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2019.10.20

LEXUSがヨットを作った!? その全貌とは?

LEXUSがヨットの世界へついに進出し、マイアミから北上したボカラトンにてお披露目会が開催された。日本でクルーザーといえば、せいぜい40フィートだが彼らが作ったのは65フィート。ラグジュアリーライフスタイルブランドを目指す、LEXUSの先進的なデザインや優れた居住性を備えたラグジュアリーヨットとは?

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文/小川フミオ

クルマにとどまらない挑戦の象徴

優雅な乗り物とはなんだろう。自家用ジェットはどうだろう。飛行場での検査が簡略化されたり、飛行中が快適でいられることはたしかだ。でも、延々と乗ってはいられない。

それに対してヨット(欧米ではクルーザーのこともヨットと呼ぶのはご存知のとおり)は、時間の制約がない。クルマだとずっと道路に停まってはいられないけれど、ヨットは好きなだけ海のうえで過ごすことが出来る。

それに大人数で乗っていられるのもヨットの魅力だ。毎年秋の終わり(2019年は10月30日から11月3日)に、マイアミから30マイルほど北上したフォートローダデールで開催されるインターナショナル・ボートショーの豪華けんらんな内容を観れば、ヨットは富裕層に深く愛される乗り物であることがわかる。
イタリアのNuvolari Lenard社とともに手がけたオーナーズルーム
LEXUSがヨットの世界についに進出し、2019年9月に、フォートローダデールからさらに17マイルほど北へと上がったボカラトンで、65フィート級のラグジュリーヨット「LY650」を報道陣にお披露目してくれた。

日本だとクルーザーといえばせいぜい40フィートととらえられているふしがある。しかし国際的なスタンダード(富裕層が好むサイズ)はLEXUSが選んだ65フィートだ。

クルマの世界でここまで本格的にヨットを手がけたメーカーはこれまで皆無といっていいだろう。フェラーリやランボルギーニはパワーボートにエンジンを提供しているだけだ。

アストンマーティンの37フィートのパワーボート「AM37」にしても、アストンマーティンが行ったのはコンセプトメーキングで、実際にヨットを作ったのは、オランダのクインテッセンス・ヤッツ社である。
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LY650はフライブリッジを備えた65フィート級ヨット
ハーバーで眼にしたLY650は、全長19.94メートルと余裕あるサイズで、しかもフライブリッジを持つことで、威容ぶりが圧倒される。ユニークなのは、LEXUSがこだわったスタイリングだ。

水のみならず空気を切り裂いて進むような、丸みを帯びた船首部から、流麗なカーブでリアのスイミングプラットフォームへと続くスタイルは、ヨットの常識を上書きするような大胆なものだ。

船体をLEXUSと共同開発したのは米ウィスコンシン州のマーキー・ヨット Marquis Yachts社である。ここはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)とGFRP(いわゆるグラスファイバー)といった素材を自在に駆使して大胆な造型を実現する手腕を誇る。

クルマでいえば、60年代から70年代にかけてのイタリアのカロッツェリアが、高い技術と審美観でもって、自動車メーカーのいいパートナーとなっていたことを思い起こさせてくれた。
流体解析技術を駆使した独自の船底形状とパワフルなエンジンで、すぐれた航走安定性と操縦性を実現したことが謳われる
「船体をはじめ、あらゆる部分の建て付けの精度にこだわるとともに、クルマのように船体をメタリックで塗装したのも、LEXUSのこだわりと思っていただければ」。デザイナー出身で、レクサスインターナショナルのプレジデントを務める澤良宏氏は、現地でそう語ってくれた。

キャビンに入ると、ヨットのよさを実感する。内装はイタリアのヨットデザイン会社であるヌヴォラーリ・レナード Nuvolari Lenardとのコラボレーションで作り上げられている。

「ラグジュアリーライフスタイルブランドを目指すLEXUSの、クルマにとどまらない挑戦の象徴です。すべてにおいて細部までこだわりぬくというLEXUSのCRAFTED(クラフテッド)と呼ばれる思想を、先進的なデザインや優れた居住性を備えたラグジュアリーヨットという形で具現化しました」

澤良宏プレジデントの言葉に納得させられるのは、サロン内部の仕上げのよさだ。壁やテーブルにはウッド、ソファは白いレザー、そこに磨き上げられたアルミニウムの加飾がアクセントになっている。床には大きく、LをモチーフにしたLEXUSのシンボルマークがはめこまれている。
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バウには特等席ともいえるバウベッドがふたつ備えつけられている
メインサロン一番前の、ステアリングを備えるヘルムステーションごしにバウ(船首)を眺めると、2基のバウベッドが備えつけられている。日光と風をからだで感じられるバウベッドは、ヨットにおける最良の場所のひとつだ。

ボカラトンでの発表会には、レクサスのチーフブランディングオフィサーを務める豊田章男氏も姿を見せた。ヨットの体験はありますか?と尋ねると、「船舶免許も持っています。ひとりになれる場所なので好きです」との答えだった。なかでも好きな場所は「バウベッドです」とのことである。

メインサロンのしたには3つの部屋が設けられている。オーナーズルームは白が基調で大きなベッドが備えつけてあった。ベッドに橫になって上を見上げると天窓から青い空が見える。シャワールームもホテルのような作りである。
フロアにじつはレクサスのエンブレムがはめこまれているメインサロン
ほかにゲストルームが2つあり、何日いても楽しそうだ。このあたりがサイズに余裕ある65フィート級の面目躍如だろう。いっぽうでメインサロン上に設けられているフライブリッジに上がると、コンバーチブルをドライブしているような爽快さだ。

今回クルーズしたのは、マイアミからボカラトンのホテル前まで。大西洋との海岸線に沿うように水路が設けられている。左右にはいかにも富裕層というかんじの邸宅が並び、そこからヨット(小さめ)を水路に下ろせるようになっている。

私はその直前にバンコクでチャオプラヤー川を含めてリバークルーズをしたところだった。バンコクの場合は寺院などの景色がめずらしく、垣間見える住民の生活がエキゾチックだったが、それに対してフロリダは米国的な豪華さが圧倒的だ。
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何日いても楽しめるラグジュアリーなキャビン

ヘルムステーションもシンプルで美しい
電子制御で動力と舵を制御し、進路を保つため、クルーズはじつに安定している。操縦性も高いとステアリングを操る米国人ヘルムズマンが教えてくれた。

当初は大西洋に乗り出しフロリダ・キーズ(諸島)までクルーズする計画もあったというけれど、残念ながら、ハリケーンの脅威があって、今回は広い水路を午後いっぱいかけてクルーズしたのだった。

景色を楽しませてもらえたので、これはこれでよかった。フライブリッジから遠くまで見渡していると、ヨットのある暮らしってほんと優雅だなあと思えてくる。時どき、上を道路が走るところでは、跳ね上げ橋(英語だとDraw Bridge)が開くのを待たなくてはならない。それもまた味のある時間の過ごしかただ。

途中、マーケットではLY650と競合しそうな、イタリアのアジムト Azymutといった豪華なヨットとすれ違うと、乗っているひとたちが手を振ってくる。こちらをオーナーかその友人とすら思っていないだろうけれど、挨拶してくれるのも余裕の表れだ。

LY650はボルボ・ペンタのエンジンを2基搭載する。LEXUSの母体となるトヨタ自動車には、ポーナムを手掛けるマリン事業室もあるが、65フィート級用の動力はまだ開発していないので、「市場で最適の性能だった」と澤プレジデントが言うボルボ・ペンタのものとなった。

LY650のボルボ・ペンタ「IPS」エンジンは、800馬力の「1050」、900馬力の「1200」、それに1000馬力の「1350」が選べるようになっている。船体のカラーや、メインサロンやオーナーズルーム等の仕上げなどと含めて、ほとんどが好みで発注できる。それもヨットの楽しみなのだ。

今回乗せてもらった船は、約4億5000万円だそうだ。すでにオーナーが決まっている。そのうち、(同じ艇かは定かでないが)日本にも持ってきたいと、澤プレジデントは語った。ボートショーにも出展されるかもしれない。興味あるひとは、その機会に体験することをお勧めする。

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