2026.09.23
【試乗リポート】「マツダCX-5」は「あら、またまた、いいもの買いましたね」と言われるクルマ⁉
2026年5月、マツダのクロスオーバーSUV「CX-5」が3代目へとフルモデルチェンジした。マツダのトップセラーを9年間も張り続けた2代目を受け継ぐモデルとしての期待を一身に背負いながら、満を持しての登場となった新型は、果たしてその期待に応えることができるのだろうか。
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写真/マツダ 編集/森本 泉(Web LEON)
グローバル販売の3割以上を占める大黒柱

思い起こせば2012年、CX-5はいまに受け継がれているマツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」と、優れた走行性能・環境性能を実現する「SKYACTIV(スカイアクティブ)」技術を全面的に採用した第1弾の商品としてデビューを果たした。サイズ、デザイン、性能、価格のトータルバランスのよさが支持され、これまで世界130の国と地域で累計500万台を販売。日本国内でも累計44万台を売り上げており、いまやマツダの大黒柱となっている。
新型も発売から約1カ月の時点で国内月間販売計画2000台の5倍を超える1万台超を受注。7月の国内販売も4233台(前年同月比+129.2%)と好調を維持する。しかしなんといってもマツダのビジネスの主戦場は北米、欧州、中国である。新型CX−5の7月のグローバル販売台数は3万2212台(前年同月比+7.8%)。CX−5はグローバル販売台数の30%以上を占めており、絶対に失敗は許されないモデルであることがわかる。
ただ、国内販売に関しては懸念材料があった。それは新型ではディーゼルモデルが廃止されたこと。特に日本はディーゼル人気が高く2代目でも半数以上を占めていたというが、海外では1割にも満たないのが現状である。多大なコストがかかる排ガス浄化装置が必要なディーゼルエンジンを、高額車ではなくアフォーダブルな価格設定のCX−5に搭載し続けていくのは非効率であり、ハイブリッドへ1本化するという経営判断によるものだが、やはりそれが合理的だと思う。

▲ 先代に比べてホイールベースを115mm延長。後席の膝まわり、ヘッドラクリアランスを拡大し居住性を向上。またドアを拡大することでシートへのアクセス性を改善している。
現在、国内で販売されているマツダのSUVのラインアップは、ラージプラットフォームの「CX-80」と「CX-60」、そしてコンパクトサイズの「CX-30」と「MX-30」があり、CX-5はそのラージとコンパクトのあいだをつなぐものだ。新型のプラットフォームは、従来のものをベースに改良を加え、ホイールベースを115mm延長。それにより後席空間を拡大している。
マツダの新世代デザインの急先鋒
デザインコンセプトは、「Wearable Gear(ウェアラブルギア)」で、日常生活で使いやすいシンプルで力強いフォルムながら、スポーティなプロポーションと快適な居住性の両立を図っているという。前後のオーバーハングを短く切り詰めて、4つのタイヤでしっかと踏ん張っている佇まいは、先代モデル譲りのものだ。

▲ センターディスプレイは「L」は15.6インチ、「S」と「G」は12.9インチサイズを標準装備。音声認識によってエアコンやオーディオなどの操作が可能。
インテリアは15.6インチ(または12.9インチ)のタッチパネル式大型センターディスプレイを中心に置いた水平基調のシンプルなもの。マツダとして初めてGoogle搭載のインフォテイメントシステムを採用しており、システムが自動で車内空間を快適に保ち、また音声入力システムの精度も上がっている。

▲ 6速オートマティック用のシフトセレクター。奥に前席用のカップホルダーが配置されている。
その一方でエアコンやオーディオなどの物理ボタンは省かれた。けれども、いまとなっては古式ゆかしいシフトノブがコンソールのど真ん中に鎮座しており、少しチグハグな印象をうける。テスラのように徹底的に物理ボタンを排除するものもあれば、メルセデスのように一度は省いた物理ボタンを最新型で復活させているものもある。CX-5はマツダの新しいデザインの急先鋒でもあり、試行錯誤しながらこれから改良が加えられていくことになるのだろう。

▲ 運転席/助手席ともに電動調整機構、前席シートヒーターに加え、ベンチレーション機能も搭載。ホイールベースを拡大したことで、後席には大きなチャイルドシートや足元には機内持ち込みサイズのキャリケースを縦置きで収納可能に。「L」には開口サイズ:幅875mm×長さ1021mmのパノラマサンルーフをオプション設定。
パワーユニットは自然吸気の2.5ℓ4気筒ガソリンエンジンにマイルドハイブリッド機構を組み合わせたもので、いまのところこれ一択である。エンジンは最高出力178PS、最大トルク237Nmは発揮、出力6.5PS/60.5Nm の24Vスタータージェネレーター(モーター)によってサポートを行う。
日本国内で販売するマツダ車として初めて、E10ガソリン(従来のガソリンに植物由来のエタノールを10%混ぜた燃料)にも対応する。これはCO2排出量の削減効果はもとより、中東からの原油依存度が9割を超えるという日本においてサプライチェーンの見直しなども合わせて経産省、資源エネルギー庁が検討を進めており、2028年度には先行導入開始が予定されている。

▲ ラゲッジルーム容量は466ℓ。定員乗車時にもゴルフバックを4つ、またはスーツケース4つを搭載可能。
コストパフォーマンスは圧倒的
動き出しはスムーズで、先代よりも静粛性が向上している。また国内の道路環境に合わせダンパーの減衰の初期応答を極限まで高めたうえで、バネレートを低めにすることで路面からの突き上げを押さえ、乗り心地を改善している。ただ高回転域で加速するようなシーンでは6速ATのギア比の関係なのか少し物足りなさを感じることも。回生ブレーキと摩擦ブレーキの協調制御に関しても、ペダルフィーリングには改善の余地があると感じられた。

意外だったのは、ADAS(先進運転技術)の充実ぶり。高速道路での渋滞時にはある一定条件下において手放し運転を可能にするハンズオフアシスト機能を搭載。試乗の際にも首都高速で渋滞に巻きこまれたがとても有用だった。これ以外にもドライバーの急病などを検知し車両を減速・停止させる「ドライバー異常時対応システム」や、先行車やバイクを検出したときに減速アシストする「プロアクティブ・ドライビング・アシスト」を初採用するなどしている。
そして何よりも驚くのは価格設定だ。先述したパワートレインの選択と集中、ハイブリッドへの1本化が功を奏しているのだろう。グレードは下から「S」、「G」、「L」の3種類。それぞれに2WDと4WDの設定がある。2WDのSはなんと330万円と、競合他車と比べても圧倒的に安い。最上級の4WDのLでも430万6500円。いままわりを見渡してもこれほどコストパフォーマンスに優れたモデルはないかもしれない。
もしモアパワーをお求めの方は、あらゆるエンジン回転域でクリーンな排ガスと高出力を両立するというSPCCI(火花点火制御圧縮着火)エンジン「SKYACTIV-Z」に、独自のハイブリッドシステムを組み合わせた新ユニットが2027年中に投入予定というから、そちらを待つという手もありだろう。
CX-5の主戦場であるアメリカではいまアマゾンがインターネット自動車販売に本格的に乗り出し「アマゾン・オートス」の事業規模を拡大。当初、新車は韓国の現代自動車のみの取り扱いだったが、マツダやスバルなど日本車も対象となった。希望の車種や色、装備を選択して注文、資金調達や書類手続きもインターネット上で完結できるという。日本でも現在の複雑な書類、登録手続きが簡略化されればクルマのインターネット販売は普及するはずだ。
新型CX-5が納車された際にはきっとご近所さんにもamazonの箱に印刷されたおなじみのメッセージよろしく「あら、またまた、いいもの買いましたね」と言ってもらえるに違いない。

▲ ADAS(先進運転支援システム)が大幅に強化されている。高速道路で渋滞時などに使えるハンズオフ機能や前走車との車間を検知して自動で減速するプロアクティブ・ドライビング・アシストを初採用する。

■ マツダCX-5 L
ボディサイズ/全長4690×全幅1860×全高1695mm
ホイールベース/2815mm
車重/1710kg
駆動方式/FF
エンジン/2.5ℓ直4 DOHC 16バルブ
モーター/交流同期電動機
トランスミッション/6速AT
エンジン最高出力/178PS/6000-6200rpm
エンジン最大トルク/237Nm/3800-4000rpm
モーター最高出力/6.5PS/1000rpm
モーター最大トルク/60.5Nm/100rpm
車両本体価格/407万円

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