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2026.01.25

R35GT-R、アルピナ B7 スーパーチャージャー、ブガッティ ヴェイロン。時代を象徴した名車を振り返る

運転歴65年を超える自動車ジャーナリストの岡崎宏司先生が、今また乗りたいと思うクルマを回想する人気企画の第四弾。今回もポルトガルの試乗会で気に入り自身も手に入れたという初代BMW Z4をはじめ、R35GT-R、アルピナ B7 スーパーチャージャー、メルセデスSL500、ブガッティ ヴェイロンなど時代を彩った名車が登場!

BY :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第275回

「もう1度乗ってみたいクルマ達!」その4

イラスト 溝呂木 陽 R35GT-R、BMW Z4、アルピナ B7 スーパーチャージャー、メルセデスSL500、ブガッティ ヴェイロン

当然のことながら、僕の車歴の中でスポーツ系のクルマは多くを占める。そんな中でも、初代のBMW Z4は、もっとも忘れられない1台だ。  


2002年のある日、僕はポルトガルの南端、北大西洋を左直下に見る、往復2車線の狭いワインディングロードを走っていた。全開で‼


たしか、ラゴスがスタートで、ファロがゴールだったと思うが、途中、ポツンポツンとある小さな町や村をを除けば、クルマと出会うこともほとんどなく、好きなように走れた。


上記のように、北大西洋を左直下に見て走るのだが、海は遥か下に見える。つまり、その道は断崖絶壁の上を走り、しかも、ほとんど自然の地形をなぞって造られている。

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なので、コーナーは複雑に無限に続き、しかもほとんど占有状態とさえ言えるほど空いてもいた。


となれば、自然にペースは上がる。それもグングンと、、。


しかも、乗っているのは、ハイパワーな3ℓ直6エンジンを積んだコンパクトな2シータースポーツカーなのだから、ペースが上がるのは当然ことだろう。


僕はほぼ2時間ほどステアリングを握ったが、その間の8割方は、全開、ないしはそれに近い走りを楽しんだ。もう、最高だった‼


Z4のポルトガル試乗会は、一生忘れない、忘れようがない、熱く楽しい試乗会だった。


例によって、僕は、試乗会で気に入るとすぐ欲しくなるという困った人間だ。Z4は「もう欲しくて欲しくて!!!」だったので、むろんすぐオーダーを入れた。


僕をよく知るBMWの人たちは、喜ぶというよりも「当然だよね!」といった受け取り方だった。僕が「Z4が欲しい」言い出すのは「予想通り!」だったということだ。

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エンジンは共に直6の2.5ℓと3ℓだったが、僕は2.5ℓを選んだ。パワーはもちろん3ℓが上。だが、2.5ℓのスムースさを僕は選んだ。


ウェイトバランスも2.5の方が良かった。ワインディングロードでは、上りは負けても下りは勝った。


ボディカラーは黒。ソフトトップはグレイを選んだ。カッコよかった! 


1台目のZ4は、不幸にも、高速道路の渋滞停車中、後続車に追突されて再起不能のダメージを受けた。


僕はすぐ2台目をオーダーしたが、濃紺のボディにブラウンのソフトトップを組み合わせた。これがまたよかった‼


初代Z4は「もう一度乗りたいクルマ達!」の上位に入る。それほどのお気に入りだ。


2005年には、兄がMB5代目SLの500を買った。僕はメルセデスは好きだし、尊敬しているブランドでもある。だが、僕自身の愛車としては、前回ご紹介した初代SLKしか買っていない。

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なぜかというと、メルセデスの重厚なブランドイメージが、僕には馴染まないと思っているからだ。だから、もしも今、どうしても買うとしたら、Cクラス ステーションワゴンを選ぶだろう.。


兄がメルセデス好きなことは前にも触れたが、上記したように僕は「自分には似合わない」と思っていたので、ほとんど乗らなかった。特にSクラスには。


ただし、例外が1台だけあった。それは、電動格納式ハードトップを装着した5代目のSL500。まあ、これも僕に馴染むとは到底思えなかったが、2シーターオープンのメルセデスとなれば、心が騒がないわけはない。


で、時々借りて乗ったが、周りから浴びせられる視線は、うれしいというよりも恥ずかしい方が勝った。僕はこういう点では、かなりナーバスというか小心者なのだろう。


2005年頃に乗ったアルピナ B7 スーパーチャージャーも忘れられない。クルマの素晴らしさは改めて紹介するまでもないが、この試乗の時、前にも書いたが、アルピナのオーナーである、ボーフェンジーぺン家に招かれたのには驚いた。

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試乗も、僕と担当編集者とカメラマンの3人だけが招かれるという異例な形だった。


ボーフェンジーぺン家への招待は、B7に乗り、アルピナの工場見学を終えた後、突然、広報担当者から告げられた。


それは、「ボーフェンジーペン氏から、食事をご一緒したいので、わが家までお運びくださいとの伝言を預かっております」という、驚くべき伝言だった。


「レストランでの会食」といったことなら、特に珍しいことでもない。だが、「自宅に招かれての食事」となれば、「超のつく、特別なこと」だ。


ボーフェンジーペン家での会食は、素晴らしかった。ご家族みんなで出迎えてくれ、食事は「奥様の手料理‼」。これほど温かく心のこもった時の過ごし方をプレゼントされたことは他にない。一生の思い出になった。


2006年に乗ったブガッティ ヴェイロンも忘れられない1台だ。


当時の価格は、いろいろなものを込みにして2億円近いものだったように記憶しているが、ニコル オートモビルからお誘いがあり、ステアリングを握ることができた。

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残念ながらテストコースでもサーキットでもなく、一般路での走行だった。でも、クルマを前にした瞬間から胸の動悸は昂まった。


8ℓ W16気筒 クアッドターボ エンジンの出力/トルクは1001ps/1250Nm。駆動は4WDで、7速デュアルクラッチが組み合わされる。


最高速度は407km/h、0-100km/hは2.5秒‼と発表されたが、これはもはやF1クラスのパフォーマンスだ。


でも、一般道でもなんの問題もなく、ストレスもなく走れた。ストレスといえば、アクセルを踏み込めない、性能を引き出せないことがいちばんのストレスだった。


高速道路で前が大きく空いたような時、2速、3速でちょっとだけ全開を試みたが、身体全体がシートにのめり込むように押し付けられる加速は「強烈‼」としか言いようがない。


はるか前を走っていたクルマがあっという間に目前に。100km/h以上で走るクルマがまるで停まっているかのように感じた。間違いなく異次元感覚の体験だった。

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2007年には、R35GT-Rの最終仕上げのテストで、LAからサンフランシスコまで走った。


テストコースやアウトバーンでのテストも終わり、一般路の走り味/乗り味で、残された問題点を洗い出すためのテストだった。


全開のテストはずっと繰り返してきたが、一般道を一般車と同様なペースで淡々と走るテストは初めてだった。


スタートポイントはLAのロデオドライブ、ゴールポイントはサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの袂。


フリーウェイと一般路を適当に織り交ぜて走り、食事も休憩も自由に。走行中には多くの視線を浴び、レストランの駐車場などでは、多くの人からいろいろな質問を受けた。


特に、性能への質問が多かったが、答えると、ほとんどの人が驚きの反応を示した。「ご興味ありますか?」と問うと、ほとんどの人が「あります!」と答えた。「すごくあります‼」との答えも多かった。


アウトバーン テストもしたことはすでに記したが、最高速度は300km/h超を目指していた。しかし、ごく初期のモデルは、なかなか300km/hを超えられなかった。

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295~298km/hあたりまでは達するのだが、「あとほんの少し」が越えられなかった。僕もなんとか超えたいと思い、アウトバーンで「超えられそうな区間探し」までした。


でも、僕のトライでは、残念ながら298km/hで止まった。でも、どんどん進化していくコンセプトのクルマだったので、短時間で300km/hの壁は超えた。僕がそのドライバーを務められなかったのは残念だったが、、、。


前回でも触れたが、GT-Rは生産中止になった。18年間続いた幕を下ろした。とっても寂しい!


でも、日産は、新世代GT-Rの復活を目指していると聞いている。絶対にやってくれると思う。楽しみに待とう‼

岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
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