2020.02.01
レクサス「UX」発売から1年、掛け値なしの通信簿
レクサス「UX」はレクサス車の中で最も販売台数を稼ぎ、それがブランドを力づける役割も果たす、重要な戦略車種だ。発売から1年経って500万円の小型SUVが月1000台も売れる理由とは?
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文/御堀直嗣(モータージャーナリスト)

それ以前にレクサスには、トヨタ「ハリアー」として誕生し、2009年のフルモデルチェンジを機にレクサスブランドへと移行した「RX」と、「NX」という2つのSUVがあるが、UXはそれらとは別に生まれたコンパクトクロスオーバー車である。価格は、397万2222円~544万9074円だ。
販売台数はレクサスでトップ

UXは、翌年になっても着実に50位以内に位置を占め、9月には1978台を売って39位に。4~9月の合計では7204台で、その半年間で見ると42位となっており、レクサス車トップの台数である。ちなみにこれに、4ドアセダンの「ES」が続く。
レクサスのSUVの最上級車種であるRXに比べ100万円近くも安いUXや、ほぼ同じ車格のセダン「GS」よりも安めの価格設定のESとはいえ、しっかりとした販売台数を堅持している両車には、消費者を引き付ける何かが潜んでいるのではないか。
UXから少し話がそれるが、これまでレクサスの4ドアセダンを牽引してきたのは、FR(後輪駆動)の「LS」「GS」「IS」といった車種だったのに対し、ESはFF(前輪駆動)の4ドアセダンである。トヨタ「カムリ」を基にした車種といっていい。
前輪駆動であるがゆえに、全力走行をさせた際の限界性能は、GSなどに比べやや劣るかもしれないが、限界にこだわらず、日常的な快さに特徴を見出したのがESだといえる。したがって、その乗り味は非常に快適で、初代LSが目指した“究極の高級車”という快さをESが体現したといってよいほど印象深いものであった。
そのESの約1カ月後に登場したのが、UXである。SUVというよりも、4ドアセダンやクーペなどとの中間的なクロスオーバーの位置づけだった。
UX250h“versionL”(ソニックチタニウム))(写真:トヨタ)
UX250h“versionL”(ソニックチタニウム)(写真:トヨタ)
UX250h“F SPORT”(写真:トヨタ)
UX250h“F SPORT”内装(写真:トヨタ)
UX300e(写真:トヨタ)
UX300e(写真:トヨタ)
UX200(写真:トヨタ)
UX200内装(写真:トヨタ)
UX250h“versionL”(ソニックチタニウム))(写真:トヨタ)
UX250h“versionL”(ソニックチタニウム)(写真:トヨタ)
UX250h“F SPORT”(写真:トヨタ)
UX250h“F SPORT”内装(写真:トヨタ)
UX300e(写真:トヨタ)
UX300e(写真:トヨタ)
UX200(写真:トヨタ)
UX200内装(写真:トヨタ)
使いやすさとレクサスらしさ
外観の造形はSUV的であっても、いざ使ってみると日常的に扱いやすく、身近な印象を与えるクルマに仕上がっている。そこが販売台数にも表れたのではないだろうか。それでいて、外観はいま流行りのSUV的で、なおかつレクサス車であることに間違いない造形要素が採り入れられている。
販売台数の数値は月平均1千数百台ではあるが、レクサス車の中で最も販売台数を稼ぎ、それがブランドを力づける役割も果たす、重要な戦略車種といえそうだ。
2020年から中国と欧州で、UXのEV(電気自動車)モデル、「UX300e」が発売される予定だ。日本へは、2021年の導入になるかもしれない。トヨタのEV戦略は、規制により販売しないと反則金の掛かる市場から開始される。そのカギを握るレクサス車が、UXとなるわけだ。
さらに重要性を増す存在に

レクサスUXの存在は、この先さらにレクサスにとって重要性を帯びていくだろう。発売から1年が過ぎた通信簿としては、まずまずの販売実績だといえる。そして、この先の電動化を含めた商品戦略において、レクサス全体の販売台数を押し上げる大切な駒として育っていくだろう。