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2025.04.30

クルマ好きの夢! マセラティが世界に1台を創造するビスポーク部門を新設

マセラティがビスポーク部門「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」を新設。また日本のオーナー向けにクラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」を展開することを発表。その詳細をお伝えする。

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文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
マセラティがビスポーク部門「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」を新設。また日本のオーナー向けにクラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」を展開することを発表。その詳細をお伝えする。
マセラティは3月、ビスポーク部門「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」をイタリア・モデナにある本社工場内に新設。さらに4月には、クラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」を、日本のオーナー向けに展開することを発表した。ビスポーク部門とクラシックカー部門はこれからのラグジュアリーカーブランドのビジネスにおいて欠かせないアイテムなのだ。

世界に1台、クルマ好きの夢を叶えるプログラム

自分好みに仕立てた世界に1台だけのクルマをつくる。これは多くのクルマ好きにとってひとつの夢といえるものだ。

いま世界のラグジュアリィカーブランド、スーパーカーブランドのビジネスにおいてビスポーク部門の存在は欠かせない。ロールス・ロイスなどはその最たるもの。そもそもビスポークすることがデフォルトであり、ビスポークの最高峰としてボディパネルまでも特注する“コーチビルド” (Coachbuild=馬車製造者)というプログラムまで存在する。
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オフィチーネ・フォーリセリエのオープンを記念して製作されたワンオフモデル「MC20 チェロ “Less is More...?”」。バウハウスからインスピレーションを得たデザインが特徴。フロントからリアまで全体に幾何学模様があしらわれている。
▲ オフィチーネ・フォーリセリエのオープンを記念して製作されたワンオフモデル「MC20 チェロ “Less is More...?”」。バウハウスからインスピレーションを得たデザインが特徴。フロントからリアまで全体に幾何学模様があしらわれている。
オフィチーネ・フォーリセリエのオープンを記念して製作されたワンオフモデル「MC20 チェロ “Less is More...?”」。バウハウスからインスピレーションを得たデザインが特徴。フロントからリアまで全体に幾何学模様があしらわれている。
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ベントレーのビスポーク部門「マリナー」も同様だ。世界最古のコーチビルダーをルーツとする。スーパーカーブランドにおいてもフェラーリの「アトリエ・フェラーリ」、ランボルギーニの「アド・ペルソナム」、マクラーレンの「MSO(McLaren Special Operations)」などがある。

そうしたなか、マセラティも今年3月、ビスポーク部門「オフィチーネ・フォーリセリエ・マセラティ」をイタリア・モデナにある本社工場内に新設した。
このプログラム創設のきっかけとなった、ワシリー・カンディンスキーの絵画にインスピレションをうけたワンオフモデル「MC20 シエロ・オペラ・ダルテ」。
▲ このプログラム創設のきっかけとなった、ワシリー・カンディンスキーの絵画にインスピレーションをうけたワンオフモデル「MC20 シエロ・オペラ・ダルテ」。
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このプログラム創設のきっかけとなった、ワシリー・カンディンスキーの絵画にインスピレションをうけたワンオフモデル「MC20 シエロ・オペラ・ダルテ」。
きっかけはある顧客からの要望だった。抽象絵画の創始者とされるワシリー・カンディンスキーの絵の熱烈なコレクターであるその人物は「カンディンスキーへの情熱をクルマに投影したい」と話したという。

マセラティはその要望に応えるべく、デザイナー、職人たちの技術の粋を集めスポーツカーのMC20をベースとした「MC20 シエロ・オペラ・ダルテ」を創り上げた。「オペラ・ダルテ」とはイタリア語で芸術作品を意味するもの。抽象絵画から受けたインスピレーションをカタチにすることで車体に芸術作品を体現したというものだ。

また藤原ヒロシ氏が手掛けるブランド「フラグメント」とのパートナーシップにより、ビスポークモデルをつくりあげてきた実績もある。昨年にはMC20 シエロをベースとした「MC20シエロ・フオリセリエ by 藤原ヒロシ」を発表。ボディカラーは白と黒の2つのバージョンが用意されていた。
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▲ 白と黒の2種類のボディカラーが設定された「MC20シエロ・フオリセリエ by 藤原ヒロシ」。トノカバーに掲げられたマセラティの象徴であるトライデント・エンブレムを、フラグメントのダブル・イナズマ・アイコンに変更する大胆なカスタマイズを施した。
白と黒の2種類のボディカラーが設定された「MC20シエロ・フオリセリエ by 藤原ヒロシ」。トノカバーに掲げられたマセラティの象徴であるトライデント・エンブレムを、フラグメントのダブル・イナズマ・アイコンに変更する大胆なカスタマイズを施した。
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マセラティのデザイナーとの共同創作体験

こうした経緯もあって、マセラティのカスタマイズプログラム「マセラティ・フォーリセリエ」が本格稼働することになる。現在、2つのプログラムが用意されている。

ひとつ目は、すべてを一からつくり上げるのはハードルが高いという人向けに、数千もの組み合わせの中から簡単にカスタマイズできるようカタログから選ぶ方法。伝統的なレースの歴史からインスピレーションを受けたタイムレスなデザインの「コルセ・コレクション」と未来志向で、テクノロジーや新しい素材を好み、変化を楽しむ人々に向けた「フトゥーラ・コレクション」の2タイプのカタログが用意されている。

そしてもうひとつが顧客の特別なリクエストに基づいて唯一無二のワンオフモデルを製作する完全テーラーメイドの「ビスポーク」。顧客の希望を具現化することが可能で、マセラティのクリエイティブ部門とオーナーが協力して特別な1台を創りあげる。
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▲ 「マセラティ・フォーリセリエ」プログラムのために最新技術を導入した4000㎡の専用の塗装エリアがつくられた。「MC20」をはじめ、「グレカーレ」、「GT2 ストラダーレ」、「グラントゥーリズモ」、 「グランカブリオ」など、さまざまなモテルの特別塗装が可能。
「マセラティ・フォーリセリエ」プログラムのために最新技術を導入した4000平方メートルの専用の塗装エリアがつくられた。「MC20」をはじめ、「グレカーレ」、「GT2 ストラダーレ」、「グラントゥーリズモ」、 「グランカブリオ」など、さまざまなモテルの特別塗装が可能。
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この特別な体験はモデナにある顧客専用の「フォーリセリエ・ラウンジ」を訪れることから始まる。カタログやオーダーメイド素材を手に取り、マセラティのデザイナーと対話をしながらひとつひとつ仕様決めをしていくのだ。まさにクルマ好きにとって至極の時間に違いない。

ここでもうひとつマセラティ関連の話題を。

国内でもクラシックカーの正統性の審査、検証が可能に

▲ 1966年に発表された2シータークーペ「ギブリ」のオープンバージョン「ギブリ・スパイダー」。生産台数わずか125台のみという希少モデル。
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マセラティジャパンは、4月11日、クラシックカー公式認定プログラム「マセラティ・クラシケ」を、日本のオーナー向けに展開することを発表した。

「マセラティ・クラシケ」とは、マセラティのクラシックカーの保存、修復、正統性を認証することを目的としたプログラム。2021年にイタリア本国でスタートしており、車両レストアのサポート、スペアパーツの再生産をはじめ、歴史的なモデルの正統性を審査・検証し、認定証を発行する業務を行っている。

日本でスタートするのは、この認定プログラムだ。これまで国内にある車両が認定を受けるためには、イタリアへと輸送し審査を受ける必要があった。しかし、今後はイタリアから認定担当者が来日することで、国内での審査が可能になるという。これはイタリア以外の国では初の取り組みという。
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▲ オリジナルの状態を保った「ギブリ・スパイダー」のインテリアやディテール。機関系をはじめ内装など、さまざまな審査をもとに認定証が発行される。
オリジナルの状態を保った「ギブリ・スパイダー」のインテリアやディテール。機関系をはじめ内装など、さまざまな審査をもとに認定証が発行される。
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この「マセラティ・クラシケ」認定の対象となる車両は、発売から20年以上経過したクラシックカーや特別生産モデル。1980年までに生産されたモデルが中心という。最初に認定証が発行されたのは1969年製「ミストラル 3700」であり、2022年以降日本を含め世界各国から申請のあった80台以上の車両に対して厳正なる審査を行い、その正統性を証明する認定証を発行している。

このたび日本では年内に、最大8台を対象に審査を実施する予定。審査を希望するオーナーには、2025年6月1日から6月30日の期間中、マセラティジャパンの公式ウェブサイトにて申し込みを受け付ける。

最新モデルを世界に1台だけの自分好みにカスタマイズするもよし、電動化が進むなか今後ますます重要な意味をもつであろう歴史的なクラシックモデルにメーカーのお墨付きを得て後世に受け継いでいくもよし、マセラティの楽しみ方の選択肢が増えたことを大いに歓迎したい。
藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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