでした。でもこういう活動こそライフスタイルブランドをめざすレクサスにとって重要だと思い続けてきたのです」。
会場で話を聞いたレクサスインターナショナルの澤良宏プレジデントはそう語ってくれた。

さらにもうひとつ、「レクサス・デザインアワード」グランプリ発表もニュース。次世代クリエイターを育成・支援するプログラムである。多くの国から応募がある、いまや世界的なイベントだ。

2017年のグランプリ受賞者は「PIXEL(ピクセル)」という「光と影の存在を認識することができる構造体」を出品した吉添裕人氏。商業施設のアートディレクションや空間デザインを手がけているひとだ。

「壁でありながら向こう側の気配を感じさせる障子はすばらしいと思っているので、それを現代的に評価しました」。会場で吉添氏はそう語ってくれた。

デザインの可能性を広く感じさせてくれたレクサスのイベント。2017年もミラノ・デザインウィークに活気をもたらしてくれた。
建築家でありデザイナーでありMITで研究グループのメディテイテッド・マターグループを率いているネリ・オックスマン氏
ガラスのチューブを有機的なかたちに巻いていったオックスマン氏とMITのメディテイテッド・マターグループによる光と影の柱
会場最後には10回にわたるミラノ・デザインウィークでの発表を振り返った「Restrospective」(パラパラ漫画のように楽しめる)
建築家でありデザイナーでありMITで研究グループのメディテイテッド・マターグループを率いているネリ・オックスマン氏
ガラスのチューブを有機的なかたちに巻いていったオックスマン氏とMITのメディテイテッド・マターグループによる光と影の柱
会場最後には10回にわたるミラノ・デザインウィークでの発表を振り返った「Restrospective」(パラパラ漫画のように楽しめる)
※取材・文/小川フミオ