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2020.01.01

注目のSUV「アウディQ8」はやっぱり最高に楽しい!

ここ数年で、SUVの進化が著しい。ランボルギーニウルスに代表されるような、大型かつスーパーなモデルが続々登場している。そして、その本命と目される1台、アウディのQ8はどうなのか? 試乗リポートをお届けしよう。

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写真/安井宏充 取材・文/小川フミオ

パーソナルな大型SUV市場に本命登場!?

写真の車両は「S-line」仕様でオプションの22インチホイール装着
贅沢なSUVを探しているなら、コレは選択肢としておおいにアリでは? アウディが「4ドアのラグジュアリークーペを連想させる」と謳う「アウディQ8」だ。

2019年7月に日本で発表されたSUVのQ8は、5メートルをわずかに切る全長に対して、「アウディQ7」より30ミリ低い全高を持つ。フロントマスクをはじめ、スタイルが印象的だ。自分で運転するクルマというキャラクターが強調されている。

エンジンは、250kW(340ps)の最高出力と500Nmの最大トルクを発生する3リッターV型6気筒。これに4WDのクワトロシステムが組み合わされている。
ルーフを下げて見せることでクーペ的なスポーティな印象を強調
車重は2.1トンだけれど、静止から時速100キロに達するまでに要する時間は5.9秒というのも注目点。アウディモデルとしては「A6 3.0 TFSI quattro」の5.7秒に迫る。3L スーパーチャージャー搭載の「Q7 3.0 TFSI quattro」より速い。

数字が大きいほうが、ラインナップの上に位置するというアウディのモデル構成からすると、Q8はQ7の上をいく(同じ3リッター搭載モデルで比較するとQ8は1010万円で、Q7は955万円)。

車名に入っている「8」という数字をみても、アウディのスーパースポーツ「R8」や、フラグシップセダン「A8」と通じるものを感じる。アウディを代表する1台という理由はやはり、自分で運転を楽しむひとのためのモデルという位置づけゆえだろう。
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「S-line」は八角形のグリルがマットシルバー仕上げに
パーソナル性を感じさせるビッグSUVは、市場規模は大きくないものの、確実にファンが存在する。ポルシェのマカンやカイエンをはじめ、メルセデス・ベンツのGLCクーペやBMW X4やX6、さらに上にはランボルギーニ・ウルスやアストンマーティンDBXなど、多くのハイブランドが商品を投入している。

アウディは大型SUVの先駆的存在だったが、Q8でようやく戦線に加わったことになる。ホイールベースは2995ミリと長く、後席のスペースも充分。後席は100ミリ前後にスライドするので、大きな荷物を積むのに便利だ。それでいて、後席にもひとが乗れる空間はちゃんと確保されている。

走らせると、なにより印象に残るのは、エンジンの力強さだ。500Nmの最大トルクを1370rpmから発生するだけあって、走り出しからパワフル。かつ、エンジンは上の回転域まで回すと、加速感がじつに爽快だ。
オプションで自動車高調節機能つきサスペンションが選べる
A6からA8にいたるアウディのセダン(とステーションワゴン)でも、この広い回転域にわたってスロットルレスポンスがよく、かつ回すとトルクがたっぷり出て楽しい3リッターV6の実力ぶりは体験ずみだった。

Q8でも印象が変わらない点に、高いエンジニアリングの存在を感じさせる。いいエンジンを作るというこだわりは、電動車の時代がそこまで来ているというのに、いまもドイツの自動車メーカーにある。そこが”高級”あるいは”上質”と感じさせるゆえんなのだ。

Q8には、従来からの足回りを持った仕様と、ダンパーに電子制御システムが組み合わされた仕様とが用意される。試乗車は後者の「アダプティブエアサスペンション」搭載で、特徴としては、コーナリングのふんばりがいい。ドライバーを楽しませてくれる。
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その走りは8の名に恥じない!

荷室容量は605リッターと広い
とりわけドライブセレクターで「ダイナミック」を選択すると、ダンピングが固めになり、ボディの揺れが収まり、ステアリングは重く、そして低めのギアを維持する走りとなる。これが好ましい。

うねりのある路面をとばさないかぎり、乗り心地はけっして悪くなく、スポーティとさえいえるハンドリングが楽しめる。SUVが苦手というひとがいたとしたら、それは自分の思ったより、少し遅れてクルマが動くせいかもしれない。ダイナミックモードのQ8ではおそらく多くのひとが運転する楽しさを味わえるだろう。

4WDのクワトロシステムは、機械式のセンターディファレンシャルを持つ本格派。通常はトルクの40パーセントを前輪に、60パーセントを後輪に配分する。路面状況により前後輪いずれかにスリップが検知されると、最大でフロントに70パーセント、あるいはリアに85パーセントのトルクを送る。
「S-line」用のしっとりした革で巻かれたステアリングホイール
コーナリングがいいと思ったのは、電子制御のトルクベクタリングシステムが有効に働いているせいもあるだろう。カーブを曲がるときに内側の車輪に軽くブレーキをかけることで外へふくらもうとする力を軽く抑える働きをする。

もちろんセダンとは異なる操縦性。でも、SUVを少しでも経験したことがあるひとなら、充分に魅力を感じとれるはず。オンナのコを誘ってのゴルフから家族とのキャンプまで、使える範囲はかなり広いことは間違いない。その間、ドライブも楽しめるというオマケも。

ボディサイズは、全長4995ミリ、全幅1995ミリ、全高1705ミリと、数値でみると大きめだけれど、取り回しが悪くないので(しかも後輪操舵システムである「オールホイールステアリング」を装着すればなおさら)、実際にドライブするときに見た目ほどのサイズは感じない。
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多くの操作をタッチディスプレイで行うため物理的なコントロールが少ない
オールホイールステアリングは、ドライバーがステアリングホイールを切る角度や速度と、車速をパラメターに使い、コンピューターが後輪に舵角をつけるシステム。

駐車場など狭い場所で低速で動くときには、後輪は最大5度まで逆位相(前輪とは反対の角度に切れる)で動く。それでうんと小回りがきくようになる。アウディによると、回転半径が非装着に比べて60㎝短くなる、そうだ。

また高速では最大1.5度、後輪は前輪と同じ方向を向く。結果、レーンチェンジ時などの安定性が増す。
「S-line」用のスポーツシート
モデルバリエーションとしては、標準モデルと、スポーティな「S-line」の設定がある。後者では、ナッパレザーと人工スエードを組み合わせた表皮のスポーツシートや、22インチのリム径のホイールを装着した 285/4022タイヤが装着される(標準でも275/50R20とかなり大径だけれど)。

コクピットからは、スイッチ類の数がうんと減らされているのも特徴といえる。インフォテイメント系の操作は、ダッシュボード中央部に設けられた10.1インチと、もうひとつ8.6インチのモニタースクリーンを使ったタッチ式で行う。

そのぶん、空間の広々感とともに、レザーやウッドやメタルを使ったコクピットまわりのぜいたくな雰囲気が強調されている。品質感を追究するアウディの姿勢によって、プレミアムSUVとして他と遜色のない仕上がりなのだ。

ひとを乗せたときのもてなし感覚は、さすがプレミアムクラスだ。ドライバーも同乗者も、同時に楽しませてくれるモデルである。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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