街使いにピッタリなサイズ感

コンパクトな相棒を探しているなら、いまお勧めしたい1台が「フォルクスワーゲンT-Cross(ティークロス)」だ。全長4115ミリに対して全高1580ミリと、少し背髙のっぽのバランスがかわいらしい。
輸入元のフォルクスワーゲングループジャパンでは「SUV」としているけれど、ポロの全高を上げて、内外装のカラースキームをさらにオシャレにしたクロスオーバーというほうが当たっているかも。

アウトドアなどの趣味を持つひとなら、後席シートのスライド機能も役立つだろう。最大140ミリもスライドすることで、より多くの荷物も積むことができる。後席は狭くなってしまうが、それでも乗れないことはない。スペース効率のよさは大きな武器だ。
全長4115ミリ、全幅1760ミリ、全高1580ミリとボディは比較的コンパクトだ。全長が短めなぶん、背が高く見える。実際は駐車場など場所を選ばず駐められるサイズに留められている。

そういえば、日本におけるフォルクスワーゲンのベーシックモデル「up!」は全長が3610ミリしかないのに、後席にもおとなが2人座っていられるのを思い出した。
フォルクスワーゲンのエンジニアは、さすがに長いあいだ、前輪駆動モデルを作っているだけある。パッケージの使いかたがわかっている、といっていいのではないだろうか。

999ccの3気筒エンジンは、85kW(116ps)の最高出力と200Nmの最大トルクを発生する。運転した印象では、2000rpmから3000rpmにかけてでややトルクが不足するかんじだ。
そこで、パドルシフトを使ってマニュアルで7段ツインクラッチ変速機のギアを選び、3000rpmから上の回転域で走るようにすると、かなり活発だ。

車体のロールも少なく、このキュートな車体に期待する以上にキビキビしている。とくに山道の下りはブレーキもよく効き、速いペースで走れる。下りが得意なクルマは作りがいい、という”常識”を思い起こさせてくれた。
日本では、「TSI 1st」(299万9000円)と、「TSI 1st Plus」(335万9000円)が発売される。車体もエンジンも同一。ただし装備が異なる。たとえばタイヤサイズ。前者が205/60R16であるのに対して、後者は215/45R18が装着される。

カラーも豊富だから自分好みの一台を選べる
T-Crossは、ひとことでいって、楽しい。とくに、車体色に合わせてロードホイールとダッシュボードとさらにシートまでがカラーキー(色合わせ)される仕様の設定が、他にない存在感を出している。
車体色は8色。「ピュアホワイト」「ディープブラックパールエフェクト」「ライムストーングレーメタリック」「エネジェティックオレンジメタリック」「マケナターコイズメタリック」「フラッシュレッド」「リーフブルーメタリック」それに「ダークペトロール」というくすんだ青色

「オレンジ/チタンブラック」というファブリックで張られたシートはとりわけ目を惹く。他に類のないあざやかさだ。白とグレーとブラウンとダークグレーを使っていて、女子ウケは間違いなさそう。
シックが好みなら、マケナターコイズメタリックの車体色に同色のホイールの組み合わせもいい。ブラックの車体にブラックホイールの設定はないけれど、それが選べるなら似合いそうだ。こんなに多くのバリエーションから選べるのだから、自分だって楽しい。ドアを開けて乗り込むときに、気分を晴れやかにしてくれる仕様だ。

燃費はメーカー発表のWLTCモードで、総合がリッターあたり16.9キロ。ハイウェイだとリッターあたり19.1キロと発表されている。けっして悪くない数値だ。
リーフブルーメタリックという塗色のTSI 1st Plus
TSI 1st Plus専用の18インチインチリム径のホイールは力強く見える
「デザインパッケージ」の「ブラック」装備
「デザインパッケージ」の「ブラック」の専用シート
後席は意外にスペースが広い
385リッターの荷室はリアシートのスライド機能を使えば455リッターまで容量が拡大
「デザインパッケージ」の「オレンジ」装備例
ホワイトの車体に「デザインパッケージ」の「オレンジ」装備
「デザインパッケージ」の「オレンジ」の内装
モバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」は新車購入から3年は無償で提供される
リーフブルーメタリックという塗色のTSI 1st Plus
TSI 1st Plus専用の18インチインチリム径のホイールは力強く見える
「デザインパッケージ」の「ブラック」装備
「デザインパッケージ」の「ブラック」の専用シート
後席は意外にスペースが広い
385リッターの荷室はリアシートのスライド機能を使えば455リッターまで容量が拡大
「デザインパッケージ」の「オレンジ」装備例
ホワイトの車体に「デザインパッケージ」の「オレンジ」装備
「デザインパッケージ」の「オレンジ」の内装
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト
慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。