2026.06.17
【試乗リポート】大人にこそふさわしい! 成熟した“エイジングハッチ”、「GRカローラ」
2022年にデビューしたカローラのハイパフォーマンスモデル「GRカローラ」。3度目の改良を経て「25式後期」へとアップデイトされた。GRカローラといえばこれまでは抽選販売の限定車だったが、25式からは供給体制の見直しによりカタログモデルとして購入できるようになったという。熟成の進んだ大人のハッチバックに試乗してみた。
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写真/トヨタ自動車、藤野太一 編集/森本 泉(Web LEON)
レースの現場で鍛えた高剛性ボディ

あらためてGRカローラとは、ハッチバックのカローラをベースにトヨタのスポーツカーブランドであるGR(Gazoo Racing)の名を冠した高性能モデルのこと。

▲ スーパー耐久シリーズに参戦している水素エンジンカローラ。マフラーからはCO2などは出ず、基本は水(水蒸気)のみが排出される。ガソリンエンジンの代替として開発が進められている。
GRは2021年から水素エンジンを搭載したカローラで耐久レース(スーパー耐久シリーズ)に参戦しており、現在も将来の市販車両への水素エンジンの応用を目指し実戦の場で開発を進めている。その模様はテレビCMやビジネス番組などでも取り上げられており、目にしたことがある人も多いかもしれない。

▲ カローラよりもひとまわりちいさな2ドアボディのヤリスをベースとした「GRヤリス」。トヨタは現在GRヤリスをベースとしたマシンでWRC(世界ラリー選手権)に参戦している。
そのカローラのボディにGRがラリーカーのベース車として開発した「GRヤリス」のパワートレインを搭載したのが、市販版のGRカローラだ。2022年に500台限定で抽選販売され、のちにモリゾウエディションなる豊田章男会長のお墨付き限定車も登場し大きな話題となった。
翌年にはサスペンションやステアリングまわりなどが補強されたモデルが550台限定で発売された。そして2025年3月に発売された改良型「25式前期」では、最大トルクを高め、4WDの前後トルク配分の割合を変更。それまで6速MTのみだったトランスミッションに8速ATも設定されている。
ところが、その半年後の9月にはさらなる改良モデルを発表。3月発売のものは25式前期、そして今回試乗した改良モデルは通称「25式後期」と呼ばれる。

▲ オレンジが従来型の、紫が延長された構造用接着剤の塗布位置。フロントまわりやフロア、リヤホイールハウス付近を中心にボディが強化されている。ルーフはカーボン製。
たかだか半年の違いだが、その差は意外に大きい。特にボディ補強についてはフロントボディ、フロア、リヤホイールハウス付近を中心に、構造用接着剤の塗布量を従来比で+13.9mとなる32.7mに延長。質量増加を最小限に抑えながら、より剛性をアップしている。
エンジンルームにはクールエアダクト(2次吸気ダクト)を追加し、長時間の全開走行でエンジンルーム内温度が上昇した場合でも、安定して高いエンジン出力を維持できるという。
また、オプションのJBLプレミアムサウンドシステム装着車には新たにアクティブサウンドコントロール(ASC)という機能が追加された。これはアクセルやシフト操作による車両の加減速や駆動力の変化に応じたスポーツサウンドがスピーカーから聞こえるというもの。アクセルオフ時にはバブリング音まで鳴らすことができる。あくまで車内でドライバーが楽しむものであり、周囲に迷惑をかけることなく公道でレーシングカーを運転しているかのようなサウンド体験が得られる。
昔懐かしいホットハッチが進化した先にあるもの

▲ 大きく張り出したフェンダー、3本出しのマフラーなど、特にリアまわりのデザインはベース車とはまったくの別物。
ボディサイズは、全長4410mm、全幅1850mm、全高1480mm、ホイールベースは2640mm。2ドアのGRヤリスに対してGRカローラは4ドアでホイールベースはGRヤリスより80mm長く後席にも大人が座れるスペースを確保しており、実用性の高さがウリ。一方で車両重量は200kgほど重くなる。
GRヤリス譲りのエンジンは1.6ℓ直列3気筒ターボで最高出力304PS、最大トルク400Nm。駆動方式はアクティブトルクスプリット4WD。
4WDシステムは「GR-FOUR」と呼ばれるもので、センターに配された油圧多板クラッチによって路面状況に応じて4輪へのトルク配分を制御。4WDモードは「NORMAL」「GRAVEL」「TRACK」の3種類で、NORMALは前輪60:後輪40の安定性重視、GRAVELは50:50のトラクション重視、TRACKは前輪60~30:後輪40~70で連続可変する後輪駆動重視のセッティングとなっている。

▲ 黒を基調としたインテリアには赤いステッチをアクセントとして配している。液晶式のメーターパネルは専用デザインとなっている。

▲ 標準装備のスポーツシート。オプションのスポーツパッケージを選ぶと専用セミバケットシートになる。
今回の試乗車はMTだったが、クラッチの重さも適当で日常使いにもなんら問題はない。シフトはリズムよくこくこくと気持ちよくエンゲージする。適度な重さのステアリングをきるとロール少なくクルマが向きをかえ、ボディ全体から剛性の高さが伝わってくる。
サスペンションはスポーツモデルらしく締め上げられたもので狙ったラインをきれいにトレースでき直進性も悪くない。しかし、首都高速のジョイント部などでは時折硬さを感じる場面もあって、ボディがしっかりしているだけに電子制御ダンパーなどを使ってもう少しソフトな設定をつくればデートカーとしても使えそうなのだけれどとないものねだりしたくなる。
日がな一日ステアリングを握っているとMTのせいなのか、カローラという車名からなのか、すこし懐かしい感覚を抱いた。クルマ好きのオヤジさんたちがかつて憧れた“ホットハッチ”はいまや絶滅危惧種だけれど、全方位で進化し成熟した“エイジングハッチ”としてここにいたというわけだ。

▲ 究極のGRカローラと謳う「GRMNカローラ」。レースの現場とニュルでのテストによって鍛えた専用のエアロパーツやサスペンションを採用する。エンジンフードやフロントフェンダーもカーボン製に。フェンダーのスリットはまさにレーシングカーの様相。
ちなみに先日6月2日、ニュルブルクリンクを全開で走りきれることを目指したという究極のGRカローラ、「GRMNカローラ」が発表された。こちらは台数限定で2026年秋頃からスマートフォン向けアプリ「GR app」を通して申し込み受け付けを開始し、2027年内に発売する予定という。
■ TOYOTA GR COROLLA RZ
全長×全幅×全高/4410×1850×1480mm
ホイールベース/2640mm
車両重量/1480kg(6MT)1500kg(8AT)
エンジン型式/直列3気筒ターボチャージャー
総排気量/1618cc
最高出力/304PS/6500rpm
最大トルク/400Nm/3250-4600rpm
駆動方式/4WD
トランスミッション/6速MT 8速AT
乗車定員/5
車両本体価格/568万円(6速MT)/ 598万円(8速AT)
■ 公式サイト

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