2026.07.01
【試乗リポート】“この瞬間がシトロエンだね”。次のフラッグシップ「C5エアクロス」に注目すべき理由とは?
シトロエンのミッドサイズSUV「C5エアクロス」が2代目へとフルモデルチェンジした。新しいプラットフォーム、新世代のデザイン言語、新パワートレインを採用し、これからのフラッグシップモデルと謳われている。ステランティスグループの中にあって、シトロエンらしさは残されているのか、試乗して確かめてみた。
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画像/Stellantisジャパン、藤野太一 編集/森本 泉(Web LEON)
シャープでボクシーなデザインへの世代交代

2026年4月、フルモデルチェンジした2代目となる新型C5エアクロスが発売された。プレスリリースによると“フラッグシップモデル”と謳う。
現行のシトロエンのラインアップにおいてフラッグシップといえばC5Xのはずだが、いまのところこのモデルの後継は計画されておらず、今後はいわゆるB&Cセグメントに集中していく方針という。

▲ 現行ラインアップにおけるフラッグシップモデルの「C5 X」。従来のシトロエンの流れをくんだ丸みを帯びたデザインのクロスオーバー。後継モデルの計画はないという。
プラットフォームも新開発されたもので、ステランティスグループが電動化を見据えマルチパワートレインへの対応を前提に開発した「STLA-Medium」をシトロエンとして初めて採用する。これにより車室内スペースの最大化、低重心化、そして乗り心地とハンドリング性能の向上が図られている。

▲ 空気抵抗を低減する飛行機の翼のようにも見えるテールライト。
エクステリアデザインは新しいデザイン言語を取り入れたシャープでボクシーなものとなった。これはシトロエンが2022年のパリモーターショーで発表した電気自動車のコンセプトカー「Oli」の流れを汲むもので、すでに新型C3などでお披露目されている。空気抵抗を最小限に抑えるよう飛行機の翼のようなテールライトを採用するなどC5エアクロス独自の造形もみてとれる。

▲ “乗る人すべてを柔らかく包み込む快適性”をテーマにした “C-Zen Lounge(シー ゼン ラウンジ)”コンセプトを基に設計されたインテリア。中央に13インチの縦型「ウオーターフォールスクリーン」を配置。
インテリアも水平基調なデザインながら、ダッシュパネルやドアの内張りなどに柔らかな触り心地のファブリック素材などを使用することでリラックスできる空間となっている。
なかでもシトロエンらしさが際立つのはシート。アドバンストコンフォートシートという名のそれは、シート中央部は柔らかく、背もたれやサイドサポートには厚さ15㎜のパッドを採用するなどしっかりとした感触を持つ構造により、快適さとホールド性を高いレベルで両立。長時間のドライブでも姿勢を保ちやすく、疲労を大きく軽減する。
さらにシートヒーター、ベンチレーションをはじめマッサージ機能まで備えている。

▲ シトロエンの特長のひとつである快適なシート。シートヒーター、ベンチレーションをはじめもみ玉を内蔵しマッサージ機能まで備えている。
後部座席の快適性も大幅に向上している。レッグスペースは従来モデル比+50mm、頭上スペースは+68mm拡大。身長約180cmの大人でも快適なもので、上級グレードには後席のシートヒーターも装備する。ラゲッジスペースも通常時で565リッターと大容量だ。

▲ 後部座席は先代比でレッグスペースは+50mm、頭上スペースは+68mm拡大。上級グレードのMAXにはシートヒーターも装備する。
インフォテインメントは13インチの縦型スクリーン「ウォーターフォールスクリーン」を搭載。ナビゲーションやメディアをはじめ、車両設定、空調操作などを集約し、直感的な操作を可能としたとても使いやすいものだ。
センターコンソールにはワイヤレス充電機能付きのスマートフォントレイをメインに据え、その脇にシフトセレクターやドライブモードの切り替えスイッチなどが並んでいる。
このセンターコンソールはフローティングタイプになっており、1つ下の階層にドリンクホルダーやDC12Vの電源ソケット、USBポートなどが備わっている。
最新技術と秘伝のレシピで“魔法の絨毯”を再現

▲ 独自のサスペンション“PHC”よって、魔法の絨毯と称される乗り心地を最新モデルでも実現している。
パワートレインは、いまステランティスグループの主力である、最新世代の1.2ℓ直3ガソリンターボエンジンに、電動モーターを内蔵した6速DCTを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムを採用。システム合計最高出力は145PSを発揮する。
このボディサイズに1.2ℓと聞くと物足りない気もするが、マイルドハイブリッドながらときには電動走行もするシステムで、低速域ではモーターが積極的にアシストしてくれるため想像以上にパワフルに走る。
街中での渋滞時など低速域でストップ&ゴーを繰り返すようなシーンで強めにアクセルペダルを踏むと少しギクシャクすることもあったが、そこはコツをつかめばスムースに走ることもできるようになる。
シトロエンらしさの象徴といえば、しなやかな足回り。かつては“ハイドロ(ハイドロニューマチック)”という独自のサスペンションによってその乗り心地は”魔法の絨毯”と称されていた。それを現代に受け継ぐPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)という機構が、C5エアクロスには搭載されている。構造としてはダンパーの内部に第2のダンパーを内蔵するもので、路面からの入力を段階的に制御、吸収することで突き上げなどの衝撃を抑え、フラットでしなやかな乗り心地を実現する。
ステアリングが小径化されており反応がクイックになったのかとおもいきや、そこはらしさを損なうことなく舵を切ってからわずかにタメがあって動きだすようしっかりとチューニングされている。
その挙動ともあいまって、サスペンションはしなやかにたっぷりとストロークしているのがわかる。路面の凹凸や目地段差もこともなげにクリアしていく。先のアドバンストコンフォートシートとの相乗効果もあって、実にいい仕事をしている。この瞬間がシトロエンだね、である。
もし古き良きシトロエンをお望みなら、いまのうちにC5Xを手に入れておいたほうがいいだろう。しかし、モダンにアップデイトされた新時代のフラッグシップにもシトロエンらしさはしっかりと受け継がれていた。
■ Citroën C5 AIRCROSS MAX
ボディサイズ/全長4655×全幅1905×全高1710mm
ホイールベース/2790mm
車両車重/1630kg
駆動方式/FF
エンジン/1.2ℓ直3 DOHC 12バルブ ターボ
モーター/交流同期電動機
トランスミッション/6速AT
エンジン最高出力/136PS(100kW)/5500rpm
エンジン最大トルク/230Nm/1750rpm
モーター最高出力/20PS(15kW)/4264rpm
モーター最大トルク/51Nm/750-2499rpm
燃費/19.4km/リッター(WLTCモード)
車両本体価格/570万円

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