2026.10.14
【試乗リポート】ボルボが誇るEVのフラッグシップSUV「EX90」で仙台までロングドライブしてみたら⁉
2026年7月、ボルボの電気自動車(EV)のフラッグシップSUV「EX90」が発売された。エクステリアは外連味がなくモダンな、そしてインテリアは癒やし系のスカンジナビアンデザインとボルボらしさ満載。一充電走行距離は650km(WLTCモード)を実現するときいて、東北の杜の都を目指し約900kmのロングドライブに出かけてみた。
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写真/藤野太一・ボルボカージャパン 編集/森本 泉(Web LEON)
これからクルマはアップデイトし続ける時代へ
ボルボのEVが‘着実にセールスを伸ばしている。コンパクトSUVの「EX30」が牽引役となり、同社の2026年1〜6月の国内販売台数の23.5%をEVが占めたという。

▲ エクステリアは、フラッシュサーフェイス・デザインを採用。フロントマスクは、グリルレスで“トールハンマー”ヘッドランプを組み合わせる。
さらに攻勢をかけるべく投入されたのが、フラッグシップSUVの「EX90」だ。ボディサイズは全長5035mm、全幅1965mmと5mオーバーの立派なサイズ。それゆえゆとりある室内を活かし3列シート7人乗りを実現している。

▲ 北欧のプライベートラウンジのような空間を演出したインテリア。自然素材をふんだんに用いた居心地の良い癒やしの空間。
またこのEX90は、ボルボ初の本格的なSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)でもある。ここであらためてSDVとは、直訳すると「ソフトウェアによって定義される自動車」ということになる。ボルボは独自技術と、NVIDIA、Qualcomm Technologies、Googleなどのサービスや技術を融合した「HuginCore」と呼ぶ次世代コアコンピューティングシステムを搭載し、安全システムや駆動システム、インフォテインメントからバッテリー管理まで、車両のすべての機能を統合、制御している。
いまクルマづくりは従来のハードウェアありきから、ソフトウェア先行にかわりつつある。スマートフォンのようにOTA(Over The Air)によって継続的にアップデイトされ、個人への最適化が可能になり、将来的な自動運転にも欠かせない。自動車各社はこぞってSDVの開発に取り組んでいる。

▲ 2列目、3列目ともにシネマスタイルの配置により全席で良好な視界を確保。2列目はスライドやリクライニング、折りたたみ式アームレストなどを備える。3列目は170cmまでの大人2名が快適に座ることができる空間を確保し、ボタンひとつで個別に折りたたみ可能。
アビー・ロード・スタジオの音が味わえる
試乗用に拝借したモデルは「Ultra Twin Motor Performance」という最上位グレード。フロントとリアにそれぞれ駆動用モーターを搭載した4WDで、最高出力はフロント299PS、リア381PS、最大トルクはフロント390Nm、リア480Nmと、足し合わせればそれはそれはパワフルである。それでいて一充電走行距離650km(WLTCモード)とロングドライブにも好適と聞いて、ちょっと旅に出てみることにした。

▲ 早朝の東京を出発のシーン。37日間連続という記録的な降雨ゆえ小雨の中のスタートとなった。
カード型のキーを受け取り、室内へ乗り込む。スタート時のバッテリー残量は99%で、走行可能距離は600kmと表示されていた。この数字は以前に試乗した人の電費によって導き出されたものだが、WLTCモードの9割以上というのはかなり優秀だ。
インテリアは、まさにスカンジナビアンデザインによるもので、天然素材やリサイクル素材、FSC認証(森林認証制度)を受けたウッドパネルなどを組み合わせ明るく心地よい空間を演出している。
眼前には9インチのドライバーディスプレイ、そして中央にはGoogleを搭載した14.5インチのディスプレイが配置されている。オーディオや電話、エアコンなど使用頻度の高い操作系がディスプレイ下部に整然と並べられており、直感的にわかりやすく使いやすい。またGoogleアシスタントの音声認識の精度の高さはさすがのもので、今回の旅の目的地設定の際の認識率は100%だった。
東京都心を早朝に出発し、杜の都、仙台を目指すことにする。走り出してすぐに静粛性の高さに気づいた。そして首都高速に入ると、普通なら大きな突き上げをくらうジョイント部分をタタンと軽快にいなす足回りのしなやかさに驚いた。22インチなんて大径ホイールを履きながらも、電子制御エアサスペンションとドライビングモード選択式FOUR-C アクティブパフォーマンスシャシーの組み合わせによって、道路状況に応じて乗り心地を瞬時に最適化してくれる。
東北道を使って北上する。いま東北道には最高速度規制120km/hの区間がある。おそらく電費のことを考慮すれば、100km/hくらいで走行するのが効率的なはず。しかし、そこは遠慮することなく、アダプティブクルーズコントロールをきっちりと120km/hに設定して走りぬけた。最初の目的地までは400km弱なので少し電費が悪くなっても問題なく到着できるという算段だ。

▲ オーディオシステム内には、イギリス・ロンドンにある伝説的な録音スタジオであるアビー・ロード・スタジオを冠したサウンドモードを用意。音場を自在に調整できるなど、まさにプロデューサー気分が味わえる。
120km/hで巡航していても、静かでしなやかで快適である。タイヤノイズも風切り音もうまくマスキングされている。こうした静粛性に優れたEVは優れたオーディオルームにもなる。ボルボは昔からオーディオにうるさいブランドだが、このEX90の上位モデルは、Bowers & Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステムを搭載し、ヘッドレストや天井を含むキャビン全体に、25個ものスピーカーが配置されている。
さらに、Dolby Atmosによる3Dでの音場再現が可能で音がキャビン全体を包み込むような体験が味わえる。しかも、ロンドンのアビー・ロード・スタジオを冠したサウンドモードが用意されており、音場を自在に調整することができるのだ。相当マニアックな音楽好きの開発者の仕事と思われるが敬意を表して、旅を勢いづけてくれる「Come Together」で始まるビートルズのアルバム『Abbey Road』を聴きながら仙台を目指す。

▲ いま全国に約200箇所展開するCHAdeMO/NACS 対応の240kW急速充電器「 FLASH」。会員登録不要、クレジットカード、QRコード決済が可能で、標準充電料金は、1kWhあたり44円(税込)とリーズナブル。
超高速充電器の登場がEVをより身近なものに
最初の目的地は、東京から約380km、仙台市内を少しとおりこした郊外にある遊技場、タイガー多賀城店。実は広報からのおすすめで、FLASH 急速充電器を試してみるために立ち寄ることにした。
ちなみにFLASHとは、CHAdeMO/NACS 対応の240kW 急速充電器で、いま全国約200箇所に設置されている。会員登録不要で、クレジットカードかQRコードで決済可能なのでとても使いやすい。到着時のバッテリー残量は26%、走行可能距離は120kmと表示されていた。ここまでの電費は約4.9km/kWhといったところだが、高速区間を120km/hで走行したわりにはそれほど悪くないと思える。
充電開始はケーブルをさして充電開始を押すだけ。スタート当初には250.2kWと240kWを超える数字が表示され、すごい勢いでチャージする。10分後には168kWまで落ちたがそれでも速い。20分の充電で63.3kWhを飲みこみ、残量は80%まで回復したところで充電を停止した。かかった充電料金は2780円。FLASHは高速道路のSA/PAにある高速充電器をビジターで使用するのと比べると、圧倒的に簡単で速い、安いである。

▲ けやきの並木が続く、“杜の都” を象徴する道、定禅寺通をはじめ、仙台城跡など市内観光を楽しむ。停車中にアイドリングしないのは精神衛生上とてもいい。
仙台市内をドライブし、この日はホテルに宿泊。普通充電器の備わった駐車場にとめて夜間に充電しておいたので、朝には残量は100%に、走行可能距離は530kmと表示されていた。これは前日の120km/h走行の電費が反映された結果だが、それでも530km走行できるということで、帰路はかねてより気になっていた店がある山形に立ち寄ることに。仙台市内から約70kmの山形市内を経て、東北中央自動車道を南下し米沢市に立ち寄り、そこからは約50kmえんえんと山道を南下して少し遅い昼食にラーメンをと喜多方市を目指した。
昼食後は東北横断自動車道、磐越自動車道を経由して、郡山JCTからふたたび120km/h走行区間のある東北道へ。栃木県の上河内SAでトイレ休憩。到着時のバッテリー残量は29%で、おそらくこれでも東京に戻れそうだったけれど、念のため充電することに。150kWの急速充電器の出力はスタート時106kWと表示しており、30分の充電で72%まで回復。これで何の心配もなく帰京することができた。
120km/h走行の高速区間をはじめ、市街地、山道などさまざまな道を省エネすることなく気兼ねなく走って最終的に総走行距離は893km、平均電費は約4.8km/kWhだった。さすがに600kmとはいかなかったけれど、リアルワールドで一充電あたり約500kmは走行可能な計算になる。
ボルボはこのEX90ベースモデル「Plus Twin Motor」のスタートプライスを、ガソリン+ハイブリッドのSUV、XC90とほぼ同等の1199万円に設定している。今回の試乗車である最上位グレードでも1399万円である。食わずキライの人も、そろそろEV、大いにありだと思う。


■ ボルボEX90 Ultra Twin Motor Performance
ボディサイズ/全長5035×全幅1965×全高1740mm
ホイールベース/2985mm
車重/2710kg
駆動方式/4WD
フロントモーター/非同期電動機
リアモーター/永久磁石同期電動機
フロントモーター最高出力/299PS(220kW)
フロントモーター最大トルク/390Nm
リアモーター最高出力/381PS(280kW)
リアモーター最大トルク/480Nm
駆動用バッテリー総電力量/106kWh
一充電走行距離/650km(WLTCモード)
車両本体価格/1399万円

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