プロサングエに新たなパッケージオプションが登場

フェラーリ・プロサングエに「ハンドリング・スペチアーレ」という名のパッケージングオプションが新たに設定されました。
フェラーリのパッケージングオプションといえば、最近では「アセット・フィオラーノ」が有名です。アセットはイタリア語で「設定」、フィオラーノはフェラーリが所有する有名なテストコースの名前に由来します。つまりサーキット走行用にフェラーリのサスペンションやエアロダイナミクスをチューニングし直したパッケージングオプションがアセット・フィオラーノなのです。
「ハンドリング・スペチアーレ」もフェラーリの伝統的なパッケージングオプションのひとつですが、「アセット・フィオラーノ」のようにサーキット走行を前提としたものではなく、同じダイナミックなハンドリングを目指しながらもよりマイルドな設定で、日常的な使い勝手や快適性を損なっていない点に特徴があります。

▲ プロサングエの美しいプロモーションはそのままに、スポーティーさをプラス。
プロサングエ・ハンドリング・スペチアーレ仕様とはどのようなクルマなのでしょうか?
私はイタリア北部にあるバロッコという伝統あるテストコースで試乗してきましたが、パッケージングオプションの内容自体はごくごくアッサリとしたものなのに、その効果は卒倒しそうになるほど劇的というのが、私のプロサングエ・ハンドリング・スペチアーレ仕様に対する印象でした。

▲ おそらく『ハンドリング・スペチアーレ』の車両のみ装着可能なスペシャルエンブレム。
ちなみに、今回のハンドリング・スペチアーレ仕様にハードウェア上の明確な違いはありません。ベルベットのように滑らかで、バイオリンのように美しい音色を奏でる自然吸気V12エンジンのスペックはそのままで、725psの最高出力にも716Nmの最大トルクにも変更はありません。スペック的にも4973mmの全高だけでなく1589mmの全高や2033kgの車重もオリジナルのプロサングエそのままです。
では、なにが決定的に変わったかといえば、プロサングエ最大の特徴といっていいアクティブサスペンションのソフトウェアが改良された点にあります。

▲ テストコースにて試乗中。
アクティブサスペンションという言葉を軽々しく使う自動車メーカーもありますが、このテクノロジーを本来の意味で活用しているのはフェラーリを始めとするごくひとにぎりの自動車メーカーだけ。というのも、大抵は「ダンパーの減衰力を電子制御できるサスペンション」のことをそう呼んでいるだけで、これでは本当のアクティブサスペンションとはいえないからです。
ところで、本来のアクティブサスペンションとは、どんな仕組みを指すのでしょうか?
私自身は「ホイールの位置を車体側が積極的に、そして任意に制御できるサスペンション」がアクティブサスペンションであると理解しています。つまり、ジャッキやリフトなどでタイヤが地面から浮いている状態にしたとき、クルマがタイヤを上下に動かせる仕組みがアクティブサスペンションなのです。

▲ アクティブサスペンションにより安定したコーナリングを実現。
プロサングエ・ハンドリング・スペチアーレ仕様では、このアクティブサスペンションを制御するソフトウェアに改良をくわえ、コーナリング時などに起きるボディの動きを10%小さくしたといいます。あわせてギアボックスのソフトウェアも変更。これまでよりも変速速度を速めたほか、オートマチックモードで減速する際に従来よりも積極的にダウンシフトを行い、スポーティなドライビングに最適化したといいます。
「なんだ、それだけのことか」と思いながら試乗に臨んだのですが、時差ボケ気味だった私の脳ミソが瞬時にして覚醒するくらい、プロサングエ・ハンドリング・スペチアーレ仕様の走りは鮮烈でした。
最初は「たしかにボディの動きは減っているけれど乗り心地は全然悪くなっていない。あと、ステアリングの手応えが少ししっかりして、タイヤからの情報がより明確に伝わるようになった」くらいしか感じませんでしたが、恐ろしいほどのハイペースで走る先導車を追いかけるうち、「これはSUVじゃなく、リアルスポーツカーだ!」と確信するようになったのです。

いや本当に、ボディの動きはメチャクチャ小さくて、コーナーでボディが傾くロールも、加速や減速で起きるボディ前後の沈み込み=ピッチングもほとんど感じません。でも、それだけのことで、クルマの反応が見違えるように素早くなり、高速コーナーへのターンインでも正確に反応してくれるようになったのです。
なにしろ、私が試乗したタイミングは早朝に降った雨の影響でまだ路面はチョイ濡れ。しかも百選錬磨のフェラーリ・テストドライバーはコーナーに130km/hとか140km/hとかで進入するのですが、最初にズルッと滑った直後にタイヤのグリップはしっかりと回復。その後は安定した姿勢を保ったままコーナーをクリアしていったりするのです。もう、その鮮やかすぎるハンドリングは、サッカーの長友佑都選手ならずとも「ブラボー!」と叫びたくなるほど感動的でした。

▲ サーキットだけではなく、街中のワインディングでも楽しめる一台。
それでいて路面からゴツゴツした印象がほとんど伝わっていないことにも驚かされました。また、変速プログラムが見直されたというギアボックスも、シフトショックが増えているようにはまったく感じられなかったのに、これまで以上にパワーが途切れることなく、素早いシフトを実現していたのです。しかも、コーナー進入のブレーキングでは、自然吸気V12エンジンが「ファン、ファン、ファーン!」という軽やかなサウンドを響かせながらダウンソフトしていくのだからたまりません!
ハンドリング・スペチアーレ専用となるカーボン・ファイバー製フェンダー・シールドやマットブラックのテールパイプなどのさりげない特別感も小粋なパッケージングオプション。これからプロサングエをオーダーされる方には絶対のオススメといえるでしょう。
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