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2020.01.13

フェラーリの新型モデル「フェラーリ・ローマ」は、何がスゴイのか?

フェラーリが2019年11月にお披露目を行った新型モデル「フェラーリ・ローマ」。「面の美しさを追求して完成させた自信作」とデザイン統括のマンツォーニ氏が語る、その魅力とは?

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取材・文/小川フミオ

クルマ好きなら一目で好きになるスタイリング

発表会場で並べられた色ちがいの3台
スポーツカーの真の魅力ってなんだろう。ひとによって価値観は多様でしょうが、いまの時代なら「エレガンス」が大正解かも。フェラーリが2019年11月にお披露目を行った「ローマ」は、まさに”よき時代”を彷彿されるエレガントさが最大のセリングポイント。

フェラーリがローマで新車の発表を行う。世界各地から150名ものジャーナリストがその場に招待されたものの、実際にはどんなクルマなのかは、ベールの向こう側に。発表会の前日に正式なリリースが出るまで誰も実体を知るひとはいなかった。

すべてが明らかになったのは、発表会当日。1960年にローマ五輪の舞台となった競技場スタジオ・オリンピコ・ディ・ローマに隣接した会場を訪れると、大きく掲げられた「La Nuova Dolce Vita」の文字が目にとびこんできた。ラ・ヌオーバ・ドルチェビータ。日本語にすると、新しい甘い生活。LEONにふさわしいような、まさに甘美な響きをもった言葉。
ルーフラインとフェンダーの線を説明するマンツォーニ氏(右)とマーケティング担当のガリレア氏
フェラーリ社でマーケティングと販売を統括するエンリコ・ガレリア氏が舞台に登場し、「これがいまという時代に求められているフェラーリです」と紹介したのが、まったくの新型モデル「フェラーリ・ローマ」だ。

「エレガンスを重視しました」と一緒に舞台に上がったデザイン統括のフラビオ・マンツォーニ氏がスタイリングの主旨を説明。たしかに、側面からみると、流麗という言葉がもっとも似合う。7月に出た「F8トリブート」や、そのあとの「SF90ストラダーレ」が、さすがF1をやっているメーカーと思わせるほどの空力付加物で、ハイスピードを追求していたのに対して「ローマ」はあくまで滑らかな面が目を引く。

マンツォーニ氏によると、「250GTベルリネッタ・ルッソ(1958年)や250GT 2+2(60年)といった歴史的なGTモデルの流れにあるスタイリング」だそうだ。フロントグリルも目立たず、リアには大きなエアスポイラーもなく、グラマラスと言いたいフェンダーのふくらみと、きれいな弧を描くウィンドウグラフィクスが強く印象に残る。
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パールの入ったホワイトの塗色はマンツォーニ氏自身気に入っているという
クルマ好きだとおそらく一目で好きになるスタイリングだ。画像を見たときは、少々アストンマーティンぽいのでは、と思ったけれど、実車はフェラーリならではの個性がある。「(ローマの目抜き通りである)ベネト通りを、あまり目立たないように走りたいが、フィアットではちょっと……というひとに向けて、日常的に使えるフェラーリとして開発しました」と、前出のマーケティング担当、ガレリア氏は語る。

ベネト通りには、フェラーリが招待したジャーナリストに用意してくれたホテルがあり、そこから目と鼻の先に、”かの有名な”と付けたい「ハリーズバー」も。フェデリコ・フェリーニの名作映画「甘い生活」でしばしば登場するレストラン/バーだ。

今回の「ローマ」のキーワードにもなったこの映画では、ゴシップ紙の記者を演じていたマルチェロ・マストロヤンニはいつも華やかな雰囲気が強調されたベネト通りを流していた。当時はチネチッタという映画の撮影所もローマにあり、イタリアのみならず英米仏それに独などの俳優や映画人がローマにあふれていた。
細い幅の橫長テールランプが「ローマ」の特徴の一つ
その頃をフェラーリでは「自由で楽しかったよき時代」と呼び、今回の「ローマ」のイメージを重ねるのだった。車両のベースはホイールベースが同一の「フェラーリ・ポルトフィーノ」だが、7割がたの部品が新設計で、車重も100キロ近く軽くなっている。

エンジンレイアウトはやはり「ポルトフィーノ」と同様。フロントエンジンで後輪駆動だ。ただし3855ccV型8気筒ターボエンジンの出力は20CV(イタリア式馬力標記で”ps”に近い)上がって620CV(456kW)に。ツインクラッチの変速機も、7段から8段になり変速タイミングなどがより速くなっているそうだ。

全長4656ミリのクーペボディを持つ「ローマ」のパッケージをフェラーリでは「2+(プラス)」と呼んでいる。「2+」というのは、たんなる2人乗りではない、という意味。実車をチェックすると、フロントシートの後ろには、シートが設けられている。子どもなら乗れるかなあという感じの広くはないスペースだが、荷物など置けるし、便利なはずだ。
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スペイン広場から山の上の三位一体教会を望むローマでの「ローマ」
荷物は独立した荷室にも多く入りそう。トランクリッドは地面にかなり近いところから開くので重いものの出し入れにも便利だし、ゴルフバッグも収納できそうだ。フェラーリでは、社内で手がけたという洒落たラゲッジのコレクションをトランク内に収めていた。

「ローマ」とは別会場で世界2箇所でしか買えないというレザージャケットの新作も公開。エンボスの入った鹿革を使ったフェラーリ特製のドライビングジャケットはステアリングホイールを握ったときの姿勢を前提にデザインされたといい、もちろん男女ともに用意されている。

「ローマはいってみれば、F1マシンがイブニングドレスを着ているイメージです」。そう語るのは、デザイン統括のマンツォーニ氏だ。その言葉を補足するように、一緒のステージに立った技術部門のヘッド、ミハエル・ヒューゴ・ライターズ氏は言う。
シートは左右独立した意匠の室内造型が「ローマ」ならでは
「長距離を走れるGTはグランツーリスモが語源のように、そもそもイタリアで生まれた形態といってもいいでしょう。パフォーマンスとコンフォートを高い次元で両立させたGTは、私たちのDNAのなかから生まれたもの。ローマも見かけは美しいですが、じつは空力をかなり考えているし、さまざまな新しい技術を採用して、最高のドライビングが出来ることを狙っています」

軽量化とハイパワー化によって1CVあたり2.37キロというウェイト・トゥ・パワーレシオは、「セグメントでベスト」とライターズ氏は胸を張る。同時に、フェラーリのGTモデルには初という「サイドスリップコントロール6.0」や、ブレーキによって車体の動きを制御する「フェラーリ・ダイナミックエンハンサー」など、運動性能をより高めるための制御技術が盛り込まれている。

それでいて、「ローマはフェラーリ初心者、あるいはそれどころか、スポーツカー初心者だって問題ないぐらい、乗りやすさを重視してセッティングしています。ポルトフィーノともコンセプトが異なり、フェラーリの間口を大きく広げるモデルなのです」とマーケティングのガレリア氏は言うのだった。
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ダッシュボード中央には8.4インチのインフォテイメント用のモニターが備わるなどデジタルを多用した操作系
現時点では発表段階なので、あきらかになっていない詳細も少なくない。価格はそのひとつだが、20万ユーロ(税別)を少し超える、とローマでの発表会場でガレリア氏は語った。発売は夏前ともいうが、日本での発表は2020年春頃になるとか。

「面の美しさを追求して完成させた自信作なので、本当はシールド(フェラーリ愛好家が好んでフェンダーに付ける黄色に楯型のフェラーリのエンブレム)もつけたくないんです。ま、どうしてもというならしようがないですが」

デザインのマンツォーニ氏の言葉には、並々ならぬ自信がみなぎっていた。大人なオヤジさんには、まさにぴったり。スーツで乗ってもじつにさまになりそうなフェラーリの登場なのだ。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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